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323/545

意味不明

 物語には、リアルだとかリアリティがないとか、ご都合主義だとかお話のお約束だとか、作者の人形だとか負けキャラだとか。

 まあ要するに、誤った判断をするキャラクター、というものを貶めることがある。


 どう考えても間違っている判断を下すものを、存在するとは思えない愚か者扱いすることもある。


 しかし、実際に歴史を紐解けば。

 近代史を読めば、ありえないほど愚かな判断の目白押しであろう。

 それを知っていれば、とてもではないが『こんな奴がいるわけがない』と言えるわけもない。


 とはいえ。

 誤った判断をした者、責任者がとがめられるのは仕方がないだろう。

 多くの人の命がかかわったことで失敗をし、それをよくあることだから仕方がない、ということは許されない。


 あり得ない失敗も、ありえる失敗も。

 結局は、責任者の罪である。



 現在央土と西重では、和平交渉が進んでいる。

 とはいっても、どちらも本気で交渉する気はない。


 少なくとも、央土は王都からの全軍撤退を要求しているのに対して、西重は一部の軍だけを撤退させるように要求していた。

 ある意味では意見が一致しており、あとは帰還のルートや人数を設定するだけだった。

 既に一万ほどの将兵が、西重が勝ち取った土地へ移動しつつある。


 その間に西重から送られてきた密偵たちは、情報収集を行っていた。

 現在央土はどうなっているのか、何と戦おうとしているのか。

 彼らはチョーアンを探り、カセイの跡地を探り、わずかな生き残りを探り、情報を集め続けていた。


「……これ、報告するのか?」

「いや、でもなあ……」


 集まる情報を見ると、誰もが心折れかけた。

 集まる情報が、荒唐無稽すぎて信じてもらえると思えなかったのだ。


 しかし空を仰げば、そこにドラゴンがいるわけで。


『我こそは百足退治の英雄であるぞ~~!』


「逆に考えよう。簡単に確認できるのだから、それも含めればいい」

「それしかありませんね」



 さて、西重の政府である。

 現在政府の主要人物、要人たちが集まり、報告を待っていた。

 その中には、大王であるコホジウやコンコウリもいた。

 彼らは現在の戦況を把握し、大決断をする必要に迫られていた。


「それでは、軍議を始める」


 央土から奪った城の中で、コホジウが宣誓をしていた。

 皮肉なことだが、奪った会議室の中は厳重な警備が敷かれている。

 戻りつつあるとはいえ、戦力をほぼ吐き出したこの西重では、もっとも戦力が集まっているともいえるだろう。


(さて、これも見られているのだろうな)


