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ヴァルキリーアーマー  作者: 廿楽
第2章 序幕
6/11

2-2 文芸部にて

 僕は早速机に置いてあるノートパソコンの電源を入れ、インターネットを開く。

 そして、小説投稿サイトで現在執筆途中になっている話を書く。

 それから時間が経ち、その話を含めたエピソードが完成し、投稿する。

 すると、「続きを楽しみにしてます!」や「いつも見てます。これからの展開に期待。」といった小説の感想が送られ、僕は嬉しくなる。

 鳩岡(はとおか)さんは「もしよければでいいんですが・・・是非文芸部に入部してください。」と僕に懇願すると僕は「はい、入らせていただきます。」と快諾した。

 それから僕は文芸部で小説を書く日々が続いたがある日、1つのフォルダーを発見する。

 フォルダー名は「戦女祭(いくさめさい)」となっていて開いてみるとWordで作成されたファイルが多数ありファイルの中身は過去の部員が書いたと思われる小説だった。

 そのうえ部室にはコピー機があるため僕は戦女祭は文化祭の事でファイルを印刷して出し物として頒布するものだと直感した。

 ファイルを閉じようとしたら鳩岡さんが「もしかして・・・見ました?戦女祭の・・・」と後ろから声を掛けて来たため僕は「はい・・・」と返事をする。

 だが、鳩岡さんはそれを咎めたりせず「いえ、いいんです。」と言い、「次の戦女祭、素敵な短編集になるのを期待してます・・・」と声を掛けた。

 僕が(期待かぁ、ならば何としてでもいいのを生み出してやる!)と意気込んでいると扉のノック音が聞こえ、「どうぞ。」と返事をすると「失礼。」という声と共に中等部の制服を着用した紫のセミロングが特徴の小柄な女子生徒が入ってきた。

 僕が「君は一体・・・」と聞くと「私、中等部1年の支倉(はせくら) 紗耶花(さやか)。文芸部に入部希望。」とその女子生徒は答えた。

 それを聞いた鳩岡さんが「入るなら・・・入部届を出して・・・ください。」と言うと支倉さんは「大丈夫、ちゃんと書いてる。」と返事をして記入済みの入部届を提出した。

 支倉さんの入部届を見た鳩岡さんは「はい・・・承りました。」と受け取り支倉さんを入部させた。

 鳩岡さんから入部を認められた支倉さんは「嬉しい。」と反応し、僕も彼女を迎え入れた。

 こうして部室の扉の近くにある部員の名前が書かれたプレートに支倉さんのものが追加され部員は合計6人となった。

 だが、僕はある事が気になった。それは僕が入部してから部員が全員揃ったことが1度も無いことだ。現に今この部室にいるのは僕、支倉さん、鳩岡さんの3人だけで他の部員は誰も部室に来ていない。

 僕は思い切って鳩岡さんに「あのー、他の部員の方は・・・」と聞くと彼女は「他の3人なんですが浅野(あさの)さんは自転車部のマネージャーをやってて月・水・金はそちらにいます。新城(しんしろ)さんは高等部普通科の特進コースで放課後セミナーを受けているため中々来ません・・・」と教えた。

 そしてその直後、「最後の1人の村中さんですが既に作家として活動してまして『もうすぐ出版だから編集部といろいろあるから集中させてほしい。』と言ってましたので今は恐らく来ないと思います・・・」と最後の1人の情報も教えた。

 僕はそれを聞き、「ここってプロの作家もいるんですか!?」と驚きを見せ、鳩岡さんは「はい。村中さんが高等部1年の時に児童文学の大賞に応募した作品が金賞を受賞しましてそれからは高校生作家として活動してますよ。」と説明する。

 支倉さんも「凄い、作家もいるなんて。」と驚きを隠せなかったようだ。


 それから僕は支倉さんと一緒にそれぞれの寮への帰路に就いた。

 そこまではいいものの支倉さんは僕にべったりで「ちょっ、離れて。目立っちゃうから。」と説得するが支倉さんは「先輩にくっつくとなんか落ち着く。先輩は、私と一緒は嫌?」と聞く。

 僕は「嫌ではないんだけど場所を考えて欲しいんだ。」と言うと支倉さんは「ごめん、なさい。」と言って離れた。

 そして支倉さんは「先輩に頼みがある。」と言い、僕は「頼み?」と聞くと支倉さんは「今度の土曜日、私と一つになってほしい。」と発言し僕は硬直した。

 その直後、「ちょっと待って、まだ早いよそういう事するのには!」と説得するが支倉さんは「『女だったら惚れた男は絶対に逃がさないようにしろ。』とお姉ちゃんが言ってた。」と聞く耳を持たなかった。

 その言葉に僕は「そうなの!?」としか言えなかった。

 支倉さんの誘いに危険を感じた僕は「君みたいな女の子がそんな事するのはまだ早いし色々と問題があるよ。」と言い、逃げるように去った。


 全速力で走ったため疲れた僕は「た・・・ただいま・・・」と息を切らすように監督の先生に挨拶(あいさつ)をする。

 そしてエレベーターで部屋へ行き、畳の上に直で寝転がると今にも寝そうになるが船見君が「おーい、もうすぐ飯だぞ。」と声を掛けられ「うん、分かった。」と起き上がり食堂へ向かった。

 食堂では生徒手帳に記載されている1文字のアルファベットと6桁の数字で構成された生徒IDを入力して事前に注文した定食の食券を受け取ってからカウンターで引き換える仕組みになっている。

 僕はA定食であるアジフライ定食を席へ運び、普段なら船見君や甘木君と他愛のない会話をしながら食べるのだが疲れているためそんな余裕はなかった。

 そして、大浴場で僕は他の部屋の男子に「なあ酉島、お前文芸部だろ?」と聞かれ、僕は「それ聞いてどうするつもり?」と聞き返すと「大丈夫、悪いようにはしねえよ。」と言われるが何処か怪しい。

 念のため僕が「もし僕が答えたとしたらどうするの?」と聞くと「だからどうもしねえよ。疑い深いやつだな。」とその男子は呆れるように言う。

 僕は「まあ、一応ね。」と答えたら「やっぱりそうか。あそこ、俺は正直言って天国のようなところだと思ってるよ。」と反応された。

 その反応に僕は「何で?」と聞くと「あそこ、女子しかいないうえにみんな胸でかいんだよ。特に部長である鳩岡って先輩、何カップあると思う?」と理由を説明した後に鳩岡さんの事を聞き、僕が「えっ、いきなり何?」と返事に困っていると「何とHカップなんだよ。もはや爆乳だぜ。」と男子は話す。

 だが僕は「それ、他人に話したりしないよね?」と聞くと「大丈夫、ここにいる奴らにも口止めするからさ。」と言って「おい、お前ら。酉島の部活の事は門外不出だぞ。」と現在風呂場にいる生徒全員に忠告した。

 そして部屋の中で僕は「もしあんな状況が知れ渡ったら嫉妬されるだろうな・・・そうなると面倒なことになりそう・・・」と呟いた。

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