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どこよりも遠い場所

 カームオーシャンのシズカとプルートのメオ三世を送り出した教主は、央土国北部の状況を生放送で観ていた。

 空調の利いた部屋で椅子に座り、酒とつまみを手に、大画面で惨劇を見物している。


 これを神の視点というのなら、確かにそうかもしれない。


「三人目の英雄に討たれた先祖返りによる組織『新人類』の幹部たちか……。文明の遅れた後進国で、ずいぶんと活躍したらしいじゃないか」


 奇しくもというべきか必然というべきか、新人類の三人が冒涜教団の介入を予見していたように、冒涜教団の教主もまた新人類たちの人生におおよその想像をつけていた。


「原石麒麟が持つ勇者としての強さは、この世界でもそこそこ通用した。英雄だのAランクモンスターだのには及ばなかったが、それでも一般兵はおろか武将さえも越えていた。重用されても不思議なことではない」


 完全に独り言だったが、目の前に麒麟がいるかのような語り口であった。


「……そうだ。上位互換がいるから不要、ということはない。プロスポーツのような興行ならばともかく、軍隊では優秀な人材などいくらいても足りないだろう。お前が楽園世界で厚遇されていなかったのは、もはや軍隊がほぼ不要になっていたからにすぎない」


 彼の言葉にしては珍しく、裏表も歪みもなかった。

 羨ましいと思っている一方で、妬ましいとは思っておらず、なおかつその心情を素直に認めていた。


 楽園では不遇だった『テロ組織』の首領が、新天地で活躍し社会から求められる。

 それが素直に羨ましかった。自分もそうなりたかったと思ってしまっている。


 一方で自分ではこうはいかないことも認めていた。『楽園最強の人間』どころか先祖返りでもなく、優秀な人間というわけでもなく、強力なモンスターを従えているわけでもない。こんな己が瘴気世界に来ても末路は知れている。


 余裕(・・)があるからこそ、素直に認めることができていた。


「千尋獅子子と甘茶蝶花も、忍者と楽士という特異な技能を評価された。この瘴気世界はパワーインフレが極まっているが、ルール面に関してはお粗末だ。聞くところによれば魔王たちは騎士、格闘家、呪詛師、侍の力を持つそうだが……それらは特筆すべき評価を得られなかった。広範囲強化と隠密技能で得をしたな」


 一拍、呼吸を置く。


「気分がよかっただろう?」


 一番肝心なことに、力を込めていた。


「ああ、言い訳はしなくていい。わかるさ、そうでなければ頑張れるはずがない。お前たちの仕事のスケジュールを調べればわかる。暇な時期もあるが、忙しい時はブラックもブラックだ。気分が良くなければ耐えられるわけもない。一生遊んで暮らせる程度の給料も得られているはずなのに、まだ頑張るとはそういうことだろう」


 まるで目の前に麒麟たちがいるかのような口ぶりだった。

 極めて一方的に話をしている。

 想像上の麒麟が目の前にいると考えて、彼の受け答えを妄想していたのだ。

 本当にそれだけだ。だが一度も会ったことがないにもかかわらず、なかなかに解像度が高かった。


「お前たちはこの異世界で活躍できた、そうだろう。必要とされる喜びを受けていたのだろう? 君がいないとダメなんだと頼られていたのだろう? ふふふ、楽しんでいたようじゃないか」


 冷笑嘲笑哄笑もない。

 同郷の友人が出世したことを素直に喜び笑っていた。そうとしか見えない。

 夢想は不可能ではなかった。

 彼は少し救われた顔になっていた。


 それはそれとして、冒涜はする。

 彼は一気に邪悪な笑みを浮かべた。


「では私も楽しませてもらうよ。英雄になれなかったことは残念だが、このポジションも悪くない。私は君たちのマネなどできないが、君達もこの地位に就くことはできないと断言できる。さあ……私に冒涜をさせてくれ」


