天使の侍女は皆「しごでき」
「まーしゃ。りり、おとーたま。あいたかった」
そう!そうなの!なんで早起きしたかって?
それは愛するパパンを見送りたかったから!!
うちの父様は、どうやら伯爵とかいうエライ人のようなんだけど、それはそれは出勤が早いの!
なかなか朝会えないんだよね。
え?ファザコン?
いやだなー。もう。確かに父様のことは好きだけど…。
いやだってすごい綺麗で女の人!?ってくらい美人(男だけど)だから眼福ではあるし、優しいし(かなりの親バカだけど)ね!
「リリーシュ様…!旦那さまをお見送りするために、こんな早起きを…!?」
おっしゃー!!マーサに伝わった!!!
これで父様の見送りに立ち会わせてもらえるかな?
ふっふっふー!やはり「早起きは三文の徳」だね!
あ、知ってた?そういえば三文って現代価値だと90円くらいらしいよ!
意外と安いよねー。
しかも当初は早起きしても大した得は無かった~みたいな意味があった(※諸説あり)とかなんとか。
たしかに三文銭とかも貨幣価値低かったよね?たしか。
ちょっと歴史は専門外っていうか、たいして勉強してなかったから全然覚えてないんだけどね!!
「ではリリーシュ様、急ぎお支度させていただきますね。エメリ、あなたは執事室にお嬢様がお見送りに参加されることを伝えてきて!ミアはリリーシュ様の衣装の準備を!」
「「はいっ!」」
おお~。さすができる女、マーサ。
2歳の子どもに3人も侍女がいるっていうのは「伯爵」家だからだろうか?
貴族の位とか疎いから良く分からないけど、前世から考えると、ものすごく恵まれていると思う。本当にお姫様みたいな扱いでびっくりする。
でも3人ともすごく仕事が早いし、優しいし、本当に大好きだから、今のこの状況には感謝しかない~!
私、前世でものすごく良いことしたのかな?今世はご褒美タイムってことかな?
そしてあれよあれよという間に、完璧な美幼女ができあがった。
おおー!!いつ見ても我ながら可愛いな…。
鏡の前でついウットリしてしまう私…。これはあかん…。ナルシストになっちゃうかも…。
「はぁぁぁぁんんん!!!!!!本日もなんて可愛いんでしょう…!!」
「ミア、あなた腕を上げたわね!その濃い黄色…レモン色のワンピースとリボンはリリーシュ様に良く似合っているわ。そんな色の生地は初めて見ましたよ」
「マーサ様!お気づきですか?!実はモーリー服飾店に通い詰めて全ての色見本を拝見したのですが、どれもお嬢様にしっくり来ず…。染色工房にお邪魔して新色を作って頂いたのです!」
「まぁ!もしかして先日休みを取ったのはそのため…?大変だったでしょう…!」
「いえ!お嬢様のためならこれしき!お嬢様のための色を作るだなんて…!ご褒美のようなものでした…」
え…、ミアすごすぎない?
私の侍女、新しい色の生地とか開発しちゃうの?マジ…?
てゆうかご褒美ってなに…?
「ですが、これは素晴らしい働きです!執事長に伝えておくので、きっと特別手当が出ると思いますよ」
「マーサ様。ありがとうございます。これからも(推し活)励みます!」
特別手当でるんだ…!うちって良い労働環境なんだなぁ。安心した~!
なんか変な()が聞こえた気がするけど気のせいだよね…?うん。
「お嬢様…、どうでしょうか?お気に召しましたか?」
「うん!みあ、しゅごいね…!ありがと!」
「っ!!ありがたきしあわせ…」
あ、ミアが動かなくなった…。この顔で笑いかけるとなかなかの破壊力があるみたいなんだよね。
なんかごめん…。