 その一方で、コンコウリは達観していた。

 これだけの会議が行われているのだ、彼女も潜入しているだろう。

 その場合、気付くことはできない。


 仮にコンコウリが告白しても、心配のしすぎだと言ってきて終わりだ。

 実際そうならば、どれだけ楽な事か。


「今回は、密偵やチタセーからの報告が届いた。それを周知し、今後の方策を練ることにする」


 真剣な顔をしている、本当に国家を憂いている名君、コホジウ。

 そんな彼に向けて報告をしようとしている、密偵たちの責任者は顔を青くしていた。

 それはこの場で報告を行うことへの緊張というよりも、その内容がとんでもないものだったからだろう。


「では、報告を」

「はっ……ではまず、王都カンヨーを占領しているチタセー閣下からの報告です」


 これに関しては、まったく問題ではなかった。

 なにせ大将軍自らの報告である、これを疑う者はいないし、いたとしても声には出せない。

 万が一おかしかったとしても、それは大将軍の問題だった。


「チタセー閣下とギョクリン閣下は、全軍の三分の二を率いて王都へ進軍し、多大なる犠牲と引きかえに勝利をおさめ、王都を占拠しておられます」


 既に知っていることであり、ある意味では定型文だ。

 だがその、多大なる犠牲、にどれだけの意味がこめられているのか、誰もが既に知っている。

 だからこそ、その一言が重かった。言わなかったのなら、許されないほどに。


「しかし王都を守る軍と斉天十二魔将の抵抗は激しく、二十万もいた兵は十五万に……そして、ギョクリン閣下以下、黄金世代の大将軍補佐が四名も名誉の戦死を遂げました」


 しばらく、悲痛な空気が流れた。

 それは、誰もが黙とうをささげていたからである。


 現在良好とはいえない戦況も、しかし王都の占拠によって支えられている。

 もしも彼らが負けていれば、逃げ出していれば、状況はもっと悪かったに違いない。


「そうした大将軍としての格を持つ五人を討ったのは、十二魔将ではなく引退したAランクハンター、圧巻のアッカだそうです」

「……一人で、五人も討ち取ったのか?」

「さようです。まず三人の将が彼を抑えようとしましたが、時間稼ぎにしかならず三人とも死亡。さらに十二魔将の首席、二席、三席を討ち取った九人と交戦し、そのまま一人を殺し、ギョクリン様へ致命傷を与えました」


 圧巻のアッカ。

 その名前はごく一部では有名だが、国外で知っているのはそれこそ東威ぐらいであろう。

 少なくとも西重の王や重臣たちは、聞いたこともない名前だった。


 だがその大戦果を聴けば、むしろ無名の英雄であったことが驚きである。

 実質的に、戦力を削ったのは彼だけだ。彼さえいなければ、一人も死ななかったということである。


「……圧巻のアッカ、私は聞いたことがない。一体何者だ? なぜ今まで無名だった」


 央土が広大とはいえ、名のある将は知られている。

 その中には、大きな功績をあげたハンターも含まれている。

 その活躍が隠されていたとしても、それは調べればわかるはずだった。


「調査によりますと、圧巻のアッカは……ハクチュウ家という貴族に生まれ、東方戦線……東威との戦争に参加し、若くして多くの武勲を上げました」


 東威と言えば、西重の反対である。

 当然あまり付き合いはないが、今回は同盟国である。

 その国から、アッカに気を付けろ、と言われたことはなかった。


「その後、生来の粗暴さによって家から廃嫡、放逐されました。その後は現大王であるジューガーを頼り、彼のもとでハンターをしていたそうです」

「Aランクハンターか。しかしそれでも、噂ぐらいは聞きそうだが……」


 Aランクハンターの活躍と言えば、やはりBランク上位以上の強大なモンスターであろう。

 それが現れることは珍しく、当然その活躍は噂になるのだ。

 だが圧巻のアッカは、その活躍が表に出なかった。正直に言って、不可解である。

 普通は大志のナタのように、モンスターが現れ、暴れるから現地へ行き、それを解決して喝さいを浴びるはずだ。


「それが、奇怪な話なのですが……彼が長年守っていた土地は、ウンリュウ閣下が攻め込んだカセイなのです」


 この報告がまとまったとき、密偵たちの責任者は頭を抱えた。

 実質的に、この街があったから、西重は負けたのだ。


「ご存じの通り、カセイは物流の要所です。そこを占領できれば、膨大な物資を得ることが出来、さらに各地への侵攻も容易になるはずでした。ですがそのカセイの近くには……シュバルツバルトという魔境があるのです」


 魔境とは、根絶できない危険地帯である。

 大都市を建設するのであれば、魔境の近くに建てないことが普通だった。


「……大都市の近くに魔境があるのか。では多少危険度が低くとも、破格のハンターを置くのは当たり前だな」

「……違うのです」


 報告書を読む者は、この数秒後を予見した。

 自分も味わった、ありえないことへの嘆き。

 それを彼らも口から出すのだ。


「シュバルツバルトは、あらゆる魔境の中でも最大格の危険地帯です。ベヒモス、ラードーン、エイトロール、カームオーシャン、ダークマター、プルート。名だたる最強のモンスターたちがひしめく、最悪の魔境です」


 モンスター退治の専門家ならずとも、知っている最強のモンスター。

 その名前の羅列は、いっそ大袈裟なほどだった。だがこの場で報告されているということは、それだけ信ぴょう性が高いということだろう。

 むしろ、簡単に確認できる以上、実際に現地へ赴いて調べたものもいるはずだ。


「そんな魔境の近くに、カセイはあるのです。Aランクハンターを配置しなければ、一月と持たないでしょう」


「なんでそんなところに大都市など建てた?!」


 だからこそ、大王はそう叫んだ。

 普通に考えて、当然のことであった。

 そう叫ぶのは、何もおかしくない。

 なにせ現地の人間も、そう思っているのだから。


「それが……カセイは当初、とても小さい宿場町で、そうした大物に狙われることがなかったのです。ですが街が大きくなり、維持する必要ができた段階で、シュバルツバルトの存在が明らかになったそうで」

