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第十三話【彼女の願い】
国家試験が終わって彼女が帰ってきた。
いつもは夜に彼女の部屋へ行くが、今日はずっと彼女の帰りを
家で待っていた。
帰ってきた彼女は少し驚いていた。
――びっくりした。
夜に来ると思っていたから。待っていてくれたの?
~~おかえりなさい。
うん、なんだかソワソワして。帰ってきて俺の顔を見れば
君も少し落ち着くかなって。
――ありがとう。
私も夜まであなたを待つのは心が落ち着かないと思っていたの。
だから嬉しい。
安心したような彼女の顔。
やはり俺はこの優しさに満ち溢れた彼女が大好きだ。
陽菜乃。君をきっと見つけるよ。
~~試験はどうだった?
――上手くいったよ。
あなたが居なければ、きっとここまで出来なかったと思う。
私の前に現れてくれて本当にありがとう。
~~君の力になれて本当に良かった。
あとは結果を待つのみだね。
――来月に分かるらしい。
緊張するね。
それまではずっと一緒に居てほしい。
朝や夜なんて関係なく、ずっと居てほしい。
~~なるほど、一ヶ月間の同棲生活だね。
分かったよ。君が望むことは何でもしてあげよう。
――その言い方は少し照れるね。ありがとう。