将を射んと欲すれば先ず馬を射よ
祝、ブックマーク1700件!
今後も精進いたします。
現在西重の本陣では、重苦しい空気が流れていた。
この世界では文明の発展が遅れているため、通信機器の類がほぼない。
だからこそ、戦場の流れが指揮官に届くまで、大きなラグがある。
本陣が推測したように、包囲陣の中にいた黄金世代たちは、手勢を率いて突入してきた部隊を叩こうとした。
当然であろう、指示がなければ動けないようなら、武将だとは言えない。
ましてや仲間が蹂躙されていくところを見せられて、黙っているようなら武人とは言えない。
だが、その彼らは、一瞬で各個撃破されていった。
突入してきた三つの部隊すべてに複数の武将が存在し、しかも斉天十二魔将まで一人ずつ配置されているという。
抜山隊の場合は麒麟と十二魔将の二人だけだが、麒麟がBランク上位を単独で葬る猛者である事実から考えれば、突破力は他の隊さえ大きく超えている。
「くそ!」
その事実が本陣に伝わったのは、快進撃が続いた後のことだった。
国家の未来を担うはずの若き武将たちが、大量に死んだ後のことである。
そして本陣から指示が出て、それが各地へ届くまでには、まだ多くの犠牲が出るだろう。
それを理解しているからこそシュショセイ達の苦悩は深い。
まさか三つの隊すべてに、複数の武将が配置されているとは。
あの寡兵の中に、それだけの数の猛者がそろっているなど、想像もできなかった。
「……布陣している黄金世代、武将たちに伝えろ。これから指示する場所へ、手勢を率いて集合しろとな」
「そ、それは……」
「返事は」
「はっ! 承知いたしました!」
「急がせろ! これ以上各個撃破されてはたまらない!」
シュショセイの指示に、伝令の兵は詰まった。
普通ならば、大将代理に対してそんなことは許されない。
だがシュショセイ自身、わかっていたのだ。この作戦は、あまりにも非情すぎる。
今現在蹂躙されている仲間を見捨てろ、という指示なのだから。
「……敵の進撃は、単純だ。先ほどの攻撃で数を減らしてしまったが、それでも武将の総数はこちらが大きく上回っている。だが、こちらは元々包囲戦を仕掛けていた。だからこそ、武将たちは包囲網のあちこちに分散していて……こちらの指示がなければ、一斉には襲い掛かれない」
確かに黄金世代の武将は多い。だが十万からなる軍勢に、指揮官として配置されていれば、当然分散せざるを得ない。
武将格の力を持った者だけで構成された特別部隊でもあれば話は違ったが、そんな都合のいいものはない。
あったとしても先ほどまでの状況を考えれば、一時解散していただろう。
(そういうことか……!)
今更気付いても遅いが、シュショセイは相手の戦術を理解していた。
どれだけ戦力差があったとしても、討伐隊はこちらの軍の不意を突いているのだ。
規模の違いが目を曇らせていたが、こちらは包囲戦を仕掛けていたところで、無防備になった背中を突かれたのだ。
最初にシュショセイたちが考えていたように、相手が動く前に突撃部隊を編成していれば、複数の武将による連携もとれたであろうに。
だが今、敵はこちらの軍勢の中に入り込んで、そのまま突き抜けている。布陣は大きく乱れ、こちらは指揮もままならない。
だが、その程度で諦めるようなら、大将軍に指揮を任されていない。
確かに被害は大きいが、最初の一撃ほどではない。
結局三つの寡兵が、戦場を乱しているだけだ。こちらの兵士たちが逃げ腰になっていることもあって、人数の被害はさほどでもない。
まともに戦った、武将や正規兵たちはその限りでもないのだが。
歯を食いしばる。
堪えて、指示をする。
「まだ武将は残っているはずだ……敵と同じことをすれば、数が多いほうが勝つ」