「央土は広大な国だ。わざわざ人材を無駄遣いしてまで、大都市一つを維持してなんになる?」

「移動するべきだという意見もあったのですが、会議では現状維持が長く続いていたようです」

「央土は馬鹿なのか?!」


 ここでコンコウリならば、『全軍で侵略戦争を仕掛けた貴方に、言われたくはないでしょうな』という嫌味を言うだろう。

 だがそのコンコウリをして、唖然としていた。あまりにも馬鹿すぎる。


「そして、そんな土地柄ゆえに、カセイの近く、シュバルツバルトの直近には、十二魔将に匹敵する戦力が集まっていました。つまり、それこそがシュバルツバルトの討伐隊。ウンリュウ軍を打ち破った、無名の英雄たちです」


 魔境を抑えるうえで、一番バカな方法。

 それは戦力を常駐させ、出てくるたびに叩くこと。

 それを最大最悪の魔境で実施し続けてきた、央土と言う国は阿呆である。


 しかし、それを実行し続けてきた、シュバルツバルトの討伐隊。

 なるほど、ウンリュウを相手に引かぬわけである。


「……つまり、アッカの後任たちによって、ウンリュウ軍は破られたということか」


 ギョクリンをはじめとする英雄たちを一人で五人も討ち取り、なおかつ今も手が出せない状況になっているアッカ。

 彼の後任たちならば、ウンリュウたちを倒せても不思議ではない。


「王都の大王が討ち取られたことによって、カセイを治めていたジューガーが大王へと即位し、その結果その討伐隊がそのまま十二魔将へと繰り上がりました。つまり……チタセー様が率いる王都を占領した軍の、実質的な敵です」


 改めて、今更、会議室は沈痛だった。


 現在央土は、四方の国すべてから侵略を受けている。

 しかも西重は、国家の中枢を既に攻め落としていた。


 にもかかわらず、央土は健在なのである。

 他の三方からの侵略を押しとどめ、なおかつ残った戦力を集めて、西重の全戦力を叩こうとしているのだ。

 つまり、四対一で先制攻撃を受けているのに、なお互角なのだ。


 すべての国をまとめて攻め込んでいる、と言えば聞こえはいいが、逆に言うとこれ以上敵は戦況が悪化しえない。

 西重はこれ以上、戦力を用意できないのである。他国を巻き込み終えているので、本当に王都の戦力でどうにかするしかない。


「キンカク、ギンカク、ドッカク……王女ダッキの護衛で王都を離れていた、先代十二魔将の生き残り三名。彼らは特筆するべきものを持ちません。無論ベテランの武将として十分な力を持ち、黄金世代であっても勝てるものは少ないでしょうが……戦況を変えるほどではありません」


 改めて、報告が続く。

 現十二魔将になった、討伐隊の主要人物が列挙されるのだ。


 本来なら、新しい十二魔将など一笑に付すだろう。

 間に合わせの大王に、間に合わせの十二魔将だと嘲るだろう。

 だが彼らは、既にウンリュウを討ち取っている。

 であれば、油断などできるわけもなかった。


「Bランクハンターにして十二魔将六席、原石麒麟。彼は亜人であり、その出自はよくわかっていませんが、大将軍ほどではないにしても、圧倒的な強さを持っています」


 大将軍ほどではないが圧倒的、というのは矛盾して聞こえるだろう。

 だがはっきり言って、大将軍たちは圧倒的というよりも、規格外とも言うべき力の持ち主だ。

 少なくとも、大将軍よりは弱いけども、というのは蔑みではない。


「Bランク上位モンスターを単独で撃破可能……つまり単独で一軍さえも凌駕する力の持ち主ということです」


 もうこの時点で、気の重い話だ。

 これが六席だというのだから、他は更に上なのだろう。


「Bランクハンターにして、十二魔将五席、シャイン。女性ですが、その腕前は国内随一。当代きってのスロット使いとして知られ、二十の属性を保持し、同時に六つの属性を発現させるほどだということです」