 あえて、カームオーシャンを忍者にし、プルートを楽士にした。

 どこにいるのかわからず、毒をまき散らす甲種。

 大量の虫を支配し、それらを強化する甲種。


「君たちが活躍してもてはやされた分、敵はその特異性に悩まされてきた。今度は君たちがその特異性を思い知るといい。そして……くくく」


 一番厄介なところは、二体の甲種がどこにいるのかわからないことだ。


「甲種、Aランク上位……央土国の北部一帯に戦域は及んでいる。どこに隠れているのか見当もつくまいよ」


 楽士と忍者は性質こそ違うが、広域戦でこそ真価を発揮する。

 使う者が強大であるのなら、より一層広大な戦場で真価を発揮するのだろう。

 はたして、ラスボスと英雄は如何にするのか。


「いや……案外すぐに気付くか? そっちの方が面白いか」


 あるいは、ラスボスと英雄でも解決できないか。



 雲霞の如き、あるいは台風のような虫の群れ。

 それらはFランクからAランクのモンスターであり、それぞれが強化されている。

 そのうえ地面では山火事のように毒煙が上がっており、周辺を汚染しつつ、モンスターの行動を誘発している。


 そして肝心の火元、諸悪の根源であろう二体はどこにいるのかもわからない。


 高度なセンサーを通じて全景を把握している狸太郎は、ハイテンションになる余裕さえ失っていた。

 あまりの情報量と想定される被害の規模で、思考停止に陥っていた。

 まさしく、どこから手を付けていいのかわからない。


 それは他の者たちも同じである。

 まるで世界の滅びに立ち会っているかのように、空中で立ち尽くすことしかできなかった。


 そんな中で一番先に思考を動かすことができたのは、やはり狐太郎であった。

 彼も苦悶の表情をしていたが、それでもなんとか指示を出す。


「みんな……ここは央土国の北部だ。狙われているのが俺たちだとしても、被害を受けるのはこの付近の人だ。この地を担当している英雄はジローさんとガクヒさん、二人とも知っているから協力を要請しよう。二人は強大だから、センサーですぐわかる」

『それは、いいけどもよ……そのあとは』

「根本的な解決はできないかもしれないけど、被害を軽減することはできる。目の前のことを片付けよう、そうじゃないか?」

『……はい』

「俺たちは器用でも優秀でもないんだ、マルチタスクは控えよう。一旦全員でそこに向かって話し合いをしてから、事態の収拾をしようじゃないか」


 狐太郎には原作知識もチート能力もない。

 この状況で効果的な作戦を考える頭脳もない。

 そんなことはずっとわかっている。

 彼は自分の無能さを呪うことに時間を割かない。


 それでいい。

 兵は拙速を尊ぶ。

 場当たりだろうが何だろうが、とにかく行動が必要だった。


『センサーに映る、最強のエネルギーを持つ二人の元へ向かいます!』


 狐太郎の言葉は、単純だからこそ届きやすい。俺の作戦を信じてくれだとか、今は説明する時間がないだとか、そういう有能ムーブよりも狸太郎を早く強く動かす。


 周囲には撃たねばならぬ虫の群れと、守らねばならぬ人々の住まう町が見える。

 それらを無視して、北部の主幹都市へ急行した。


 飛行する超巨大兵器が、レトロな城のすぐそばに寄るという異世界情緒のあふれるシチュエーションに、誰も感動も興奮もしない。

 誰もが緊迫した空気の中、狐太郎が指示を出す。


「スザク、ビャッコ、セイリュウ、ゲンブ。君たちは俺のすぐそばに立ってくれ、二人に状況を説明するためにも必要なんだ」


「わかりました……みんな、すぐに来て!」


 物見台に集まったのは、魔王と昏というそうそうたる顔ぶれ。

 無論人造種終末機関そのものも相当に強い。

 そんな彼女らをして緊張する存在が、横づけしている城の物見台に出てきた。


「人造種終末機関、フランケンシュタイン!? 聞いた話では、僕のすぐ後のラスボスだったとか……」

「それどころじゃないわ、昏までいる! それぞれが猛者よ!」

「物語が動き始めた……終わりの始まりね」


「うわ~~! 大きい! これ、楽園の巨大兵器か~~!」

「エイセイ兵器、いえ、カセイ兵器? まさか、ユウセイ兵器じゃ……」


 五人のラスボスが霞む、最強の英雄。

 パワーインフレが極まった瘴気世界においてなお最強の存在。


「……狐太郎殿!?」

「これは、一体……」


 震君のジローと北方大将軍ガクヒが、慌てた様子で参上する。

 彼らの登場に、昏たちは緊張した。

 四体の魔王はそもそも味方陣営であったし、英雄相手にも対抗手段はある。クツロは英雄を倒した経験すらあった。

 だが昏たちは逃げるしかない相手であり、敵陣営だった。場合によっては今殺されても不思議ではない。

 緊張するのも当然のこと。彼女らの運命は狐太郎にゆだねられていた。



「全員が揃っていて幸いです。できるだけ簡略に説明させていただきます」



 狐太郎は決して口がうまいわけではない。口先だけで英雄を動かすことなど不可能だが、それを補って余りある実績の持ち主であった。だからこそ普通に話すだけで英雄を動かせる。