既に伝令へ出した指示の通り、この包囲網に残っている武将を一か所に集める。
その集めた戦力を、分散している三つの隊のどれかにぶつけて、一つずつ順番に各個撃破する。
その間に被害も出るだろうが、確実に勝つにはそうするしかない。
「突入した三つの隊の戦力はどうだ? できるだけ消耗は少なくしたい……少しでも弱い隊から狙いたいが」
「この一灯隊と名乗っている輩が、進軍具合から言ってもやや劣るかと……」
元々最大数を誇り、なおかつ竜騎兵さえ抱えている白眉隊は、当然ながら最大戦力であろう。
武将から頭一つ抜けている実力者、原石麒麟率いる抜山隊もまた、同様に西重の軍勢を蹴散らしていた。
だが、兵の質も数も白眉隊に劣り、麒麟のような突出戦力も持たない一灯隊は、やや進みが遅かった。
優秀な本陣の幕僚たちは、一灯隊に狙いを定める。
「よし! この一灯隊に向けて、武将たちを進軍させろ!」
「承知しました!」
どれだけ強い人間でも、同じぐらい強い人間を倍以上ぶつければあっさり倒せる。
それは既に、討伐隊が証明してしまったことだ。
削り切られる前に、本陣が迅速な判断をしてしまえば、戦局は一気に西重へ戻る。
「ふぅ……」
指示を出した。あとは一灯隊にぶつけた戦力の吉報を待つだけである。
こちらの軍勢に飛び込んできた虎を、追い込む算段はついた。
それによって、本陣は一息つく。冷静になったからこそ、地図を広く見る落ち着きが戻っていた。
「……おい、こちらに突入していない、敵の本隊はどうしている?」
討伐隊は、四つに分かれた。
そのうちの三つは自陣に突っ込んできたが、残った一つに関しては何の報告も受けていない。
「はっ……どうやら、最初からその場を動いていないようで」
本陣に、微妙な空気が流れていた。再びの呆れである。
だがしかし、その呆れ、侮りによって、敵への対応が一手遅れた。
その一手による被害は、途方もなく大きい。
「おい、斥候を出せ! 敵の陣営を確認しろ!」
「了解しました!」
シュショセイは慎重だった。
通常なら失敗を取り返すため、功を焦って一気に攻め込もうとしただろう。
だが彼は冷静だった。仮にこの確認が無意味だったとしても、それで処罰を受けることになったとしても。
その本陣がただの囮だったとしても、安易な判断はしなかった。
※
「ファイヤークリエイト、シャイニング!」
「インパクトクリエイト、ララバイ!」
「ファイヤークリエイト、アポロン!」
「ギフトスロット、レギオンデビル、アビュース!」
「プッシュクリエイト、アースエフェクト、ディノエンド!」
「サンダークリエイト、ジュピテール!」
シュバルツバルトでも起こらなかった、Aランクハンター級六人の衝突。
敵味方を問わず、一切の弱者が生存不可能な空間で、両軍の最強戦力たちは真っ向から激突を繰り返していた。
世界最強の生物たちによる、真っ向からの共食い。
今日ここで出会わねば、或いは生涯を退屈な勝利で彩り続けるであろう、無謀な衝突。
両軍の命運を背負った者たちは、己の武のみを恃みとして矛を振るっていた。
「ぐぅああ!」
「くぅうう!」
クモン、キンソウは力負けした。
有り余る才能を生まれ持ち、それを鍛えに鍛え、将軍の地位を得た両雄。
その二人は、無様にも吹き飛んで、地面に転がっていく。
「があああああ!」
そして、ガイセイ。
狐太郎が訪れる前から、アッカの後継者として可愛がられていた男。
シュバルツバルトという極限の地獄の中で、最強のモンスターさえも打ち倒した豪傑。
その彼は、全力で打ち込んだにも関わらず、力負けて吹き飛んでいた。
「……情けないというべきか、それともそちらを褒めるべきか」
「褒めなくていいぞ、首をよこせ」
「はあ……思ったより強い……」
