意味不明
物語には、リアルだとかリアリティがないとか、ご都合主義だとかお話のお約束だとか、作者の人形だとか負けキャラだとか。
まあ要するに、誤った判断をするキャラクター、というものを貶めることがある。
どう考えても間違っている判断を下すものを、存在するとは思えない愚か者扱いすることもある。
しかし、実際に歴史を紐解けば。
近代史を読めば、ありえないほど愚かな判断の目白押しであろう。
それを知っていれば、とてもではないが『こんな奴がいるわけがない』と言えるわけもない。
とはいえ。
誤った判断をした者、責任者がとがめられるのは仕方がないだろう。
多くの人の命がかかわったことで失敗をし、それをよくあることだから仕方がない、ということは許されない。
あり得ない失敗も、ありえる失敗も。
結局は、責任者の罪である。
※
現在央土と西重では、和平交渉が進んでいる。
とはいっても、どちらも本気で交渉する気はない。
少なくとも、央土は王都からの全軍撤退を要求しているのに対して、西重は一部の軍だけを撤退させるように要求していた。
ある意味では意見が一致しており、あとは帰還のルートや人数を設定するだけだった。
既に一万ほどの将兵が、西重が勝ち取った土地へ移動しつつある。
その間に西重から送られてきた密偵たちは、情報収集を行っていた。
現在央土はどうなっているのか、何と戦おうとしているのか。
彼らはチョーアンを探り、カセイの跡地を探り、わずかな生き残りを探り、情報を集め続けていた。
「……これ、報告するのか?」
「いや、でもなあ……」
集まる情報を見ると、誰もが心折れかけた。
集まる情報が、荒唐無稽すぎて信じてもらえると思えなかったのだ。
しかし空を仰げば、そこにドラゴンがいるわけで。
『我こそは百足退治の英雄であるぞ~~!』
「逆に考えよう。簡単に確認できるのだから、それも含めればいい」
「それしかありませんね」
※
さて、西重の政府である。
現在政府の主要人物、要人たちが集まり、報告を待っていた。
その中には、大王であるコホジウやコンコウリもいた。
彼らは現在の戦況を把握し、大決断をする必要に迫られていた。
「それでは、軍議を始める」
央土から奪った城の中で、コホジウが宣誓をしていた。
皮肉なことだが、奪った会議室の中は厳重な警備が敷かれている。
戻りつつあるとはいえ、戦力をほぼ吐き出したこの西重では、もっとも戦力が集まっているともいえるだろう。
(さて、これも見られているのだろうな)
その一方で、コンコウリは達観していた。
これだけの会議が行われているのだ、彼女も潜入しているだろう。
その場合、気付くことはできない。
仮にコンコウリが告白しても、心配のしすぎだと言ってきて終わりだ。
実際そうならば、どれだけ楽な事か。
「今回は、密偵やチタセーからの報告が届いた。それを周知し、今後の方策を練ることにする」
真剣な顔をしている、本当に国家を憂いている名君、コホジウ。
そんな彼に向けて報告をしようとしている、密偵たちの責任者は顔を青くしていた。
それはこの場で報告を行うことへの緊張というよりも、その内容がとんでもないものだったからだろう。
「では、報告を」
「はっ……ではまず、王都カンヨーを占領しているチタセー閣下からの報告です」
これに関しては、まったく問題ではなかった。
なにせ大将軍自らの報告である、これを疑う者はいないし、いたとしても声には出せない。
万が一おかしかったとしても、それは大将軍の問題だった。
「チタセー閣下とギョクリン閣下は、全軍の三分の二を率いて王都へ進軍し、多大なる犠牲と引きかえに勝利をおさめ、王都を占拠しておられます」
既に知っていることであり、ある意味では定型文だ。
だがその、多大なる犠牲、にどれだけの意味がこめられているのか、誰もが既に知っている。
だからこそ、その一言が重かった。言わなかったのなら、許されないほどに。