 そして普通に話ができる程度には、対人スキルが高かった。


「先日西重に協力していた、昏という組織はご存じですね。その昏と上位組織である祀が、冒涜教団という危険組織によって壊滅させられました」


 冒涜教団、という言葉を聞いて楽園の者たちの視線はノゾミに集まった。

 彼女自身も大いに身を震わせて、自分を抱きしめている。

 瘴気世界の英雄は、黙って話を聞くばかりである。


「残存した昏のほとんどが戦闘不能に陥っており、戦闘可能なのはこの場の四体だけです。彼女たちは協力者であり冒涜教団に捕らわれていた狸太郎さんと、この大きな機体を奪って脱走。ドラゴンズランドにいた私どもへ、戦闘不能に陥った者も含めて保護を求めたのです」


 時系列に少々の齟齬があったため、昏たちは少しだけ顔をしかめた。大筋では合っているし、細かく説明するときりがないので黙っている。


「私たちは昏と協力し、冒涜教団と戦うことを決めました。麒麟君たちへも協力を要請しようとここへ来た次第です」


 ここまで聞いて、ガクヒは思いっきり顔を引きつらせていた。


(昏といえば、強力なモンスターが擬人化した集団と聞いている。現に狐太郎陛下のすぐそばにいる面々は、Aランク上位、中位といったところだろう。戦闘不能に陥っているとはいえ、他の者も同じぐらい強いはず。それにこの機体も強力なのだろう)


 世の中は理不尽だ、と彼は嘆く。


(なぜ狐太郎陛下の元には、これほどの戦力が集まるのだろう。やはり運命か、運命は存在するのか)


 ゲツジョウもそうだったが、英雄はいつでも自分以下の戦力に悩まされる。

 自分が出向けば何でも解決するとはいえ、層が薄すぎる。


 単独でBランク中位を討てる者は少数で、それより上を倒せる者は本当に特別で希少だ。なんなら英雄よりも少ない。

 英雄たちはいつも『俺たちの百分の一程度の実力でいいから、強い部下が十人ぐらいほしいな』と思っているのである。


 そして狐太郎は、そんな部下を大量に引き寄せている。

 ドラゴンズランドの若き貴竜や空論城の悪魔を引き連れていたかと思ったらあっさり契約を解除し、かとおもったらそれ以上の戦力を配下に加えていた。

 もちろん麒麟や究極たちも従えるのだろう。

 運命が戦力を引き寄せているとしか思えない。


(一応言っておくが、お前に従っている部下に対して無礼なことをいうなよ)

(わかっています)


 ジローもそれを感じてはいたが、思っても言ってはいけないことなので視線で弟子を制する。


(そもそも私とて、昏とやらと同じ立場なら狐太郎殿を頼るぞ。昏はもともと狐太郎殿と接触していたというし、人となりは把握されていたはずだ。それにお前は西重の友軍であった昏を部下に加えられるか? 既に央土から離れている狐太郎殿だからこそ、部下に加えても許されているのだ)

(……これが徳ですか)


 ジローの視点からしても、狐太郎の元に昏が訪れたことは不自然ではない。むしろ狐太郎以外では、彼女たちを保護しようとは思わないだろう。

 であればこの状況は一種必然であった……と語る。

 なお本人も少しは『都合がいいことが起きているなあ』と思わないでもない。とはいえそれを口にするのは、色々な意味で負けなので自重している。


「そして、急を要することです。冒涜教団がプルートとカームオーシャンを昏として生み出し、さらに楽士と忍者のショクギョウ技をあたえました。人型で知恵を持ち、蝶花さんと同じことができるプルートと、獅子子さんと同じことができるカームオーシャンです。そしてその二体が……この央土国北部全域へ攻撃を仕掛けています」


 ノゾミは『ああやっぱり』と納得しつつ覚悟を固めていた。


「嫌味ですね。冒涜教団のやりそうなことです」


 英雄二人の顔が、一気に『英雄』に変わった。


「毒の臭いがわずかにあり、上空も虫に覆われつつあるな。事態の説明をしてくださりありがたい。早急に解決いたしましょう」

「プルートにカームオーシャン、忍者に楽士……厄介ですな。であればまずは、それ以外を駆逐しましょう。狐太郎殿のご助力を得られるのなら、さほどの問題もない」


「もちろん僕たちも戦います。獅子子さん、蝶花さん、やりましょう」

「ええ。私たちの同類(反社会組織)が相手なら……禊の意味もかねて、相手をしましょう」

「これですべてが終わるのなら……!」


 ラスボスたちもまた奮起する。

 狐太郎は話がまとまったことを確認し、一息ついていた。


「狸太郎君、俺の仕事はここまでだ。ここから先、できることはないと思ってくれ。頼ってくれたのに、もうしわけない」

『ヒャハ! ヒャハハハハ! いや~~! 謙遜っていうか卑下がヤバいっすねえ! 独裁官なのに腰が低すぎて下半身が分離して地下に埋没しているレベルだ! アンタが役に立たないってんなら、俺はゴミ以下ですぜ! みんなそう思ってますから! マジでね! 流石英雄! マジで俺は自分で自分が恥ずかしいなあ! 段取り八分って言いますけど、アンタに全部やってもらってて赤面ですよ! よし、自爆しようそうしよう!』

