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人の変化は不快に残る
いつもと変わりない朝。いつもと変わりない通学路。いつもと変わりない大学。
変わっていたのは、皐月を見たまわりの反応だった。
百合園家の御曹司であることは認識されているので、少なからず注目を浴びるのはいつものことだ。
それまで視線とともに向けられていたのは好奇と興味。それが今日は、おびえと萎縮になっている。ひそひそとした話し声は、ものものしい不穏な空気を感じさせた。皐月が顔を向けると一斉に顔をそらされ、話し声もやむ。
まだ、何も嫌な予感はしない。だからこそ皐月は首をひねった。このかすかな変化の理由がわからない。わからないままでは心のもやが晴れることはない。
この状態を引きずったまま、いつもと変わりない授業を受ける。昼休みには、いつもと変わらずに食堂へ足を運んだ。すでに人が集まっているこの場所でも、変に視線を感じる。配膳のおばちゃんでさえも、皐月に気付くと手渡す動きがぎこちなくなっていた。
誰も座っていないテーブルに定食を運ぶ。椅子に座り、背負っていたリュックを隣に置いた。周りのテーブルに座っていた者たちは、わかりやすく静まり返る。
(え~……。何? 新手のいじめ? )
状況が理解できないまま、食べ始める。