「しかし王都を守る軍と斉天十二魔将の抵抗は激しく、二十万もいた兵は十五万に……そして、ギョクリン閣下以下、黄金世代の大将軍補佐が四名も名誉の戦死を遂げました」
しばらく、悲痛な空気が流れた。
それは、誰もが黙とうをささげていたからである。
現在良好とはいえない戦況も、しかし王都の占拠によって支えられている。
もしも彼らが負けていれば、逃げ出していれば、状況はもっと悪かったに違いない。
「そうした大将軍としての格を持つ五人を討ったのは、十二魔将ではなく引退したAランクハンター、圧巻のアッカだそうです」
「……一人で、五人も討ち取ったのか?」
「さようです。まず三人の将が彼を抑えようとしましたが、時間稼ぎにしかならず三人とも死亡。さらに十二魔将の首席、二席、三席を討ち取った九人と交戦し、そのまま一人を殺し、ギョクリン様へ致命傷を与えました」
圧巻のアッカ。
その名前はごく一部では有名だが、国外で知っているのはそれこそ東威ぐらいであろう。
少なくとも西重の王や重臣たちは、聞いたこともない名前だった。
だがその大戦果を聴けば、むしろ無名の英雄であったことが驚きである。
実質的に、戦力を削ったのは彼だけだ。彼さえいなければ、一人も死ななかったということである。
「……圧巻のアッカ、私は聞いたことがない。一体何者だ? なぜ今まで無名だった」
央土が広大とはいえ、名のある将は知られている。
その中には、大きな功績をあげたハンターも含まれている。
その活躍が隠されていたとしても、それは調べればわかるはずだった。
「調査によりますと、圧巻のアッカは……ハクチュウ家という貴族に生まれ、東方戦線……東威との戦争に参加し、若くして多くの武勲を上げました」
東威と言えば、西重の反対である。
当然あまり付き合いはないが、今回は同盟国である。
その国から、アッカに気を付けろ、と言われたことはなかった。
「その後、生来の粗暴さによって家から廃嫡、放逐されました。その後は現大王であるジューガーを頼り、彼のもとでハンターをしていたそうです」
「Aランクハンターか。しかしそれでも、噂ぐらいは聞きそうだが……」
Aランクハンターの活躍と言えば、やはりBランク上位以上の強大なモンスターであろう。
それが現れることは珍しく、当然その活躍は噂になるのだ。
だが圧巻のアッカは、その活躍が表に出なかった。正直に言って、不可解である。
普通は大志のナタのように、モンスターが現れ、暴れるから現地へ行き、それを解決して喝さいを浴びるはずだ。
「それが、奇怪な話なのですが……彼が長年守っていた土地は、ウンリュウ閣下が攻め込んだカセイなのです」
この報告がまとまったとき、密偵たちの責任者は頭を抱えた。
実質的に、この街があったから、西重は負けたのだ。
「ご存じの通り、カセイは物流の要所です。そこを占領できれば、膨大な物資を得ることが出来、さらに各地への侵攻も容易になるはずでした。ですがそのカセイの近くには……シュバルツバルトという魔境があるのです」
魔境とは、根絶できない危険地帯である。
大都市を建設するのであれば、魔境の近くに建てないことが普通だった。
「……大都市の近くに魔境があるのか。では多少危険度が低くとも、破格のハンターを置くのは当たり前だな」
「……違うのです」
報告書を読む者は、この数秒後を予見した。
自分も味わった、ありえないことへの嘆き。
それを彼らも口から出すのだ。
「シュバルツバルトは、あらゆる魔境の中でも最大格の危険地帯です。ベヒモス、ラードーン、エイトロール、カームオーシャン、ダークマター、プルート。名だたる最強のモンスターたちがひしめく、最悪の魔境です」
モンスター退治の専門家ならずとも、知っている最強のモンスター。
その名前の羅列は、いっそ大袈裟なほどだった。だがこの場で報告されているということは、それだけ信ぴょう性が高いということだろう。
むしろ、簡単に確認できる以上、実際に現地へ赴いて調べたものもいるはずだ。