「自殺は止めてくれ」


 狸太郎が言うようにここまでまとめた手腕は彼の凄さの表れだった。

 英雄二人や四体の魔王やラスボスたちも、わかってるわねえ、と頷いている。

 だが本当にきついのはここから先であった。狐太郎の『ここから自分は何もできない』も嘘ではない。

 この場に揃った戦力が強大であることは認めるが、それでもなお……。


 事態の収束は困難だった。



 冒涜教団は虐殺を行うがそれ自体は目的ではない。教義はあくまでも冒涜であり、効率的、時間短縮を良しとしない。

 できるだけ時間をかけて、相手に状況を理解させて、肉体的な苦痛を受ける前から入念に精神的苦痛を与えることを良しとする。


 それが彼らの冒涜への美学……ということになっている。

 美意識であることは否定しきれないが、悪趣味、嗜好と言った方が正確だろう。


 そんな彼らはプルートとカームオーシャンの活用を、あえて非合理に行っていた。

 やろうと思えば初手で北部全体を壊滅させることも出来たであろうに、あえて直撃を避けていた。

 街や村に直接戦力を送り込むのではなく、あえて遠くから送り込み、見えるように進撃させている。


 魔境からいくらでも湧く虫の群れだからこその悪趣味なコマ運び。

 どう考えても悪手であり、弱者側からすればつけ入る隙を見出せる油断に満ちた振る舞いだった。

 だが絶望的な戦力差ゆえに、どうにかできるレベルを越えている。


 冒涜教団二代目教主の想像したように、人々は怯えていた。

 虫の群れに包囲された彼らに残されたことは祈ることだけ。


 ああ、英雄よ。どうか助けに来てください。



「虫相手に名乗りを上げるほど、俺の名は安くない。だからこそ、あえて、民草の為に名乗りを上げよう」



 雲霞のごとき虫の群れを焼き滅ぼし(・・・・・・)ながら、北方大将軍がモンスターの群れの前に出陣する。

 人々の住まう地に群れが達していないことに安堵しながら、絶望する必要はないと彼は勇気づけていた。

 英雄(じぶん)がここにいる以上、もう彼らは救われているのだから。


「我こそは皆の守り手! 北方大将軍ガクヒなり!」


 文字通り、虫と神の如き力の差。

 膨大なエナジーを溢れさせながら、ガクヒは己の技を使用する。

 高熱か、火炎か。あるいは……。



跳躍属性(ジャンプ)具現技(クリエイト)(スワロー)



 彼のエナジーは実体化し、まさしく大風のように上空全体の虫たちを覆っていく。

 跳躍属性、つまり触れたものを動かす技は、果たしていかなる結果になるのか。


 それはさながら、逆の流星群。

 一瞬にして膨大な上昇ベクトルを加えられた虫けらは、大気摩擦で燃え尽きながら空へ空へと昇っていく。


「酷い臭いだ、まったく。それで、それをばらまいているのはお前というわけだ」


 虫の残骸、燃え尽きた後の灰が立ち込める空で、彼の目の前に浮かぶのはただ一体の巨人だった。

 操り人形と化した冒涜教団員の操る巨大ユウセイ兵器である。

 少々のダメージを負っているものの、未だに飛行を続けていた。

 余人からすれば驚くべきことだが、ガクヒはさほど驚いていない。そういうこともあるだろう、と余裕を持っていた。


「プルートは臭いで虫を操る。ここに集まれとか、自分を守れ、とかな。恐るべき能力だが、それが限界でもある。命令をする側に人間並みの知能が備わっていても、命令を聞く虫が賢くなるわけもない。であれば、プルートの臭いをばらまいている『なにか』がいるとは思っていた。俺の攻撃に耐えるとはなかなか頑丈だな。まったく……もったいない」


 雲霞の如き虫の群れの中央に座し、虫を操っていた作戦の『核』。

 それが人造種終末機関フランケンシュタインと同じく、狐太郎の故郷の者であることは彼にも理解できる。


 だからこそ、彼は少し安堵していた。

 昏となったプルートがなんの仕掛けもなく北部全域の虫を支配下に置いているのだとしたら、いよいよ絶望するしかなかった。

 タネがあり、それが有限の兵器によるものならばキリはある。


跳躍属性(ジャンプ)具現技(クリエイト)


 ガクヒからエナジーが吹き荒れ、再び技が発動する。


(ホーク)


