1-1 世界で唯一の
感染症、殺人、災害・・・この世には人が怯えるような要素が沢山あるが中でも現在一番多くの人を脅かしているもの、それは怪魔だ。
怪魔は異世界に棲む魔物で時折日本に現れては人を喰らうという恐ろしい存在だ。
時は遡る事20年前、日本に最初の怪魔の群れが出現し、死者25名、重傷者30名、軽傷者15名という惨状となった。
その後も怪魔の侵攻は止まらず次々と死傷者が出ており政府は研究者を寄せ集め、対怪魔用の装備であるヴァルキリーシステムを開発した。
だが、ヴァルキリーシステムにはある欠点があった。
それは「女しか装着できずしかもシステムと適合しなければいけない」という事だった。
そして時は流れ、西暦2045年となりヴァルキリーシステムによってある程度の安寧がもたらされていた。
「姉さん、僕をヴァルキリーシステムの研究所に呼び出すなんてどういう事だよ・・・」と僕は呟く。
僕の名前は酉島 章佳、現在いじめにより引きこもり中だ。
今日は姉である真弥に呼び出されヴァルキリーシステムの研究所である「VSL」に来ていた。
受付で「酉島室長の弟の章佳です。」と伝えると受付の女性は「はい、伺っております。」と返事をして「ではあちらのベンチでお待ちください。」と指示した。
指示通り待っていると姉さんが来て「待ってたわよ、章佳。」と呼びかけると僕は「姉さん、久しぶり。」と挨拶をして酉島研究室へと向かった。
研究室に入ると僕は「それで、何でこんな所に僕を呼び出したの?」と聞いた。
すると姉さんは「章佳、貴方にヴァルキリーシステムの適合テストを受けてもらおうと思ってるの。」と答えた。
僕は「えっ、でもヴァルキリーシステムって女しか装着できないはずじゃ・・・」と戸惑う。
だが、姉さんは「まずは貴方でもシステムが起動できるかどうか確かめるわ。取り敢えずこれに触れて。」と僕に指示した。
僕は姉さんの指示通りヴァルキリーシステムに触れると普通だと起動しないはずだが起動してしまう。
続いて検査を受け、「検査の結果なんだけど、適合してるわ。」と姉さんから結果を告げられる。
最後に僕は「姉さん、何で僕に検査を受けさせたの?」と聞くと姉さんは「それはね、最近完成したヴァルキリーシステムの装着者候補に貴方の名前があったの。それで真実を確かめるために呼んだのよ。」と説明した。
それから1週間が経過し、僕は「何で適合したんだろうか・・・」と思いながら日常生活を送っていると1件のメールが届いた。
僕はメールを開くと本文には「拝啓 酉島章佳様
貴方は先日の検査を受けた結果、東京都八王子市にあるヴァルキリー学園に転入してもらうことになりました。
現在制服のサンプルをそちらに配達してもらっていますので届き次第自分が着る制服のサイズの情報を送信し、4月3日午前10時に制服代や教科書代を持って学園へお越しください。
敬具」と書かれていた。
僕は母さんにメールの事を伝えると母さんは「章佳がいなくなるのは寂しいけど行けばいいじゃない。それにこの町にいるとさらに精神を削がれそうだから都会に行った方がいいと思うわ。」と後押しした。
そして父さんも「まあ今の章佳の様子だと早いうちに都会に行く方がいいかもな。」と賛成し、僕は「うん、みんなが賛成してくれるなら行くよ、東京に。」と両親に向かって言った。
それから制服のサイズを学園に送信し、転校する旨を元いた学校に伝え、4月2日に荷物を抱えて出発した。
東京に到着した翌日、母さんが予約してくれたホテルをチェックアウトした僕はスマホで乗換案内アプリと地図アプリを見ながら学園へと向かう。
電車と徒歩で合計40分、ようやく目的地であるヴァルキリー学園へと到着した。
僕が校内に入ろうとすると職員と思われる女性が校門で待ち構えており、僕を見つけると「酉島章佳君ですね。」と声を掛け、僕が「そうですけど。」と返事をするとその女性は「ようこそヴァルキリー学園へ。私はここでヴァルキリーシステム関係の科目の担当をしている三条です。これから学園を案内しますね。」と言って僕を誘導した。
「まずは理事長との面談がありますので理事長室へ向かいます。」と三条先生は僕を理事長室へと案内した。
赤を基調としたいかにも高級そうな扉をノックした三条先生は「理事長、転入してもらう子を連れて来ました。」と呼びかけると「入って良いぞ。」と返事が聞こえた。
僕は「失礼します。」とその扉を開け、部屋の中央へと向かう。
理事長と思われる小柄だが胸が大きい女性は僕に「わしが理事長の道玄坂じゃ。」と名乗り「まあ、座るが良い。」と着席を促すと僕は応接室で見るようなソファに座る。
理事長は「さて、これから面談じゃが一つ聞きたい事がある。」と僕に言い、「ハーレムを作る気は無いか?」と質問した。
僕はその質問に「ちょっ、なんて質問してるんですか!?」と驚きを露わにする。
そして「ハーレムはいいぞ。何せ可愛いくてスタイルの良い女子が揃いにも揃って好意を抱く、これ以上冥利に尽きることは無いのじゃぞ。それにこの学園だと簡単に質の良いハーレムを作れるのじゃ。」とアピールする。
だが、「理事長、他人を困惑させないで下さい。」と秘書と思われる若々しい女性が理事長に笑顔で圧を掛けた。
すると理事長は「分かったのじゃ。だからその笑顔をやめるのじゃ。」と狼狽えた。その様子を見た僕は彼女は怒らせない方がいいと悟った。
理事長は「それじゃあ気を取り直して本題に移るぞ。お主にはここの中等部3年として転入してもらいその傍らお主専用のヴァルキリーシステムを使って怪魔と戦ってもらうのじゃ。」と言い、僕は「僕専用のヴァルキリーシステム・・・ですか。」と返事をする。
その返事に理事長は「その反応、さては疑っておるな。」と直感し、僕に「お主がどんな境遇にいたかは知らぬがここにはお主をいじめるような愚か者はおらぬ。」と説得するが信用できない。
理由は簡単な事だ。学校は生徒の命より学校の評判を優先するためいじめの事実を隠蔽するなんて事を平然と行う腐敗した場所だ。
もし仮に認める場合は被害者が自ら命を絶って遺書や証拠が見つかった場合のみであるが出鱈目とか言って悪あがきをする場合もある。
だから僕は学校の言葉は微塵も信用していないため理事長の言葉を疑っている。
その様子に理事長は「猜疑心が強いやつじゃな。まあ、これがあれば信じるじゃろ。」と僕に7枚の写真を見せた。
そして「これらはヴァルキリー学園の最高特殊部隊『ACE』のメンバーの専用ヴァルキリーシステムなのじゃ。そしてこの白いヴァルキリーシステムがお主専用じゃ。」と教えたことで僕は理事長の言葉を信じる事にした。
そして、「これで面談は終わりじゃ。あと、ハーレムを作るのはおすすめじゃぞ。」という理事長の言葉で面談は終わった。
廿楽です
今回より新作が始まります