三人が吹き飛んだということは、三人が踏みとどまったということ。
炎の大矛を担ぐウンリュウに、闇の方天戟を構えるブゥと、鉄の剣を掲げるホワイトが切り込んだ。
「ぬぅうう!」
瞬間的な、二対一。
大将軍ウンリュウは、今この瞬間死地にいた。
己の両腕とも言える、後継者二名。
まだ甘いところがあるものの、二人ならば国家を託せると思えた二人。
クモンとキンソウを弾いた、やはり若き傑物たち。
その二人からの猛攻に、彼は踏みとどまる。
退けば押し切られる、だからこそ一歩も下がらない。
「でぃやああああ!」
「たぁあああああ!」
ブゥとホワイトは、相手を死地に追い込んでいた。
だがしかし、相手は大将軍。元より窮地など、いくらでも超えてきたであろう漢。
二人は容赦のない追い込みをかけるが、しかし一歩下がらせることさえできていない。
ガイセイが吹き飛ばされたことも納得だった。
この男は、二人掛りでさえ勝ちきれるとは思えない。
「くく……温いわあああああ!」
吹き上がる、膨大な炎。
二人はそれに体を焦がされながら、大きく後ろへ下がっていた。
「小僧どもが……この俺を誰だと思っている! そのような温い矛で、この俺の首を取ろうなど……百年早い!」
ブゥは、ここまで強い人間を見たことがない。
ホワイトは、目の前の男をアッカに重ねてしまう。
これが、現役の大将軍。
これが、国家の命運を背負った男。
大軍を率い、他国を攻め滅ぼさんとする英雄の姿。
(うちの総大将とはえらい違いだな)
まさしく万人の望む英雄。故郷の期待、国主の願いを任された者。その強さ、覇気は、まさに軍神の如し。
意外性はなく、意表を突かれることもない。ただまっとうな、然るべき英雄。
「燃えるのが好きなら焼いてやるよ! サンダークリエイト、デウス!」
膨れ上がった電撃の矛を、復帰したガイセイが投擲する。
猛攻をしのぎ、若き勇者たちを下がらせた、その男へ追撃を仕掛ける。
「させるかよ! ファイヤークリエイト、サニー!」
燃え盛る炎の槍が、クモンの手から放たれた。
凝縮された炎と雷が、真っ向からぶつかってはじけ合う。
大将軍の前でぶつかり合った力は、空中で爆散し合った。
その余波だけで、大気が荒れ狂う。
嵐の吹き荒れる雲の中へ突入しても、ここまで揺れるなどありえないだろう。
不動の大地さえ揺さぶるエネルギーが去った時、六人の戦士たちは全員が構えなおしていた。
「すみません、大将軍……遅れました」
「気にするな……お前たちに、あれほどの相手はまだ早い」
前を見ながらも、キンソウが詫びる。
この状況で役に立たないなど、将軍にあるまじきことだ。
「今成長し、今勝て。他に失態をぬぐう手はない」
「はい!」
ウンリュウの期待は本物だ、言葉だけで勇気づけているわけではない。
本物の英雄から期待を向けられたのなら、諦めるなどありえない。
「……さて」
一旦の小休止、膠着状態だった。
激突を繰り返すうちに起きる、少々の息継ぎ。
その中で、大将軍は視野を広げる。
「其方にはいい指揮官がいるな、こちらは大分してやられているようだ」
「ん? よそ見とは余裕だな」
「大将軍なのでな、この戦いにばかり気を配ることはできん」
大将軍は、自軍の劣勢を認めていた。
その言葉を聞いて、クモンとキンソウは慌てて軍勢を見る。
城壁の上では歓声が上がり、そこへ攻め込もうとしている自軍の者はほとんどいない。
それは端的に言って、こちらが不利になっているということだった。
「く、くそ……いいようにやられてばっかりかよ!」
「シュショセイがいるはずなのに……それでも寡兵相手に負けているなんて……!」
クモンもキンソウも、どれだけ早く成り上がったとしても、多くの仲間と戦場を駆けた男たちである。