 これが、パワーインフレという世界。

 ゲームバランスも人間の限界も能力の相性もまったく意味を持たない。


 条件付けが必要だとか相応の対価が必要だとか時間がかかるとか準備が要るとか、そんなものはない。

 象が歩けば蟻は死ぬ。歩くことに象は労力など要さない。


 巨大ユウセイ兵器のパイロットである教団員は、自由意思を失ったまま判断を下した。

 勝てないなら逃げろ、そして暴れろ。

 命を気遣われているのではなく、より長期間相手を苦しめる。

 そのための命令に彼は従っていた。


 わずかに軋む巨体は、ゆっくりと動き出す。

 なんとか身を動かし、クリエイト技を回避しようとする。

 そしてそれは成功した。

 巨大な槍となった跳躍属性のエナジーは、巨大ユウセイ兵器に当たることなく地表に向かって行った。



「必死になって避けたつもりか? あいにくだが、そこは直撃コースだぞ」



 ガクヒの狙った通り、地面に着弾した跳躍属性の槍は、その周辺一帯の大地をくりぬき跳躍させる。

 やはり逆の隕石となって急上昇した巨大質量は、文明の集合体であるはずの巨大ユウセイ兵器に激突し粉砕していた。


 巨大ユウセイ兵器は力を失い、人里に当たらぬ地に墜落する。

 おそらく内部の教団員は死んでいないだろう。だがもはや動けないこと、再生不能であることはガクヒの目にも明らかだった。


「もはや何も恐れることはない! 現在この地には、救国の英雄である四冠の狐太郎陛下も兵を率いて参じておられる! 勝利の報を待っているがよい!」


 ガクヒが跳躍させていた地面には、カームオーシャンの毒煙とそれによって刺激されていたモンスターたちが乗っていた。それの処理も狙った技である

 英雄たちにとって、英雄以外は脅威ではないので当然だった。


(ここはもう大丈夫だろう、次に行かねばな!)


 自らを跳躍させて、次の群れに向かう。

 強大なる英雄は、速やかに事態を収拾させていた。



 プルートの命令に従って虫の群れは動き続けている。

 Aランク、Bランクの虫は数えるほどしかいないが、Fランクの虫は膨大だ。

 それも楽士による支援によって強化されており、もはや一匹であっても一般人にとっては脅威であろう。

 大都市ならば目は届くが、小さな村に一々長々身を置くことはできない。


 一旦救われたとしても、人々は虫の再来に怯えていた。

 そしてそれは杞憂ではなく必然である。

 大量の虫の群れが、小さな山村に殺到してくる。

 恐るべきはプルートのフェロモン。残り香だけでも有害の極みであった。


 遮る物は何もないとばかりに、強化された虫が襲い掛かる。

 凶暴化した虫の群れに対して、対抗できる村人などいるわけもないが……。


 すべての虫が、見えない壁に衝突して死んでいた。

 支援された肉体による、命令されたがゆえの保身無き全速力で、見えないがゆえの想定外の壁にぶつかって死んでいく。


 何が起きているのか知ろうともしないまま、虫の群れは全滅していた。

 村人たちは、何が起きているのかもちろん把握している。


「ありがとうございます、ジロー様……」


 彼らが感謝を向けている先代北方大将軍、震君のジロー。

 彼のクリエイト技により、人里は保護されていた。

 持続性の高い技であり使いどころが難しいのだが、こういう時はありがたいものだ。


 彼自身は今も、白く長いひげを揺らしながら移動している。

 高速で移動しながら、虫の群れへ技を浴びせ続けている。



停止属性(ストップ)具現技(クリエイト)(ゴール)



 虫たちの進行方向に、停止させた空間の壁を設置する。

 それは英雄ならざる者には破壊できない、絶対不壊の壁に虫たちは衝突していく。

 強化されているからこそ自滅し、自殺していく。洗脳下にあるからこそ、目の前の状況を見て行動を変えることがない。

 やはり洗脳されているということは、それ自体が弱点であった。


「巨大な機体とやらはともかくAランクの虫も死なんか……面倒だな」


 手間一つで殲滅できればと思っていた虫の群れの中でAランクだけは衝突してなお生きていた。

 いまだに壁にぶつかり続けている様は、知性の重要性を知らしめてくれる一方で、無知の恐ろしさを知らしめてくれていた。

 ジローは更にひと手間かけて、停止属性の具現技を生存した個体に放った。


停止属性(ストップ)具現技(クリエイト)(エンド)