 スロット使いというのは、黄金世代でもまれなほど、最高位の術者だ。

 その中でも最上位というのだから、なるほど麒麟より上で当然だった。


「王都にあった魔女学園の卒業生であり、軍からの誘いを蹴ってカセイの討伐隊に参加。攻撃や防御よりも拘束に秀で、ベヒモスさえも独力で抑え込むほどだとか」

「では、並の軍など敵ではないな……」

「ああ。万の軍をもってしても、何もできまい」

「大将軍と変わらないではないか……」


 自分たちが戦うわけではない。

 それを知ったうえで、情報を聞くだけでも震えてしまう。

 ウンリュウ軍が敗れた、それが情報の深刻さを裏付けていた。


「次いで……Aランクハンターにして十二魔将四席、抹消のホワイト。豪農の生まれで、冒険者養成校を首席で卒業し、その後各地でモンスターを相手に修行を積み、シュバルツバルトでBランクハンターになったそうです」


 ある程度、正確な情報であった。

 だからこそ、当人が聞いたら『俺の人生が平凡すぎる』と落ち込むだろう。

 だがそんなことは、西重にとって重要ではなかった。


「……右将軍キンソウ閣下を討ち取り、その功績で十二魔将四席、Aランクハンターに昇格しております」


 右将軍キンソウ。

 その名前が、重かった。


 大王は、固く拳を握る。

 耐えなければならないが、叫び出したくなる名前だった。


「スロット使いであり、奇妙な魔物を従えているそうですが、これは不透明です」


 なお、究極については、情報が不鮮明だった。

 とくに名を上げるようなことがなかったので、仕方がないと言える。


「十二魔将三席、ブゥ・ルゥ伯爵。彼はハンターではありませんが、特別な枠で討伐隊に所属していたそうです。ルゥ家は悪魔使いの家系であり……強化に上限がないことに加えて、悪魔の力が負担にならない特異体質でもあるそうです」


 悪魔使いが近衛兵になっている、というのは、それだけ央土が追い込まれている証拠だろう。

 だが三席に位置するほどの悪魔使いがいるというのは、背筋が凍りそうな事実だった。


「……黄金世代筆頭である、左将軍クモン閣下を討ち取った功績によって、十二魔将三席を得ています」

「どうせ、汚い手を使ったに違いない……」

「悪魔を将にぶつけるとは、央土は恥を知らないのか!」


 実際に汚い手を使って勝ったので、ブゥもこれに反論はないだろう。

 だが『じゃあ攻めてこなければいいのに』とでも言うに違いない。


「そして……Aランクハンターにして十二魔将二席……ガイセイ。圧巻のアッカの弟子にして、ウンリュウ大将軍閣下を討ち取った男です」


 つい先ほどまでならば、アッカもガイセイも、どうでもいい名前だっただろう。

 だがギョクリンを討ち取ったアッカの弟子が、ウンリュウを討ち取っている。

 その事実を前に、軽く考える者はいない。


 黄金世代たちの中でも抜きんでていたクモンやキンソウ。

 その二人でさえも、現役の大将軍たちには及ばなかった。

 だがアッカの弟子であるガイセイは、現役の大将軍、全盛期の大将軍を討ち取っているのだ。

 軽く見れる要素など、どこにもない。


「ウンリュウ閣下を討ち取った功績によって、西原のガイセイを名乗っているそうです」

「なんと……!」

「ウンリュウ閣下の二つ名を、自分の二つ名に!」

「死者を辱める行為だ……冒涜だ!」


 ウンリュウは英雄だった。

 仁智勇を兼ね備えた、本物の英雄だった。

 その英雄を討ち取ったガイセイが、英雄の名を奪っている。

 それはウンリュウの死体を、もてあそぶようなものであった。


「……ここまでは、よろしいでしょうか」


 冷静になることを促すような、報告を行う責任者の発言。

 それを聞いて、コンコウリもコホジウも、今更思い出した。


 十二魔将の首席は、何をしたからその地位にいるのだ、と。


「そうした名だたる面々を率いる、十二魔将の首席。彼は以前から王女ダッキの婚約者であり、それゆえ次期大王の座を約束されております。その上で我等西重の軍と戦う、征夷大将軍の役職に就き、Aランクハンターの座も続けております。それ故に『四冠』の二つ名を送られているのですが……」


