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一番近い他人

作者: 雅

彼女と始めて会ったのは、

とあるお店だった。


僕は久々に仕事が落ち着いた事もあり

その店を利用する事にした。


いつもの子を指名しようとしたが、

休みだった事もあり、

お店のおすすめの子を紹介して頂いた。

じゃあその子で、と僕は言った


僕が椅子に座っていると、彼女が来た

僕は目を疑った。

こんなに綺麗な人がこの世にいるんだ!

そう思った。


最初はそんなつもりは無かったが

話していくうちに絶対に仲良くなりたいと

思った。


ふとした時に「連絡先聞いてもいい?」

そう伝えると

彼女は快く連絡先を教えてくれた。

「じゃあまた連絡するね!」

僕はそう伝えて、会計を済ませ店を出た。


その日から僕は彼女と連絡を取り合うようになった。


「今から仕事!」「今日は疲れたよ。」

そんな平凡な連絡をとりあっていた。


「次いつ会えるかな?」

僕がそう伝えると、彼女もそう思っていてくれたのか、

段取り良く会う日付が決まった。


「どこに行く?」「とりあえず焼肉でも行こう!」


当日、僕は緊張しながらも位置情報を頼りに、

彼女の家の近くのコンビニまで車を走らせた。


「着いたよ!」

連絡をした、5分後くらいに彼女が歩いてきた、

鼓動が早い。

彼女が車に乗り込んだ。


「会いたかったよ」「久しぶり」「元気してた?」

そんな事を言いながら車を走らせた。


焼肉屋に着いて近況を報告しながら、

食事をした。

「美味しいね!」


食事が終わり僕が会計に行く。

彼女はお金を出すと聞かなかった、

僕は偏見だが、お金は男が出すのが当たり前と

言ってくる女の子は嫌いだ。


彼女は違った。

本当にいい人だ、そう思った。


結局会計は格好をつけたかった僕が無理に出させてもらった。


その後何をするわけでもなく車でお喋りをしていた。

何の拍子だったか、猫の話になり

「そう言えば、猫飼ってたよね?」

そう僕が言うと、彼女は「飼ってるよ!5匹!」

そう僕に笑顔で言った。


僕はびっくりした、「5、5匹!?」

僕は猫好きなので、びっくりしながらも

彼女に猫を見せてほしい!と頼んだ。

そうすると彼女は二つ返事で「良いよ!」と。


成り行きで、彼女の家に上がる事になった。

何も考えずに言ってしまった一言に僕は後悔しながらも彼女の家にお邪魔した。

猫が沢山いて、寄ってくる猫もいれば

威嚇する猫もいた。

ひとしきり猫と遊び、疲れた僕は

一休みする事にした。


タバコを吸って一服をしながら僕は、ふと

彼女に思っていた事を伝えた。


「俺、君のことが好きなのかも知れない。」


彼女は驚いた顔をしつつも、ハニカミながら

僕にこう言った。


「嬉しい。でも私人の事を好きになれないと思う。

だから付き合うことはできない、それでもいい?」


彼女は僕にそう言った。

僕は考えた。


「……。」


数分間の沈黙が続いた。

静寂に耐えきれなくなった僕は

まだ考えはまとまっていないが、とりあえず思った事を口に出した。僕の悪い癖だ。


「とりあえず俺もすぐに付き合あいたいとかは思ってないよ、けどこれからも君の事を女の子として、好きでいていいかな?」


そう伝えると彼女は笑顔で「良いよ!」と

そう言った。


それからというもの、毎日連絡を取り合い

彼女の家にお邪魔する頻度も徐々に

増えていった。

付き合ってはいなかったが

大人の関係も持つようにもなった。


そして少し慣れてきた時

僕はもう一度あの日に伝えた気持ちを伝える事にした。


「どう?そろそろ…。」「付き合ってみない?」


そう僕が彼女に伝えると、彼女は僕にこう言った。


「貴方みたいに、ずっと好きでいてくれる人はいなかった。みんな好きって最初は言うけど、すぐにいなくなってた。貴方みたいな人なら付き合ってみようかな」


そう彼女は照れながらも僕に伝えた。

とても嬉しかった、こんな綺麗な優しい人と

付き合えるなんて!

僕は舞い上がった。


それからというもの、僕が彼女にのめり込むスピードは言うまでも無かった。


あっという間に出会った秋は冬へと季節が変わっていった。

その頃からか、僕は彼女とずっと一緒にいたいと考え


「一緒に住まない?」


そう彼女に伝えた。

彼女は二つ返事で良いよと言ってくれた。

僕は彼女の家に転がり込む形で

同棲生活が始まった。


それからというもの

毎日がとても楽しかった。

彼女の作る手料理、彼女の寝顔、彼女の全てが

僕にとってかけがえのない毎日になった。


そんな楽しい毎日にも慣れが来た。

些細な事で喧嘩になる事が多くなった。

僕の性格はとても良い人とは言えないのだろう。

些細な事で彼女にイラッとし

強く当たってしまう事が多かった。


彼女の仕事と言えば家族経営の会社で

彼女はその会社の代表取締役員だった。

僕が強くあたるストレス、会社のストレス。

全てが重なったんだと思います。


とある日の事、僕が必要以上に彼女に強く当たってしまった日の事。

彼女は泣きじゃくり言葉も話せない程

パニックになった。

彼女の妹が駆けつけてくれて

その日は彼女の妹の家に彼女を泊まらせる事になり

僕は彼女の家で1人色んな事に後悔する事になった。


数日そんな日が続いた。

彼女は会社でもパニックになり、家族と

精神科に行ったそうだ。

診断名はパニック障害、うつ病。


全ては僕が彼女の変化に気づいてあげられなかったせいだと思った。


彼女は誰とも、家族でも会話をしたがらない様になった。

僕はとりあえず彼女の家を出て実家に帰る事にした。


「落ち着いたらでいいから、連絡して。」

僕はそう彼女に伝え

実家に帰った。


実家に帰ってからは、母親にこの事を相談して

鬱病という病気のアドバイスを受けていた。

母親は僕が幼稚園の時から躁鬱という病気と闘っているので鬱病には詳しかった。


「今はそっとしておいてあげなさい。」

そう母親に言われた。


数ヶ月がたった。

僕は彼女の家に持って帰れなかった荷物を取りに行きたいと伝えた。


彼女は誰にも会いたくないので妹の家に行っている間にとりにくるように僕に言った。


僕は彼女に会いたい気持ちもあったので


「会って話がしたいから落ち着いたら取りに行くでも良いかな?」


そう伝えた。


彼女はいつものように「良いよ」と言った。


それからまた数日が経ち

荷物を取りに行くついでに話をする事にした。


「元気?ご飯食べてる?」


彼女は前の明るい彼女とは思えない程

暗く何も喋られなくなっていた。

そんな彼女を見てか、僕の気持ちも決まり


「別れよう。もう元には戻れないと思う」


そう伝えると彼女は泣きながら

「ごめん」と、一言だけ口にした。

その言葉を聞いた僕は、僕に彼女を支える事は

できないのだろうと思った。


覚悟が足りないと言われればそうだと思う。

原因は僕にあると思う

タイミングが悪いだけだったのかもしれない。

ただこれだけ言えるのは


「1番近い人でも他人だって事」


彼女の全ては誰にもわからない。

僕の全ては彼女にだってわからない。

他人を知る事は難しい事だ。

だからこそ


「1番近い人を1番大事に」


する事が大事なのかもしれない。



他人とは何か、そんな事を考えさせられる作品になれば良かったと思います

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