 体内に浸透し、化学変化(せいめいかつどう)を停止させる具現技。

 膨大な量の停止にさらされた機体と生命体は、等しく活動を止めて落下していく。


「強い虫ほど湧くのが遅い。このまま潰していけば……」


 老雄はふと遠くを見た。

 自分ですら止めきれず耐えきれないとわかる、膨大な熱量の炎が上空全体を焼き払っていく。

 ただ一方向に撃つだけではない、射角をかえる薙ぎ払い。

 それは恐れすら覚える頼もしさで、上空の虫を消滅させていた。


「二体の昏の位置ももうじき暴ける。敵がそれを分かっていないはずがない。であれば、もうひと手間あるのか?」


 だからこそ、英雄はわからなかった。

 敵の思惑を彼は把握しきれなかったのである。



 ノゾミと究極はやはり合体し、地上の虫を相手に戦っていた。

 大量の虫が怖い、気持ち悪いという人並みの感覚がマヒするほどの修羅場で、彼女たちは殲滅に臨んでいる。


「究極のモンスター、貫通形態!」

「絶望のモンスター、冷戦形態!」


 幼女の姿に転じた究極の周囲には、膨大な虫の群れがいる。

 あえて、もっとも脆い形態に変身した究極は、まず雑魚の殲滅を開始したのだ。


「コユウ技、アンリミテッド・エクスペンション!」


 敵と味方双方にバリアや幻覚、分身などの特殊防御を強制的に展開させる、千日手を誘発させる技。

 字面だけ聞く分にはむしろ殲滅に向かない技に思えるだろうが、実際には真逆だった。

 有効範囲内のすべての虫は、自分の力によって高級で強力なバリアを展開させられてしまった。

 彼ら自身の体力はさほどではないため、一瞬で力尽きて死んでいく。


「強化されているといっても、補給されてるわけじゃないもんね!」

「ですがBランク以上の虫はまだ戦えます! トドメを!」

「わかってるわよ! 任せて頂戴!」


 虫の群れ、その数は大いに削がれた。

 しかし本来なら軍隊で対応しなければならないBランクの虫が、十体以上も彼女の前で生きている。

 その個体は、無駄であることに気付くこともなく、豪華な防御を敷かれた究極たちに襲い掛かっていた。


「コユウ技、アイドルパンチ!」


 一方で究極は、特殊防御が多重であればあるほど威力を増すコユウ技の一撃で、逆に一方的にダメージを与えていく。

 まさに絶望と究極のかみ合わせ。ルールインフレの極致が、Bランクの虫を駆除していく。


 だがそれを終えた彼女たちの頭上には、Aランクの虫までも待機していた。


「本当に、キリがないわね!」

「あの虫は、素の防御力が麒麟さんよりずっと上だと思います! ですからこの形態だと……」

「うん! 分かってる! それじゃあ行くわよ……!」


 二体はそれならばと、さらに形態を変化させた。


「究極のモンスター、同調形態!」

「絶望のモンスター、暴走形態!」


「コユウ技、アルティメット・レゾナンス!」

「コユウ技、アンリミテッド・レゾナンス!」


 究極は自力で周囲の敵の強化や回復に同調し、ノゾミは究極に数十倍の回復と強化を注ぎ込む。

 現在の彼女は王都奪還戦と同様にAランク上位二体を相手どれるほど強化されていた。

 そして現在の彼女が出せる技は一種類であり、この状況に噛み合っている。


「コユウ技、レゾナンスインパクト!」


 対象が強化されていればされているほど倍率の増す特効攻撃。

 自他の強化を自分にだけ利するようにするハメ技が、パワーインフレした世界でAランクとされる虫を一撃で爆散させていた。


 どれだけ強かったとしても、知恵なき者、攻撃手段が一つしかない者では倒せない。

 モンスターにとって彼女らこそ究極の絶望である。


 しかしそれは彼女らが死なない負けない倒れないというだけで、この場を一切合切解決できるわけではなかった。


「さて……そろそろ吸収形態になろうか。僕たちは蓄積限界がなく無尽蔵に力を貯めこめるけど、使い続ければ無くなる道理だ。補充も意識したほうがいい……どうしたんだい?」

「冒涜教団のモンスターがどこにいるのか、考えていました」


 自らも冒涜教団のユウセイ兵器であるノゾミは、冒涜教団の蛮行を知っている。

 彼らが敵として立っているのなら、何に置いても討たねばならぬ。

 彼女はこの戦いを自分の戦いであると信じていた。


 かなうなら、八人目の英雄と合流する前に片づけたいと願うほどに。


 だからこそ彼女は、戦いの中で思考を巡らせていた。


「気持ちは、わかる。いや、僕には君の気持ちはわからない。僕はその手の記憶がないからね。でも今の僕らは一体のモンスターとして、英雄の仲間として戦うことに徹するべきだ。狐太郎さんもそうだけど、他の英雄たちも僕らなんかよりずっと頭がいい。考えることはあの人たちがやってくれるさ」