 報告者は、想定通りに困っていた。

 彼は『この報告書を読む時困るのだろうな』と思っていて、実際に困っていた。

 部下からの報告を疑うわけではないが、この事実には疑わざるを得なかった。


「……ウンリュウ軍との戦いでは、特に武勲を上げなかったそうです」


 一同、困惑していた。

 十二魔将の二席三席四席は、そのまま討ち取った将軍の格によるものである。

 だが肝心の首席は、武勲を上げていないという。それでは、他の者が不満に思うはずだった。


「それどころか、その……弱いそうです。それこそ、一般人よりも弱いとか」

「……それはつまり、王女であるダッキとの婚約者だからこそ、地位だけ与えられた貴人ということかな?」


 コンコウリの仮説は、それなりに説得力があった。

 まずダッキの婚約者であり、だから飾りとして将軍やら首席やらAランクハンターやらの地位が与えられたのだと。

 腐敗した大国ならば、ありえないとは言い切れないことだ。


「それが、違うようなのです。どうやらその男、虎威狐太郎という亜人は……弱い上で、Aランクのモンスターを従える術を持っているようです」


 酒の席の冗談であれば、いっそ笑えないと言えるだろう。

 だがこの場、大王への直接の報告で、冗談を言うはずがない。

 誰がどう聞いても嘘か冗談としか思えないことを、大真面目に報告しているのだ。

 少なくとも現地の人間は、そう認識して報告してきたのだろう。


「どうやらAランクモンスターの中でも特別なモンスター、魔王を四体も従えているそうで、その結果ドラゴンズランドとも交流があり、その長老の孫である……若きクラウドラインさえも乗りこなすとか。その若きクラウドラインが、さらに配下として、名の有るAランクのドラゴンを従えているそうで……報告書には、その名前も列挙されています」


 意味が分からなかった。

 人間相手になら、地位や役職もそれなりに意味があるだろう。

 だがモンスター相手に、それが通じるわけもない。

 モンスターに通じるのは、腕力だけのはずだった。

 であれば、その狐太郎は、とても強いべき、強いはずなのだ。


「少なくとも、クラウドラインを従えていること、そのクラウドラインがドラゴンズランドの長老の孫であること……これは、確定情報です。狐太郎の部下であることを申告しながら、チョーアン上空を毎日旋回しているそうです」

 

 確定情報、というのは、それこそ誰でも確認できるときにしか言えないことである。

 一切の逃げ道を断つ言葉であり、偽であったなら殺されても文句は言えない。


 しかし大声で本人が喧伝しているのだから、嘘であるわけがないのだ。


「他にも、Aランクの悪魔や亜人、精霊を従えているとか……」


 神の視点を持っていれば、それが事実だと思うだろう。

 だが神ではないものは、報告を真に受けることができなかった。


「皆、聞いてほしい」


 若き大王コホジウは、真剣な顔で、困った顔で、全員へ話しかけた。


「私は今日この場で、結論を出すつもりだった。報告の内容によって、決戦か停戦かを判断するつもりだった」


 それは、彼の覚悟だった。

 コンコウリに言われるまでもなく、現状は厳しい。

 進むのか戻るのか、ここが最後の地点だと思っていた。


「もちろん、この情報は正しいのだろう。敵の欺瞞とも思えない、もしもそうなら、もっともっともらしい情報を流すはずだからな」


 さて、大王の決断や如何に。


「……だがそれでも、この情報を頭から信じることができない。央土と交渉をしている者へ、確認するように伝えるべきだろう」


 それを聞いて、即断を求めていたコンコウリは如何に。


「……そうですな」


 そりゃそうだった。

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― 新着の感想 ―
亜人、精霊、悪魔、ドラゴンのAランクモンスターを従えている一般人以下のクソザコが一席です!……??? って感じだな……まあ、そりゃそうもなる
[一言] 獅子子って元テロリストだよなぁ・・・ これ戦争勝って央土滅んだとしても、この隠密性能で村に毒流して回ったりとかして簡単に西重滅ぼせそうだ。
[一言] あ、これ交渉の席で確認すると「ドラゴンは戦争に参加させない」と言われて更にポカーンとなるやつだ。 リアルで『わけがわからないよ』になるよね
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