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いつか月を奪う   戦士  作者: 旨とら
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始まりの四日目

 あの悲惨な闘いから、もう三日が経った。


 戦場であった草原、火魔法に爆撃されて穴があっちこっち、水魔法が残した水は血と溶け合う、地面の穴に集まって、赤い水溜まりになる。暗い夜の下、まだ何箇所で人々が魔物の死体を燃やしてる。魔物の中に、どっちか仲間が化したのか、どっちかトサスの部下なのか、もう分からない。その露天葬式場から、切ない歌声が響き渡ってくる。告別の言葉の中、親友の思いは悲しい雰囲気を増す。みんなの体を染み込んで、目から涙を絞り出す。


 馬車の隣、焚き火の前、毛布で身を纏うハスルンカは眠れなかった。今だけじゃない、この三日ずっと、一睡もできなかった。


 目を閉じって、アンニの笑顔、アンニの銀色の髪、アンニの…

 アンニの亡くなった姿。


 まるで悪い夢を見たようだ。いや、夢の方がましだ。寝たら、この酷い現実が夢になって、アンニの隣に目覚めるのかな。


 毛布に付いてる彼女の匂いは薄くなっていく、服に付いてる彼女の血は黒くなっていく、ちゃんと残ったのは、彼女の指輪だけだ。

 彼女は最後に何を言たのか。ありがとうか、ごめんなさいか、それともあの夜まだ言い終わってない言葉か。 あの悲惨な闘いから、もう三日が経った。


 あの時を思い出して、耳の奥に色んな音が彼女の声を覆って聞こえなかった。今、薬草に包まれている耳は痛くて、熱くて…悔しくて。


 成功に戦争を回避したと思ったとき、大地が割れ、溶岩が沸く、噴出した溶岩は宙に集まり、黒い煙が紫色の雲になる。雲の中に灼熱な岩が降り、形が変わって、無数の魔物になって迫ってきた。そして、混乱の闘い、兵士達の悲鳴、剣と槍のてかり…あと、思え出せるのは発狂した仲間の顔と彼女の背姿だ。


 頭を上げて、夜空に浮かぶ、雲に取り巻かれた溶岩はもう固まって、太陽と同じ大きさ、少し紫色に見える球体になっていた。


 トサスはまた何か企んているか、最凶最悪の彼は一体何を望んでいるか。彼の悪の計画がバレた後その暴れ様、それは相当いかれた。ても、溶岩でこんな球体を作るのは何のつもりだろう。三日も経った今、まだ何の動きもない、放っといて本当に大丈夫か。



 各知恵種の葬式が終わったら、そろそろ本格的に問題を解決しようが…

 そうゆう気分じゃなかった。


 仲間と色んな困難を乗り切って、成功はようやく目の前だったが、まさか相手は神なんて思わなかった。


 そして、自分の迷いのせいで、大好きな人が亡くなった。


 彼女の指輪を握て、悔しくて悔しくて、耳の傷口はまた血が出ってきそうだ。


 何をやろうか。彼女がいない世界をもっともっと素敵すると彼女も喜ぶだろうか。


 まだやるべきことがあるんだ。溶岩が湧き出して、残した巨大な穴は母さんが何とかして、いまは荊棘の林になった。事実が書かれてる星の石碑を読んで、みんなの誤解は解けたはずが、トサスはそう簡単に諦める訳がない、あいつなら溶岩があれば新たな魔物が作れるんだ。



 そう考えている時、焚き火は急に明るくになって、中から焔に包まれている少女の姿が現れた。


 「鳳凰か。」

 「いや。俺だ。」

 予想と外れ、女の子の口から中年男性の声が出った。

 「父さん!」


 少女を包まる焔が蛍のような光に変わって、膨らむ。光が散らしたとき、もう記憶にしか存在しないと思った英雄の神がハスルンカの前に立っている。


 全ての知恵種の創造に関与する英雄の神、ホーマン様は千年前に亡くしたが、まさかこのときまた会えるとは。



 再会に喜んで、抱きつこうハスルンカを止める、神は早速本題を突く。


 「あんまり時間がないので短くする。まずは神達と話し合った結果、これから俺は太陽の神としてトサスを防ぐ。次は、トサスは怒りと滅びの神を辞めたそうだが、明星の神を捉えたので別の神になったようだ。」


 「神を辞めて別の神になるなんで、こうなんのできますか?それに、明星の神は今…」想像力すら超えた事実はとても理解できない。事態がこうになったら、これからどうすればいいか…


 千年経っても、相変わらず人の気持ちを気にかけない、困惑しているハスルンカに話を続ける。


 「三日前、溶岩が地下から出た同時、トサスの怒りと滅びの力も世界中に広がっていた。いま、この力は全ての生き物の中に存在する。おそらく、これが三日前の異変の原因だ。」


 三日前のことを考えて、魔物の自害のような動き、結晶になった魔物の血、みんなの不自然な変化、命が欲しくないみたいな狂気、その違和感、そして…



 ああ、そうか、そうゆうことか。友たちが発狂した、仲間が攻撃された、彼女が、アンニが亡くなったのは全部あいつのせいか。


 そう思って、胸の奥に何が湧いてるみたい。筋肉が膨らんで、耳の傷から血が出て、頭が痺れて、視野が…


 「ハル!しっかりしろう!いま、あんたしか頼るんだ!」


 父さんに叱れて、意識が戻ってきた。一瞬で、全身の関節が崩れたみたい、ぺたりと地面に座った。


 「これが…これが怒りと滅びの力…トサスの神力の影響か。」眩暈と頭痛はまた続いてる。額を触ると、皮膚の下に角のような硬い塊が感じる。


 「この神力は知恵種にどうのような影響を与えるかまだ全部はっきり分かってないが、過度の憎みと怒りがその発動する条件は確かだ。」


 ホーマンが一つの赤い瑪瑙を出す、瑪瑙は英雄の神の独特な赤い光を放つ。暖かい光に照らされ、ハスルンカはだんだん落ち着いていく。息子はもう無事になったと判断し、神は次にもう一つ緑色の瑪瑙と一緒に渡す。緑の瑪瑙はちょっと大きくて、母さんの優しい包容の力が感じる。


 「このリンダからの瑪瑙もあんたが持つ。俺の瑪瑙は回復の神力がある、リンダの瑪瑙はあの荊棘の森と同等な封印の神力が宿っている。」


 ひざまずいて、ハスルンカは親がくれた瑪瑙を受け取る。頭を上げて、父さんは珍しくて、優しい笑顔を見せた。


 千年前と同じく、久しぶりに、頭が父さんに撫でられた。


 「頑張れよ。我がバカ息子よ。これからきっと色々大変だが、気を落とせず、全力で悪神トサスの威嚇から世界を救え。」



 東の空が明るくになって、お別れの時間だ。

 ホーマンの服が燃えてきて、憑依の状態が解けつづ。物語が始まる四日目だ。


 これから、ハスルンカ、最初のエルフ、最大最強の敵を倒すため、険しい道を歩んでゆく…






 「あっ!そうだ。」


 わざとなのか?と思わせるぐらい。神は淡々と、また思いも寄らないことを教えた。


 「リンダは荊棘の林の中に何がおかしい、知らない人達がおると言った。」


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