「それは、そうだと思います。でも……」


 狐太郎は頭がよくないが正しい判断ができる。

 それは彼の人生経験によるものだった。

 自分は頭が悪く難しいことができないので、難しく考えるべきではなく、目の前の問題に臨むべきだという考えゆえだ。


 同じ理屈で、ノゾミは『答え』に行きついていた。

 彼女は人生経験が極端に浅い。

 限られた情報しか持たないので、それだけで敵の作戦を想定しようとする。

 限られたピースで、パズルが完成してしまったのだ。


「あ、あああああああ!」

「ど、どうしたんだい!?」

「わかりました! 冒涜教団の生み出したモンスターが、どこにいるのか!」



 原石麒麟、千尋獅子子、甘茶蝶花はやはり前線で戦っていた。

 既に己らを慕うほど信頼してくれている北方の兵士と共に、散発的に襲ってくる低ランク虫モンスターを撃破している。


 大型モンスターを英雄や魔王、昏たちが倒してくれていることもあって、彼らは前線を支えることができていた。

 兵士たちは彼らを尊敬し、感謝し、信頼を寄せている。央土を救った三人がいれば、英雄たちが勝つまで持ちこたえられると信じてくれていた。


 それを感じながら、三人は同じ『幻覚』と会話をしていた。


『やあ、信頼されているね。君たちはこの世界で多くの戦いを潜り抜け、成長し、実績を地道に積んできた。それへの正当な評価だ、実にうれしいだろう?』


『そうですね、その通りです。この評価に対して、僕は後ろめたさを持ちません』

『その通りよ、私たちはこの国のために頑張ったわけじゃないけど、この国の利益になってきたわ。そのことだけは誰にも否定させない』

『私の力が役に立って、私はうれしかった。それも本当よ』


『君たちはそれでいいかもしれない。君たちは社会で評価されないというだけで、一応優れた人間だった。だからこそ現在がある。だがね……私は優秀でも何でもないんだ。非力を弁えてはいるが、それはそれとして、君たちのように何者かになりたいのだよ』


 じわじわと真綿で首を絞められている状況が、敵の悪意を伝えてくる。

 敵の思うがままに戦況は進んでいる。


 優れた棋士が過去の棋譜から棋士の性格を読み取るように、楽園の元テロリストである三人は敵の思惑が読み取れていた。

 会ったことがあるわけでもない相手を脳内で構築し、対話(・・)をしてしまうほどに。


『だから、悪人になることにした。昔の君たちと同じように、悪人になって世から評価を得ようと思った。もう一度言うが、君たちと同じようにね』


『それは、違います。僕たちは悪人になりたかったわけじゃありません』

『昔の私たちは、自分が悪であると気付くことすらなかったわ。だからそれだけは違うの』

『嫌われたかったわけじゃない、むしろ正義だと思っていたわ』


『そうかもしれない。だがね、正義になれないのなら悪で良い。君たちの心に、そういう暗い部分があったことも事実だろう』


 悍ましきことに、本当に対話だった。

 この三人もまた成長し実績を得て、心理的に『自分たちは求めたものを手に入れた』と満足しているからこそ、自分達の暗さに自覚的だった。

 自覚して認めているからこそ、この犯行を通じて対話が成立してしまっていた。


 だからこそ、感覚的かつ直観的、そして間接的に『答え』に行きついていた。


『分かっているとは思うが、このまま戦っていても事態は解決しないよ?』


(このまま戦っていれば、膨大な虫も底を見せ始める。そうなれば楽園の兵器のセンサーでAランク上位モンスターの位置が割り出せる。それは正しい……だがそれは、相手も分かっているはず。つまり敵は僕たちが見つけられない場所にいる? それは……何か違う)

(相手には昏と同じ、楽園以上に進んだワープ技術がある。それを使えば遠くからでも分身を送り込める……本当に? そんな真似をする? 一番合理的だけど、何か違う気がするわね)

(ぞわぞわするわ。むかし弟から『僕を殴ったらお前は犯罪者だ!』と言われた時と同じ、弱さを前に出した感じがするわ)


