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ヴァルキリーアーマー  作者: 廿楽
第1章 転入
2/11

1-2 新しい学校

 理事長室を後にした僕は再び三条先生に校内を案内された。

 僕たちは校内を一通り見た後、敷地の外へ出て10分ほど歩き、3階建てのコンクリート製の建物へと到着した。

 三条先生は「ここが酉島(とりしま)君が入居する学生寮です。今は監督の先生が不在ですが夕方には帰ってくると思います。あと、監督の先生には既に話を通していますので安心してくださいね。」と言って寮の内部に入った。

 玄関で靴を脱ぎ、脇にあるロッカーに靴を入れようとするも全部のロッカーに名前が記入されていない。

 そのため何処に入れたらいいかを聞くと三条先生は「ここは部屋の番号ごとに靴を入れる場所が決まってます。酉島君の部屋は304号室ですのでここに入れてくださいね。」と説明と同時に靴を入れる場所を教えた。

 上履きであるスリッパに履き替えて靴置き場から出ると広い空間が待ち構えており「ここはホールです。生徒が自由時間中にボードゲームなどで楽しんでるそうですよ。」と三条先生が教え、「そこにドアが3つありますけどそこは6畳のテレビルームです。利用自体は無料ですが要予約ですので気を付けてくださいね。」と説明をした。

 1階にある1年生の部屋の前を通り過ぎ、奥にある階段を上って2階へ行くと「2階には食堂があります。食費は月末に家賃や光熱費と共に保護者宛てに請求されるのでご安心ください。」と教える。

 そして階段で3階へ上がり、「3階には娯楽室があります。娯楽室では生徒が漫画を読んだりパソコンで調べ物をしたりしているらしいですが要予約の卓球場やカラオケルームもありますよ。」と説明し、「言っておきますがカラオケルームは防音になっていますので時間が許せば思う存分歌えますので心配はいりません。まあ、生徒が不適切な事をしないか見張るためのカメラはありますけどね。」と補足した。

 最後に僕の部屋へと向かい、三条先生は「これで学生寮の説明は終わりです。教科書以外の必要なものは全部部屋に置いてありますよ。」と言って去って行った。

 部屋の扉を開けるとそこには誰もいなかった。

 室内は約12畳でそのうち4畳が畳のスペース、それ以外がフローリングになっている造りで入り口の右手には引き戸がありその引き戸を開けるとウォークインクローゼットとなっていた。

 ウォークインクローゼットを後にして部屋の中を進むと入り口正面の机に僕のものと思われる制服である白いブレザーや体操服、(かばん)が置かれており僕は「これから新生活なんだな。」と実感した。

 そうしていると背後から「あれ、(とし)君じゃない・・・それにネームプレートに書かれている酉島って誰?」と知らない声が聞こえて来た。

 後ろを振り向くと「VALKILY HIGH SCHOOL TENNIS CLUB」と書かれたTシャツを着用した生徒が扉の前に立っていた。

 その生徒は「ここ、僕の部屋なんですけど。」と言うと僕は「僕、今日ここに来たばかりなんだけど。」と答えた。

 それから僕は世界で唯一男のヴァルキリーシステム適合者である事や4月からこの学園に転入する事を話すと同室の生徒は「なんだ、そういう事だったんだね。」と納得した。

 そしてその生徒は「僕は甘木(あまぎ) 叡智(えいち)、これからよろしくね。」と自己紹介し、僕も「酉島 章佳(あきよし)、これが僕の名前。これからよろしく。」と自己紹介した。

 すると、「あー、疲れた。俺特製のプレイリストを聴きながら畳に直で寝っ転がるのが最高なんだよなー。」とまたもや知らない声が聞こえて来た。

 その声の主は部屋に入るなり「おー、叡智。帰ってたか・・・で、そいつ誰?」と言う。

 その声に僕は「僕、ここに来たばかりなんだけど・・・」と言うと声の主は「じゃあお前が転入生?」と聞くと「そうですけど。」と答える。

 僕の返事に相手は「やっぱりそうか。俺も高等部の知り合いから聞いたぐらいなんだけどお前、男で唯一ヴァルキリーシステムに適合したんだってな。」と言い、立て続けに「自己紹介を忘れていたな。俺は船見(ふなみ) 俊之(としゆき)。ルームメイトとしてよろしく頼む。」と名乗った。

 僕も「僕は酉島 章佳。よろしく。」と船見君に名乗った。

 それからは娯楽室で漫画を読んだりした後、夕食の時に皆の前で自己紹介をして歓迎パーティーが行われた。

 僕はこの雰囲気に「楽しそうだけどまた前みたいにならないか不安だ・・・」と感じたが特にこれといったトラブルは起こりそうにないと思い安心感も覚えた。

 それから日常生活を送る事1日、4月5日となり学園では始業式が行われるが転入生である僕は始業式には行かず担任の先生と応接室にいた。

 「担任の桑野(くわの)だ。担当は英語、これから1年間よろしく頼む。」と担任である桑野先生が名乗り、続けざまに「だが、高等部にいる妹に手を出したら容赦はしないぞ。」と忠告した。

 僕はその言葉に「大丈夫です、そんな事しませんから。」と言うと桑野先生は「ならいいんだが。」と返事をした。

 応接室で桑野先生は僕に「これを渡しておく。」と言って白い封筒を渡した。

 封筒には学園の案内図と「貴方は3年C組16番です」と書かれた細長い紙が入っており、「内容から分かると思うがそれが酉島のクラスだ。生徒全員のクラス移動が終わったら呼びに行くから待ってろ。」と言って桑野先生は応接室を後にした。

 僕は「どんなクラスなんだろうか・・・前の学校みたいに授業中に騒ぐような子がいなければいいんだけど・・・」やら「よく考えるとここって寮があるから四六時中他の子と一緒なんだよね。もしいじめられたらと思うと・・・先が思いやられるな・・・」と不安に(さいな)まれていたところに桑野先生が戻って来て「生徒全員の移動が終わった。教室に行くぞ。」と僕に呼び掛けた。

 一方その頃、3年C組の教室では「何で机が1つ多いんだ?」「さあ、転校生でも来るんじゃない?」といった会話が繰り広げられていたが桑野先生が「はい、静かに。今からお前らに紹介する生徒がいる。」と生徒に声を掛け、「入っていいぞ。」と僕を呼ぶと僕は教室の扉を開けて生徒の前に立った。

 そして桑野先生が「今日からこの学校に転入する事になった酉島だ。是非とも仲良くしろ。」と紹介した。

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