成長は喜ばしいよね 前編
遅くなってしまいすいません。
長くなりそうだったので前後編に分けました。
6歳になった。
ハッピーバースデイ トゥ 俺。
ハッピーバースデイ ディア イルメラ。
いええええええい!
イルメラになってから初めての誕生日だ。
子供の頃の誕生日ってワクワクしたよね。
ご馳走やケーキ、プレゼントとかも良いし、何より本日の主役って感じがする。
精神的には大人だけど、身体はお子ちゃまなので全力で楽しみたいと思います。
「あら?今日は早起きですね」
今日も俺を起こしにやって来たイーナだが、残念。
俺はすでに起きている。
遠足とか楽しいイベントがある日って、いつもより早く目が覚めるよね。
「お一人で着替えられたのですか?」
「ぶい」
イーナにVサインを送る。
そう、俺一人で着替えもバッチリ済ませている。
今まではイーナに起こされて、そのまま着替えさせられていたが、今日の俺は一味違う。
なんたって6歳児。
朝の支度くらい自分でやらねばなるまいよ。
「お嬢様、リボンが曲がっています。…それと、大変申し上げにくいのですが…お召しのドレス、前後が反対になっています」
「…へ?」
おそるおそる鏡台で自分の姿を確認すると、そこにはお腹の辺りにヨレヨレと曲がっているリボンを結び、前後反対にドレスを着ている残念な少女が映っていた。
くっ…通りで襟が首にぐいぐい当たって鬱陶しかったわけだ。
まさか一人で着替えもできないなんて。
あれ、目から汗が。
「…いーなぁ」
「お嬢様はよく頑張りました。初めてお一人で着替えられたのです。これだけできたら十分凄いですよ」
慰めないでえ!
21年生きてるのに着替えも満足にできないなんて。
イーナが目を潤ませている俺の服を器用に着直させてくれた。
なんだよ。この服、前側の真ん中のラインにフリルついてんじゃねぇか。
こんなに目立つポイントあるのに前後反対に着るやつとか…バカかよ…。
お腹のところにリボンも結んでもらい、最後に髪もリボンで結んで貰った。
一人じゃあ着替えれない身体になってしまった。
もうイーナがいないと生きていけない。
なんちゃってね。
でもこれからも着替えはよろしくお願いします。
朝食の時間なので、食堂へ向かう。
因みに今は、クラインベック領に戻ってきている。
あのパーティーから大体2ヶ月くらい経った。
カールは学園で元気にやってるようで、毎週手紙を送ってきていた。
学園であった出来事や友達の事などが書かれてあり、楽しい学生生活を過ごしているのが分かる。
実はちょっぴりカールからの手紙を楽しみにしているのだ。
「おはよう、ございます」
「おはよう、イルメラ」
「おはよう」
食堂へ入ると母と父がすでに席で待ってくれていた。
俺も席に座るとすぐに料理が出てくる。
誕生日だから朝から豪華なものが食べれるのかな?と期待していたが、出てきたのはいつもと変わらないような料理だった。
まあ、いくら貴族の誕生日でも朝から豪華な料理は流石にないか。
ご馳走は大体夕食だもんな。
いつもと変わらない普通の会話をして楽しく朝食を済ませた。
特に誕生日の話などもなく本当にいつも通りの会話だった。
あれ?
両親よ、忘れてないよね?
そういえばイーナも特に何か祝ってくれたりとかなかったな。
イルメラとして目が覚めて、「記憶なくした!」ってなったときイルメラの誕生日を教えてくれたのに。
あっ、ひょっとしてサプライズでもしてくれるのかな?
だから皆んなイルメラの誕生日に気づいてないふりをしてるんだろう。
たぶん。
それか、誕生日を祝う慣習がないとか?
うーん、折角の誕生日なのにそれは悲しい。
前世では友達も居なかったし、働いて一人暮らしするまで両親が祝ってくれたんだよな。
今頃元気でやってるかな?
それにしても、イーナ以外の屋敷の使用人も全員「誕生日おめでとう!」とか言ってくれないし、そんな素振りすら見せない。
これはもしかしたら、本当に慣習がないのかも。
こうなったらアレをやるしかないな。
そう、一人誕生日パーティーを!
というわけで、早速部屋に戻りぬいぐるみたちをベッドの上に円状に並べて俺もその輪に入る。
ふむ、なかなか様になっているのではないだろうか。
これはパーティーと呼んでも良いのでは?
皆んな笑顔だし。中には無表情のやつもいるけど。
だが、ここから何をすれば良いんだろうか。
相手はぬいぐるみ。
お喋りも出来なければ、トランプも出来ない。
むしろこの状況で出来ることってあるのだろうか。
ぬいぐるみ相手はまだまだ初心者だったようだ。
もしかしたら、ぬいぐるみとは遊びの上級者が使うものだったのか。
ちくしょう!
一人誕生日パーティーもできないなんて!
というか、さっきからイーナが「ぬいぐるみと輪を作って何してるんだろう?おままごとかしら。うふふ」って顔して見てきてて正直辛いです。
「イーナ、今日は、何の日?」
「何の日と申しますと…特に予定などもございませんよ?それよりも、本日は良いお天気ですので、庭へお散歩に行かれるのはいかがでしょうか?」
「むー…そうする」
この世界は誕生日を祝わないのかな?
じゃあ仕方ないか。
屋敷の料理人にケーキでも焼いてもらって一人で食べてよう。
庭でお茶でも飲みながらとか、なかなかお洒落だと思うんだ。
よし、そうと決まればケーキを作ってもらおう。
だが料理人とは一度も話したことがない。
ということで。
「イーナ、ケーキ、食べたい」
イーナさん、お願いします!
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次回の更新は明後日です。