「そんな魔境の近くに、カセイはあるのです。Aランクハンターを配置しなければ、一月と持たないでしょう」
「なんでそんなところに大都市など建てた?!」
だからこそ、大王はそう叫んだ。
普通に考えて、当然のことであった。
そう叫ぶのは、何もおかしくない。
なにせ現地の人間も、そう思っているのだから。
「それが……カセイは当初、とても小さい宿場町で、そうした大物に狙われることがなかったのです。ですが街が大きくなり、維持する必要ができた段階で、シュバルツバルトの存在が明らかになったそうで」
「央土は広大な国だ。わざわざ人材を無駄遣いしてまで、大都市一つを維持してなんになる?」
「移動するべきだという意見もあったのですが、会議では現状維持が長く続いていたようです」
「央土は馬鹿なのか?!」
ここでコンコウリならば、『全軍で侵略戦争を仕掛けた貴方に、言われたくはないでしょうな』という嫌味を言うだろう。
だがそのコンコウリをして、唖然としていた。あまりにも馬鹿すぎる。
「そして、そんな土地柄ゆえに、カセイの近く、シュバルツバルトの直近には、十二魔将に匹敵する戦力が集まっていました。つまり、それこそがシュバルツバルトの討伐隊。ウンリュウ軍を打ち破った、無名の英雄たちです」
魔境を抑えるうえで、一番バカな方法。
それは戦力を常駐させ、出てくるたびに叩くこと。
それを最大最悪の魔境で実施し続けてきた、央土と言う国は阿呆である。
しかし、それを実行し続けてきた、シュバルツバルトの討伐隊。
なるほど、ウンリュウを相手に引かぬわけである。
「……つまり、アッカの後任たちによって、ウンリュウ軍は破られたということか」
ギョクリンをはじめとする英雄たちを一人で五人も討ち取り、なおかつ今も手が出せない状況になっているアッカ。
彼の後任たちならば、ウンリュウたちを倒せても不思議ではない。
「王都の大王が討ち取られたことによって、カセイを治めていたジューガーが大王へと即位し、その結果その討伐隊がそのまま十二魔将へと繰り上がりました。つまり……チタセー様が率いる王都を占領した軍の、実質的な敵です」
改めて、今更、会議室は沈痛だった。
現在央土は、四方の国すべてから侵略を受けている。
しかも西重は、国家の中枢を既に攻め落としていた。
にもかかわらず、央土は健在なのである。
他の三方からの侵略を押しとどめ、なおかつ残った戦力を集めて、西重の全戦力を叩こうとしているのだ。
つまり、四対一で先制攻撃を受けているのに、なお互角なのだ。
すべての国をまとめて攻め込んでいる、と言えば聞こえはいいが、逆に言うとこれ以上敵は戦況が悪化しえない。
西重はこれ以上、戦力を用意できないのである。他国を巻き込み終えているので、本当に王都の戦力でどうにかするしかない。
「キンカク、ギンカク、ドッカク……王女ダッキの護衛で王都を離れていた、先代十二魔将の生き残り三名。彼らは特筆するべきものを持ちません。無論ベテランの武将として十分な力を持ち、黄金世代であっても勝てるものは少ないでしょうが……戦況を変えるほどではありません」
改めて、報告が続く。
現十二魔将になった、討伐隊の主要人物が列挙されるのだ。
本来なら、新しい十二魔将など一笑に付すだろう。
間に合わせの大王に、間に合わせの十二魔将だと嘲るだろう。
だが彼らは、既にウンリュウを討ち取っている。
であれば、油断などできるわけもなかった。
「Bランクハンターにして十二魔将六席、原石麒麟。彼は亜人であり、その出自はよくわかっていませんが、大将軍ほどではないにしても、圧倒的な強さを持っています」
大将軍ほどではないが圧倒的、というのは矛盾して聞こえるだろう。
だがはっきり言って、大将軍たちは圧倒的というよりも、規格外とも言うべき力の持ち主だ。
少なくとも、大将軍よりは弱いけども、というのは蔑みではない。
「Bランク上位モンスターを単独で撃破可能……つまり単独で一軍さえも凌駕する力の持ち主ということです」
もうこの時点で、気の重い話だ。