自軍が劣勢ということは、その仲間たちが大勢やられているということ。到底喜べるものではなかった。
「ふん、大将軍様でも、格下の部下が死ぬのは嫌なのか? ずいぶんと博愛主義なんだな」
ホワイトが挑発する。
あくまでも軽い調子、軽い挑発だった。
あるいは、ただの軽口、強がりだったのかもしれない。
「なんだと?」
だが、クモンは怒っていた。
若き英雄は、憤怒に顔を染めていた。
もしもこの場に狐太郎がいれば、そのまま死んで、二度と生き返れないであろう。
それほどのプレッシャーが、彼から放たれている。
「たとえ一兵士だろうと……死んでいい奴なんて一人もいねえよ!」
裂ぱくの気風。
それは彼自身の持つ火炎属性のエナジーに乗って、熱風として吹き荒れる。
「今でこそ俺は、黄金世代の筆頭格だとか言われているが……元々は一兵士からのたたき上げだ」
彼は、薄い人間ではない。ただ順調な人生を歩んできたわけではない。
己の才気を以ってすら、どうにもならないことが多すぎた。
だからこそ、常に高みを目指し、今の位置に達したのだ。
「だからなあ……兵士の命を何とも思わねえ奴は、敵でも味方でも許さねえ!」
まさに荒馬。いいや、荒ぶる竜か。
怒りを燃やす彼は、挑発したホワイトが慄くほどに燃えていた。
「兵士が無駄に死んで、怒らねえわけがねえだろうが!」
「……はぁ」
しかし、ブゥは気が抜けていた。
「じゃあ攻めてこなかったらいいのに……」
しばらく、沈黙が流れた。
「ははははは! そうだな、いいこと言うなぁブゥ! まったくその通りだ、格好悪いったらねえぜ!」
大将軍やその側近と戦う彼らは、大将軍でもなんでもない。
職種、人種からして話が合わなかった。
余りにも酷な不寛容に、ガイセイは大笑いする。
「まあその通りだな……呑まれかけたが、もっともだ。いいこと言うな、悪魔使い」
「え? いや、そういう話なんじゃ?」
「そうそう、そういう話、そういう話! はははは! 良し、行ける行ける! こっちのペースじゃねえか!」
国家の命運を背負って行軍してきた、西重軍。
それの中でナンバー2に位置する、左将軍クモン。
彼は、自分たちの命の、そのすべてを侮辱されたことによって、困惑さえしていた。
「確かに、お前達からすれば、俺達は侵略者だ……平和な国とやらに、攻め込んで殺している事は本当だ。弁解の余地はない。だが……」
怒っているのは、右将軍キンソウも同じだった。
怒りを、相手にぶつけざるを得ない。
「我らの先祖を僻地に追いやった、その歴史を忘れたとは言わせないぞ!」
元々、西重の住人はそこで暮らしていたわけではない。
しかし央土が領土を拡大させていくうちに、どんどん追いやられ、お世辞にも住みやすいとは言えないところへ逃げざるを得なかったのだ。
侵略してきたというのなら、央土が先である。
「……知ってるか?」
「知らねえ。悪いな、学がねえんだ」
「あ、僕は習いましたよ。確か凄い昔のことらしいですね」
しかしながら、やはりというべきか。
その歴史も、国民全員が知っているわけではない。
特に、貴族の当主であるブゥはともかく、農家の生まれであるホワイトや、田舎者のガイセイは知る由もない。
そんなに自分の国の歴史に、興味などないだろう。
「……二人ともやめろ、見苦しい」
さらに怒ろうとした将軍たちの頭を、大将軍が軽く殴っていた。
大将軍自身、彼らの反応に怒らないわけではない。
この肥沃な土地を、独り占めにしている国家へ、恨みがないわけでもない。
だが軍人が、そんなことを相手に言ってどうするというのか。
「今押されていること、昔負けたこと。そんなことを自慢するなど、恥を知らないのか」
つくづく、大将軍の振る舞いだった。
戦っている三人をして、この男に敬意を抱いてしまうほどだ。
