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いつか月を奪う   戦士  作者: 旨とら
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見たことがない魔物

 夜に馬を休ませて、ターラーは食事を済み、ちょっと仮眠した。夜明けの前に里に着いた。里の衛兵に身元を明かして、すぐに族長と面会を申し込んだ。


 伯父と長老達の会議はいつまで続くにハラハラする。里の異変の正体が分からなくて不安しかないが、今ができるのは待つだけだ。


 役場前の広場でそぞろ歩き、夜がすっかり明けた時、里の偉い様達はようやく議事庁から出てきた。


 「ターラー?なぜここに?」


 エロンは姪の姿を見えるのは意外な顔して、せっかちな表情を隠さない。


 「いつ帰れきた?どうやって?朝ごはん食った?」


 「伯父さん!里は一体何があったよ。」


 「いや、特に大変なことじゃない。作戦の計画はもう立ったんだ、あんたみたいな子供は心配する必要はない。」


 最初から戦力に計算されていない、廃鉱坑に現れた魔物について説明もしない、詳しい情報どころか、心配さえ許さない。


 「教えてよ、伯父さん!」


 エロンの袖を掴んで、ターラーはほんどう泣きそう。


 「大丈夫で。ほら、早く家に帰って休憩しよう。」


 言葉は槌のようにみぞおちを叩く、その驚愕で呆れた少女を見て、エロンは自分が失言したと気づいた。


 家に帰ってって、彼女の両親が亡くなった今、それ家と言えるか?


 気まずくて、後頭部を搔く、ため息。


 「弓隊に入るか、矢を射るのができるだろう。」



 ここ来る途中、魔物は一匹も見当たらない。昨日はすでに魔物が鉱坑から出てきたと聞いたが、よく見る獣の型で大したないだろう。


 しばらく周辺を偵察して、変わったことがなかった様子。このまま待つとはいかない、次は別働隊を編成して、鉱坑の中に深く進むだ。


 「準備したから入るぞ。元気を出せ!」


 装備を確認したあど、エロンが大声で部下を励ます。急いで里に戻してみんなは疲れてた、早く終わって休もう。


 「ターラー、君は外で警戒する、注意を怠るなよ。」


 ただただ空っぽの瞳で暗い鉱坑の出入り口を眺めて、少女は軽く頭をうなずく。


 伯父と話したから、自分の守備位置に着くまでの記憶がない。思い出したくないことがあると気づいて、気が狂わないため、頭は無意識にないも考えないとする。


 姪の薄い反応の原因が知っても、対処する方法は分からない。弟夫婦はまだ生きてる時全く立ち寄ることがなくて、いまさら自分が何をやっても効果がないだろう。


 まぁ、今回の件を解決したからゆっくり諭そう。


 「よし、進め!」


 火が付いてる松明を持って、十数人の戦士が目の前の鉱坑に入った。ターラーは矢を弓の弦にかけて、大木の後ろに隠す。


 そう、その幼い頃によく登った大木。


 何歳のことだろう。高く登って降りなくて、最後は父に助かれた。母と約束して、身長が馬に乗れるまで伸ばすまでこの木を登ることしない。それから、毎年父に身長を測らせる。測った痕跡は、この大木の幹で、目の前にある。


 ダメ!それを考えるのはダメだ!


 極力で心をそらして、意識を自然に溶かす。


 朝日が暖かい、小鳥の囁き、そよ風に吹かれる感触、鉱坑から伝わってきた悲鳴。


 現実に引き戻されて、見えたのは惨めに逃げた戦士達と後備えとする伯父。


 ターラーは弓を引き、が、鉱坑から出てきた魔物の姿に驚いた。


 あれは、禍々しい肉の塊だ。


 土色の皮膚、触手の腕、柔くて垂らってる肉としわ体を包む。ちょっと平たい所に鼻と耳はない、目のくぼみと口に見える穴は、中に黒い汁が粘りを持って泡を吹く。大人を飲み込めるぐらい大きい魔物は、足と関節がないみたい、かたつむりのように地面で遅く蠢いてる。