これが六席だというのだから、他は更に上なのだろう。
「Bランクハンターにして、十二魔将五席、シャイン。女性ですが、その腕前は国内随一。当代きってのスロット使いとして知られ、二十の属性を保持し、同時に六つの属性を発現させるほどだということです」
スロット使いというのは、黄金世代でもまれなほど、最高位の術者だ。
その中でも最上位というのだから、なるほど麒麟より上で当然だった。
「王都にあった魔女学園の卒業生であり、軍からの誘いを蹴ってカセイの討伐隊に参加。攻撃や防御よりも拘束に秀で、ベヒモスさえも独力で抑え込むほどだとか」
「では、並の軍など敵ではないな……」
「ああ。万の軍をもってしても、何もできまい」
「大将軍と変わらないではないか……」
自分たちが戦うわけではない。
それを知ったうえで、情報を聞くだけでも震えてしまう。
ウンリュウ軍が敗れた、それが情報の深刻さを裏付けていた。
「次いで……Aランクハンターにして十二魔将四席、抹消のホワイト。豪農の生まれで、冒険者養成校を首席で卒業し、その後各地でモンスターを相手に修行を積み、シュバルツバルトでBランクハンターになったそうです」
ある程度、正確な情報であった。
だからこそ、当人が聞いたら『俺の人生が平凡すぎる』と落ち込むだろう。
だがそんなことは、西重にとって重要ではなかった。
「……右将軍キンソウ閣下を討ち取り、その功績で十二魔将四席、Aランクハンターに昇格しております」
右将軍キンソウ。
その名前が、重かった。
大王は、固く拳を握る。
耐えなければならないが、叫び出したくなる名前だった。
「スロット使いであり、奇妙な魔物を従えているそうですが、これは不透明です」
なお、究極については、情報が不鮮明だった。
とくに名を上げるようなことがなかったので、仕方がないと言える。
「十二魔将三席、ブゥ・ルゥ伯爵。彼はハンターではありませんが、特別な枠で討伐隊に所属していたそうです。ルゥ家は悪魔使いの家系であり……強化に上限がないことに加えて、悪魔の力が負担にならない特異体質でもあるそうです」
悪魔使いが近衛兵になっている、というのは、それだけ央土が追い込まれている証拠だろう。
だが三席に位置するほどの悪魔使いがいるというのは、背筋が凍りそうな事実だった。
「……黄金世代筆頭である、左将軍クモン閣下を討ち取った功績によって、十二魔将三席を得ています」
「どうせ、汚い手を使ったに違いない……」
「悪魔を将にぶつけるとは、央土は恥を知らないのか!」
実際に汚い手を使って勝ったので、ブゥもこれに反論はないだろう。
だが『じゃあ攻めてこなければいいのに』とでも言うに違いない。
「そして……Aランクハンターにして十二魔将二席……ガイセイ。圧巻のアッカの弟子にして、ウンリュウ大将軍閣下を討ち取った男です」
つい先ほどまでならば、アッカもガイセイも、どうでもいい名前だっただろう。
だがギョクリンを討ち取ったアッカの弟子が、ウンリュウを討ち取っている。
その事実を前に、軽く考える者はいない。
黄金世代たちの中でも抜きんでていたクモンやキンソウ。
その二人でさえも、現役の大将軍たちには及ばなかった。
だがアッカの弟子であるガイセイは、現役の大将軍、全盛期の大将軍を討ち取っているのだ。
軽く見れる要素など、どこにもない。
「ウンリュウ閣下を討ち取った功績によって、西原のガイセイを名乗っているそうです」
「なんと……!」
「ウンリュウ閣下の二つ名を、自分の二つ名に!」
「死者を辱める行為だ……冒涜だ!」
ウンリュウは英雄だった。
仁智勇を兼ね備えた、本物の英雄だった。
その英雄を討ち取ったガイセイが、英雄の名を奪っている。
それはウンリュウの死体を、もてあそぶようなものであった。
「……ここまでは、よろしいでしょうか」
冷静になることを促すような、報告を行う責任者の発言。
それを聞いて、コンコウリもコホジウも、今更思い出した。