「戦って勝て、他に軍人のするべきことはない」
「……はい」
「承知しました」
空気が引き締まった。
一軍の頂点は、つくづく不動の重しである。
彼を倒さなければ勝てないが、果たして勝てるのか。
「あちらのことは、シュショセイに任せろ。目の前の敵を倒せ」
この、英雄たらんとする英雄に、自分たちは勝てるのか。
勝てないだろう、自分達だけでは。
「さて……どうだろうな」
苦笑いを浮かべるホワイトは、改めて強がりを言う。
だがその強がりが、何にかかっているのか、将軍たちにはわからなかった。
「……どういう意味だ」
他でもない大将軍は、そう聞いていた。
彼の笑みに、何かが隠れていると察知したのだ。
寡兵であるはずの彼ら、西重軍と戦うとは思っていなかった彼ら。
その彼らに、どんな策があるというのか。
「てめえらは俺達が、ここでぶっ殺すんだよ!」
ガイセイが笑って答えた。
そう、その予定に一切の狂いはない。
この戦いは、極めて堅調に、ジョーの作戦通りだった。
※
時間は遡る。
討伐隊一行は、走りながら計画を立てていた。
狐太郎とダッキを旗印としているとはいえ、実質の指揮官はジョーである。
彼の説明を、各隊長と十二魔将の三人は聞いていた。
「敵は大将軍が率いる軍勢だ……突き詰めれば、どうやって大将軍を倒すのか、に尽きる」
走る彼の言葉に、誰も反論しなかった。
この場の面々は、アッカやギュウマを知っている。
彼らの強さを知っていれば、それと対等の、真の英雄を殺す無謀さが分かる。
「もしも敵に大将軍が一人だけで、それを補助できるものが一人もいないのなら、こんな簡単な話はない。三人で叩けば、流石に勝てるだろう。だが、奴らは大公閣下の治めるカセイを攻めているのだ。間違いなく、Aランクハンターのことは警戒しているだろう」
ごく当然に考えて、大将軍は死んだら替えが効かない。
もちろん滅多なことでは死なないが、Aランクハンターが相手なら死ぬ可能性は十分にある。
そこまでいかなくても、瀕死の重傷を負う可能性もあるのだ。
「まさか大将軍が一対一でAランクハンターを倒そうとするわけがない。もしもそんな博打のような作戦ならありがたいが……最低でも一人、そうでなくても二人は補助がいるだろう。少し前のガイセイやホワイトのような、若き英雄たちが傍にいるはずだ」
誰も異論をはさまない。
普通に考えれば博打を打つにしても、それなりの根拠が必要だろう。
大将軍に比肩する実力者が三人、それぐらいの戦力がなければ戦争を仕掛けないはずだ。
「大将軍は、強い」
改めて、この進軍の無謀さを語る。余りにも、重い壁だった。
「我らがモンスター退治の専門家であるように、大将軍は対人戦の専門家だ。力負けをしないとしても、どうしても技量で後れを取るだろう。だが……弱点がないわけではない。そして、我等に利がないわけでもない」
元は軍人だったジョーは、確かな勝機を見出していた。
こちらの戦力とて、到底バカにできたものではない。
「我等の強みは、討伐隊に知名度がまったくないことだ」
真面目に語っているようで、自虐のようでもあった。
だがしかし、確かなことであろう。なにせカセイの民も討伐隊のことを良く知らないし、なんなら王族であるダッキでさえその実力を疑っている。
ましてや西の果てから来た敵が、そんなに詳しいわけがない。
「我等討伐隊を、Aランクハンターのおまけだと思っている。そこが付け目だ……!」
大将軍と戦うのは、最大戦力の三人。
しかしその戦いの行く末を決めるのは、それ以外のハンターだった。
「ガイセイ、ホワイト君、ブゥ君……君たちは目の前の相手に勝つことだけ考えてくれ!」
奇しくも、大将軍と同じことを言う。
「それが、私たち唯一の勝機だ!」




