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第十四話【最後の別れ】

それから一ヶ月間の幽霊との同棲生活が始まった。


彼は同棲を始めても私のプライベートを守ってくれた。

一人になりたいと思ったときは

その気持ちを察して彼は何処かへ出かけて行った。



初めて彼にご飯を作ったとき、彼は泣いていた。


~~前世の彼女と同じ味だ…。



まさか私の作る料理が前世の自分と同じ味だと

思っていなかった私はかなり驚いた。

しかし、それを喜んでいる彼の姿を見て

彼女の味を受け継いでいて良かったと本当に嬉しかった。


彼との同棲生活は本当に楽しいもので

この日々が永遠に続けばいいのにと心から願った。

しかし、時は進んでいくもので。

ついに一ヶ月が経ち、国家試験の結果発表の日が来てしまった。



二人で祈りながら合否のサイトを開き、試験番号を入力した。



結果は・・・





あった。


無事に国家試験に受かることが出来たのだ。

二人で泣いて喜んだ。


嬉しい気持ちと同時に悲しい気持ちになった。

受かったということは保育士になる夢を叶えたということ。

つまり、彼との別れを意味していた。



長い沈黙になった。


私は涙が止まらなかった。

夢が叶うことがこんなにも辛いなんて思わなかった。

彼に出会わなければ、素直に喜べたのだろう。

だが、彼が居なければきっとこの夢を叶えることはなかった。


今は寂しいという気持ちしか湧いてこなかった。


~~そんな悲しい顔をしないでおくれ。

前も言ったけど、俺は君の笑った顔が好きなんだ。


こうして前世からの君の夢を見届けることが出来て本当に良かった。

おめでとう。

君は昔から優しい子だからきっと良い先生になれるよ。


俺はもう君の元から離れるけど、心配しないで。

約束は絶対に守る。

君を探し出して絶対に迎えに行くから。



――私も絶対にあなたを見つける。

あなたが迎えに来てくれるのをずっと待っているから。

前世の私の夢を叶えることが出来て良かった。

あなたにその瞬間を見せられて本当に良かった。


~~本当に見届けられて良かった。

夢を叶えてくれて本当にありがとう。愛しているよ。

そろそろ行かなくては…。

じゃあ、また会うその日まで。元気で頑張ってね。


――本当にありがとう。

また会う日まで。楽しい報告が出来るように頑張るね。

またね。



私の話を聞き終えると彼は消えていった。


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