十二魔将の首席は、何をしたからその地位にいるのだ、と。
「そうした名だたる面々を率いる、十二魔将の首席。彼は以前から王女ダッキの婚約者であり、それゆえ次期大王の座を約束されております。その上で我等西重の軍と戦う、征夷大将軍の役職に就き、Aランクハンターの座も続けております。それ故に『四冠』の二つ名を送られているのですが……」
報告者は、想定通りに困っていた。
彼は『この報告書を読む時困るのだろうな』と思っていて、実際に困っていた。
部下からの報告を疑うわけではないが、この事実には疑わざるを得なかった。
「……ウンリュウ軍との戦いでは、特に武勲を上げなかったそうです」
一同、困惑していた。
十二魔将の二席三席四席は、そのまま討ち取った将軍の格によるものである。
だが肝心の首席は、武勲を上げていないという。それでは、他の者が不満に思うはずだった。
「それどころか、その……弱いそうです。それこそ、一般人よりも弱いとか」
「……それはつまり、王女であるダッキとの婚約者だからこそ、地位だけ与えられた貴人ということかな?」
コンコウリの仮説は、それなりに説得力があった。
まずダッキの婚約者であり、だから飾りとして将軍やら首席やらAランクハンターやらの地位が与えられたのだと。
腐敗した大国ならば、ありえないとは言い切れないことだ。
「それが、違うようなのです。どうやらその男、虎威狐太郎という亜人は……弱い上で、Aランクのモンスターを従える術を持っているようです」
酒の席の冗談であれば、いっそ笑えないと言えるだろう。
だがこの場、大王への直接の報告で、冗談を言うはずがない。
誰がどう聞いても嘘か冗談としか思えないことを、大真面目に報告しているのだ。
少なくとも現地の人間は、そう認識して報告してきたのだろう。
「どうやらAランクモンスターの中でも特別なモンスター、魔王を四体も従えているそうで、その結果ドラゴンズランドとも交流があり、その長老の孫である……若きクラウドラインさえも乗りこなすとか。その若きクラウドラインが、さらに配下として、名の有るAランクのドラゴンを従えているそうで……報告書には、その名前も列挙されています」
意味が分からなかった。
人間相手になら、地位や役職もそれなりに意味があるだろう。
だがモンスター相手に、それが通じるわけもない。
モンスターに通じるのは、腕力だけのはずだった。
であれば、その狐太郎は、とても強いべき、強いはずなのだ。
「少なくとも、クラウドラインを従えていること、そのクラウドラインがドラゴンズランドの長老の孫であること……これは、確定情報です。狐太郎の部下であることを申告しながら、チョーアン上空を毎日旋回しているそうです」
確定情報、というのは、それこそ誰でも確認できるときにしか言えないことである。
一切の逃げ道を断つ言葉であり、偽であったなら殺されても文句は言えない。
しかし大声で本人が喧伝しているのだから、嘘であるわけがないのだ。
「他にも、Aランクの悪魔や亜人、精霊を従えているとか……」
神の視点を持っていれば、それが事実だと思うだろう。
だが神ではないものは、報告を真に受けることができなかった。
「皆、聞いてほしい」
若き大王コホジウは、真剣な顔で、困った顔で、全員へ話しかけた。
「私は今日この場で、結論を出すつもりだった。報告の内容によって、決戦か停戦かを判断するつもりだった」
それは、彼の覚悟だった。
コンコウリに言われるまでもなく、現状は厳しい。
進むのか戻るのか、ここが最後の地点だと思っていた。
「もちろん、この情報は正しいのだろう。敵の欺瞞とも思えない、もしもそうなら、もっともっともらしい情報を流すはずだからな」
さて、大王の決断や如何に。
「……だがそれでも、この情報を頭から信じることができない。央土と交渉をしている者へ、確認するように伝えるべきだろう」
それを聞いて、即断を求めていたコンコウリは如何に。
「……そうですな」
そりゃそうだった。




