第十話【運命のカウントダウン】
朝、いつものように彼女の家に行くと
彼女は少しワクワクしたような感じで学校に行く準備をしていた。
~~そんなワクワクしてどうしたの?
今日は何か楽しみなことでもあるの?
――あ、おはよう!
そうなの。今日は保育園で実習なんだ!!
初めての実習だけど、夢に一歩近づけるから嬉しいんだ。
そうか、もう少しでずっと夢見ていた保育士の夢が
叶うのか。
嬉しい反面、もうこの世から旅立つのだと
寂しい気持ちになった。
~~そうなんだね!!
どうか上手くいきますようにお祈りしているね。
また夜に感想聞くのを楽しみにしているね。
頑張って!行ってらっしゃい!
前世からの夢を見届けられるのは嬉しいが
それ以上に今の陽菜ちゃんを好きになっていた。
離れるのが、もう会えなくなるのが寂しかった。
でも結局、俺は成仏できなかった幽霊だ。
どれだけ恋焦がれても、両思いでも叶うことはない。
彼女にはまだまだこれからの人生がある。
俺なんかがずっと一緒に居ても彼女は幸せになれない。
分かってはいてもやはりとても悲しい。
あと少しの間、彼女との生活を心から楽しもう。
成仏して来世で生まれ変わっても
忘れることがないように。
また彼女と来世で会うことが出来るように。