 矢じりに土魔法を付いて射る、小石を湖に投げたと同じ特に効果がない。次風魔法で試すと、ただ皮に漣を立てるだけ。


 「魔物の動きを止めろ!」


 数人の戦士が盾を持って肉の進行方向で抑える、周りの人が魔法と弓を駆使し、攻め続けている。痛覚がないか意識がないか、魔物は前進して、肉が盾の間の隙間に割り込む。


 背が低いドワーフ戦士達はもうすぐ埋められそう、即座で考えた作戦は全然効かない。


 「心臓にする核は絶対どこにあるんだ、肉を削って核心を探せ!」


 エロンの命令に従い、みんなが刃物を握って肉の塊に群がる。


 「速く、もう耐えられないんだ。」


 盾で全力を出したら魔物の中に陥ってしまう、垂らってる肉が頭に覆う、嫌がるから上半身は後ろに退いて腰が折れそう。精神も体力も限界に迎える。


 皮を切り開き、粘土の質感の筋肉は悪臭が放す、染み出した汁は飛び散る。


 眉をひそめながら、誰も手の動きを止まらない。肉がどんどん削られていって、魔物の体積が縮まる。


 「見つけた!」


 素手で黒い汁の中に手探り、エロンはやっと核を触れた感触が感じた。


 強く引っ張る、地面に振り捨て、斧で叩き、魔物の核心であった黒曜石は粉に砕けた。


 「終わったか。」


 「しんどかった。」


 荒い息遣いが止まらない、体に付けた汁が垂らす。


 核が失った肉は泥になって、泥が薄黒い煙で蒸発する。


 「臭っ!うわ…何なんだこの魔物。」


 泥が蒸発し、減り続ける肉の中に、腕輪をつけてる骸骨が現れた。ひとりの戦士がそれを見た度、息が止まるぐらい驚いた。


 「に、兄さん?」


 記憶中にある戦士の兄の情報を思い出したエロンもびっくりする。まさか、そんなことはあるか?


 「君の兄は、先日失踪した鉱夫のひとりか?」


 「間違いはないです。その腕輪は、父の作品です。」


 「ここは廃棄した鉱坑だぞ、誰もその中に入る訳がない。もっと確認しろ。」


 戦士が腕輪を拾おうとするとき、顔面が何かにぶつかられて、仰け反って倒れた。


 「警戒!」


 エロンが命令を出した瞬間、魔物が鉱坑から出てきた。


 「またあの魔物だ!」


 形は全く同じの魔物が数匹、這って進んで来る。皮下の肉は芋虫のように口に集めって、一定の大きさの球体になったらエロン達へ撃たれる。


 「散れ!隠せ!」


 しばらく様子を見て、打ち出した肉弾は特に破壊力がなさそう。ただ弾力が良くて、硬い物にぶつかった後反射して二次打撃ができるぐらい。


 「一気に攻めて核心を潰せ!」


 「族長!まだ魔物が出てきてます!」


 増えたのは一匹だけだが、鉱坑の中にあどどんなぐらいおるか分からない。大部隊はまだ帰ってない今、戦力はこの場にいる十数人だけ。魔物がこれ以上増えたら、里に侵入するかもしれない。


 「あの樹を切り倒せ!鉱坑の出入り口を塞げ!」


 よりによって、ターラーには思い出が満載している大木だ。


 「ダメ!その樹だけはダメ!」


 「わがままなこと言うな!いまは里の危機だぞ!しっかりしろ!」


 既に三人の戦士が樹を切り始めてる。まるで幼いの自分の分身が切られてるみたい、少女は心の痛みに呑まれて、襲わてくる魔物の動きに気づいてなかった。


 「ターラー!後ろ!」


 頭が肉弾に強く撃たられて、少女の視野が暗くなり、気絶した。


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