 圧倒的強者に対する、弱者の戦い方。

 それは強者の持つ強さが意味を成さない土俵に持ち込むこと。

 腕っぷしが強いのなら社会的な圧力をかけ、社会的な強さを持つ者には直接的な暴力を行う。

 それの良し悪しはともかく、弱者の戦い方とはそういうものだ。


 社会に必要とされないまま、力だけを手に入れてしまった性格の悪い弱者。

 それが敵ならば、おそらく最適解は打ってこない。


 このクソ広い戦場のどこかに隠れており、忍者のスキルによってかく乱と潜入を行っている。

 膨大な虫がチャフの役割を果たし、これを削るまで精密な探知ができないようにしている。


 それが最適解だとしたら、この敵はそれをしないはずだ。


『君たちがどれだけ強くても関係ない、君たちが及ばないところに戦力を出しているのだよ。なんなら、隠してすらいないさ』


「あ、ああ!」

「そういうことね」

「なんて、バカな真似を……」


 三人はほぼ同時に『答え』に行きついた。

 そして確信する。


 もうどうあっても、自分達では問題解決ができない。


 事態の根本的な解決に動くことすら許されず、無尽蔵に湧き続ける虫の駆除を続けるしかない。


 再び襲い掛かってくる虫の群れ、その先に待つ終わりの見えない戦いを、絶望的な表情で観てしまっていた。



 プルートのメオ三世、カームオーシャンのシズカ。

 冒涜教団第二陣を率いて参戦した彼女らは、現在揃って寒風吹きすさぶ大地に立っていた。

 メオ三世は蝶花と同じ楽士の服を着てバフの竪琴を奏で、シズカは時折分身を放っている。

 共に戦場にいるとは思えないほど気が抜けており、緊張感に欠けていた。

 特にシズカなど、やろうと思えば自分とメオ三世を隠せるというのに、それをせずにいるほどだった。

 とはいえそれはサボタージュではない。しなくてもいい、と教主に言われていたのだ。

 

「ずっと同じ音楽を奏で続けるなど、朕としては遺憾であるわ。別の曲にしようかしら」

「いんじゃない?」

「もっとちゃんと話をしてちょうだい」

「いらいらしないでよ、もう。うっとうしいなあ」

「あ~~……なんでこんなのと一緒に行動しないといけないのかしら。これならあのゲテモノ三体の方がマシよ」

「あいつ等の同類になりたいの? ヘンタイ」

「それぐらいイヤ、ということよ」


 当然である。彼女たちは戦場にいない、そもそも央土にいない。


 彼女たちがいるのは、北笛の大地。

 央土国との国境付近であり、一応視認できる場所である。


 なんとも冒涜的な話だった、異世界よりも手が出せない場所だった。

 ガクヒもジローも狐太郎も手が出せなかった。狐太郎の部下になってしまった狸太郎たちも同様である。

 先の戦争で手酷くやられた国へ武力を派遣するなど、現在の央土には不可能であった。


 彼女らが油断するのも、無理のない話である。


「お母様とおばあ様が聞いたらなんていうのかしらね」

「だからそれやめなって。そもそも本人でしょ」

「違う! 朕にはおばあ様もお母様もいらっしゃるの! アンタたちと違ってね!」

「記憶も性格も一緒なら本人じゃん。なんだっけ、ほら……スワンプマン?」

「アレは本人が『俺は本人だ』と言っているのだから本人でしょう! 朕は違うと言っているのだから違うのよ! だらしないドロドロ女!」

「ドロドロの何が悪いのかわからないな~~、はあ」


 とはいえ、さて。

 こんなバカな作戦を思いつくのは、彼女らの主がバカだからで、彼女たちのこともどうでもいい(・・・・・・)と思っているからだ。

 言われるがままに悪事を働く彼女らは、世界の残酷さを知らない。 


 そしてそもそも、教主自身が彼女らに対して『ここならラスボスも英雄も手が出せない』とは言ったが……安全地帯だとは言っていない。



「はぁ……楽しい戦争かと思って見物に来てみればこういう輩か……がっかりだな」

「我らの領土から央土にちょっかいをかけている。そんなところかのう? 賢いつもりのバカがやることだな、というよりも我らを脅威と思っていないということか? 央土の英雄は怖いが北笛の王は怖くないと? 先の戦いで負けた以上ある程度は仕方ないと思うが、それでも傷つくな」

「おいおい姉ちゃんたち……どこの一族(チーム)だ? 俺らのナワバリ(シマ)で何やってくれてんの? おお!?」



 誰も思いつかなかった画期的な作戦ではなく、誰も実行に移さない敵を増やす愚策に他ならなかった。

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 お前らが潰した祀と昏がなんで冠とEOS求めてたのか、すっぽり頭から抜け落ちてるー!  そのどっちかがない限り、Aランク上位ごときじゃ生存圏の確立できないんだって……つまりはもっと強い他の奴らの生存…
何気に初の甲種vs現地英雄(大将軍級)ですね。 今までは楽園の技術やら冠によるタイカン技での圧殺でしたが果たして? メア3世が何世になるまで生き残れるか楽しみです。
なるほど。 これはもしかすると… …メオ三世、北笛最強の男の嫁になるのか? 差し当たり、浄化属性ならフェロモンも毒も物の数じゃあるまい。
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