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私は美しいから目が焼かれることもあるよね

 翌朝。


 教室へ入るとまた注目を浴びてしまった。

 静かにドアを開けたんだけどな。


 やっぱりイルメラの美貌が圧倒的な存在感を放っているんだろうか。

 ああ、美しいって罪だわ。


 とはいえ見られるのは恥ずかしいので、そそくさと視線から逃げるように昨日座った席へと向かう。


 まだアルは居ないようで、手持ち無沙汰になってしまった。

 暇すぎて自分の手相を見ていると、生命線が途中でぶつ切りになっている事に驚愕した。


「あの、クラインベック様…」

「…」


 嘘…私の生命線、短すぎ!


「あの!」

「!?」


 びっくりした!

 私を呼んでいたのか。

 今まで家名で呼ばれたことが全然ないので気づかなかった。


 それにしても様付けで呼ばれるのって過去にも何回か経験あるけど、慣れないしむず痒いよね。


 それはそうと、今話しかけてきた子は茶色の髪を三つ編みにした大人しそうな女子だった。

 素朴な感じがして、見ているとこちらも落ち着いてくる。

 マイナスイオンでも出しているのだろうか。


「クラインベック様はお菓子作りがご趣味なんですよね」

「…うん」


 おっと趣味の話か。

 だが甘い!

 例え趣味の話しだろうが、私と初対面で簡単に会話ができると思ったら大間違いだ!

 誰か助けてください。


「私もお菓子作りが好きなんです!先日もマフィンを焼きまして、とても美味しくできたんです。よろしければ今度、お互いに作ったものを持ってきませんか?」


 おお、何ということだ。

 こんな女の子女の子した会話は、私にはまだ早い気がするんです。

 こういうのってなんて返せば良いのか分からない。


 でもとりあえずオッケーしておけばオールオッケーだよね?(思考放棄)


「いい、よ」

「ありがとうございます!では早速明日やりませんか?」

「いい、よ」

「楽しみですね!クラインベック様は何を作りますか?あっ、こういうのって当日お互いに見せ合うまで秘密ですよね!今から楽しみでワクワクしてしまいますね!」

「いい、よ」


 途中から耳から入った音が脳まで行かずに、そのまま逆の耳から抜けていった。

 返事はしたし上出来だろう。


 というかこの娘、大人しいなんてとんでもない。

 ただのマシンガンだったよ。


「おはよう、なんだか楽しそうだね。私も混ぜてくれないかな?」

「殿下!?えーと、あの、あっ、授業の準備があるので私はこれで失礼します!」


 アルの登場でマシンガンガールが座席へと戻っていった。

 まあ、同じ趣味を持ってる仲としてお菓子は作ってきてやろう。


 私は前世の頃からお菓子作りが趣味で、休日にはチーズケーキなど作っていた。

 今世でも、厨房で料理長と一緒にクッキーとか焼いていたので腕は前世よりも更に磨きがかかっている。


 勿論作ったものは両親やカイ、アルなどにもプレゼントした。

 皆んな喜んでくれて作り手としてはとても嬉しい。


 だが、第一王女(エリー)に渡したことだけは後悔した。

 最初に渡した時は美味しいと言ってくれて嬉しかった。

 だが、その後から私がお菓子を持っていると分かると、魔法で姿を幼女に変えて本物の幼女みたいにせがんできたり、アルに変装したりしてお菓子を根こそぎ食べてしまうのだ。


 あの人もう17歳なのに幼女のフリして恥ずかしくないのかな?

 妹のアンを見習ってほしいよ。


 アンは昔のポンコツっぷりはたまに顔を出すくらいで、今は王女らしい立ち居振る舞いを身につけている。

 髪型は依然縦ロールのままだけど。


 閑話休題。


「彼女はイルと友達になりたかっただけみたいだから大丈夫だよ。もしイルに危害を加えそうな人がいたら、私が処理するから安心してね」

「あ、はい」


 今、処理って言ったよ!

 一体何をするのかは怖くて聞けない。

 ていうか本当に何かをやりそうで、そっちの方が怖い。


 そんな会話をしているとチャイムがキーンコーンカーンコーンと鳴った。

 この世界もチャイムの音変わらないんだ。


「皆さんおはようございます。遅刻者は…いないようで良かったです。では早速授業を始めますので、移動しましょうか」


 ん?

 いきなり移動教室の授業か。

 最初は教室かと思ってたから意外だった。


「最初は魔力量と魔法技量の測定を行います」


 普通の座学のオリエンテーションではなく、いきなり魔法関連の測定とは魔法がある世界の学校ならではだ。

 よーし、ちょっと本気出しちゃおうかな〜。


「よしよし、その意気だよ」


 ふんす、とやる気を出していると隣にいたアルに頭を撫でられたので顔を見上げると、何故か小動物に向けるような温かい目で私を見ていた。




 そんなこんなで魔力測定室と書かれた部屋に着くと、部屋の真ん中に置かれた直径1メートルくらいの大きさの水晶玉みたいなものに一人ずつ順番に手を触れていく。


 誰かが触れる度に水晶玉が光っていたが、人によって光の強さはまちまちである。

 どうやら魔力量が多ければ多いほど、水晶玉が光りが強くなるようだ。


 何人かが結構眩しい光りを出して、その度に皆んなが「おおっ!」とザワザワするといったことがあって面白かった。


 そして、いよいよ私の番になった。

 さあ、私が見せてあげよう。

 第二の太陽をな!


 ピカッ!!


 水晶玉に触れるとあたり一面が真っ白に染まり、次の瞬間には目に激痛が走って真っ暗になった。


 ぐああ!

 目が、目がああああ!


 どうやら部屋の中にいた人全員が被害を受けたようで、辺りからは悲鳴が聞こえてきて阿鼻叫喚の状態になっていることが窺える。


 暫く悶えていると急に楽になり、目も問題なく物が見えるようになった。

 どうやら回復魔法を使える女子が、一人一人に魔法をかけて回っているらしい。


 なんていい人なんだ。

 これはもはや天使だな。


「イルの魔力量が多いのは知ってたけど、これほどとは思ってなかったよ」


 そう苦笑いしながらアルが褒めてくれた。

 ん?これは褒めているのか?


 全員が回復したところで最後にアルの順番になった。

 クラスの皆んなにトラウマを植えつけてしまったのか、全員が目を手で覆っていた。

 かく言う私も目を手で塞ぎ、少しの指の隙間から見守っている。


 ドキドキとした緊張感が漂う中、ついにアルが水晶玉に触れた。

 だが、確かに光りはクラスの中でもかなり強くて私を抜けば一番光っていたが、目を焼くほどではなかった。


 全員がほっとしたような表情でアルに拍手を送っていたのは、納得できない。

 お前ら私の時はしてくれなかったくせに。


 全員の魔力量の測定が終わったので、次の魔法技量測定をするために別の教室へと移動することになった。

お読みいただきありがとうございます!沢山のブクマ、評価励みになります!



執筆しているときに過去の話しの内容を見ようと思って見返すことがあるんですけど、さっき第21部分のサブタイが『あ』になっていることに気づいてこっそり修正しました。

いつも本文を書き終わってから、その内容で決めているので最初に『あ』と入れて置いていたのを変更していなかったようです。

これは恥ずかしいですね。やってしまいました。

お読みくださった方も「何だこれは?」と思ったことでしょう。私もそう思いました。

以後気を付けます。

すいませんでした!

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