腐っても鯛
さて、今更であるが。
モンスターと一息に言っても、かなり、というかまったく別の存在もひっくるめてモンスターにまとめられている。
例えば亜人である。
ピンインと契約しているキョウショウ族などその典型だが、彼らは魔境で生活しているが別に魔境でないと生活できないわけではない。
彼らが魔境で生活しているのは、単に狩猟民族なので獲物が獲れるからであるのと、農耕民族であるこの周辺の『人間』と衝突せずに済むからである。
農場で働いている亜人がいたり、ネゴロ一族やフーマ一族の様に魔境と一切かかわりのない亜人もいるので、実質亜人は魔境と絡めて考える必要自体ない。
大公が言っていたように、亜人自体が外国人ぐらいの意味しかないので、当然と言えば当然だった。
例えば精霊や悪魔である。
彼らは人間やそれに匹敵する知性の持ち主とコミュニケーションを取らないと消える、『生物』なのかも怪しい存在なのだが、やはり魔境とは無関係である。
もちろん豪雪地帯の魔境なら氷の精霊もいるが、それは魔境でもない豪雪地帯でも同じである。
で、それ以外の過半のモンスターである。『モンスター』たちは、基本的に生まれた魔境から出ることはない。
よほど飢えれば話は別だが、そうでもない限りは基本的に生まれた魔境で生涯を終える。
というのも、この世界における『大抵のモンスター』は、魔境にある『なにか』を摂取していないと衰弱して死ぬ。
これは本人たちもよくわかっていないのだが、とにかく長く魔境を離れすぎると、体調が悪くなるのである。
これは、ドラゴンズランドの竜も同じである。
彼らが長い期間旅をするときは魔境から別の魔境へ移動して、その都度息継ぎをするのである。
これは基本的に時間経過によるものなので、よほど早く移動できるのなら全く必要ないのだが、移動速度が遅ければやはり息継ぎも頻繁に行わなければならない。
何も言わずに飛び出した若きクラウドラインも、やはり多くの魔境を経由しながら、シュバルツバルトを目指していた。
もちろん、途中で食事もしている。
「この辺りまで来たのは初めてだから、獲物の種類も違うな~~」
あまり大きくないモンスターを食べながらの、自力飛行による長旅である。
腹は空くのに大物を食べられないのだから、必然食事の回数も増えていた。
つまり行き着くところは、目についた魔境に頭を突っ込んで食べながらの移動である。
人間風に言えば、目についた森に入っては狩りをしてまた別の森を目指すようなもんであり、やはり普通では考えにくいことだろう。
しかし彼の合理性によるもので、決して無駄でも無意味でもなかった。
「種類って言うか……なんか弱くない? 戊種が全然見当たらない」
そしてもっと言えば、普通の魔境にはBランク上位や中位などまずいない。いてもBランク下位などであり、当然大きくもない。彼にとっては野イチゴを食べている程度にも腹が膨れないことだった。
最初こそ息継ぎがてらに長く探していたが、探すほうが腹が減ると気づいて、結局別の魔境を目指すことにしていた。
「……もしかして、巣から遠いところの魔境って、戊種が全然いない?」
飛んで移動している最中に、彼はその事実に気付いていた。
もう大分移動しているので、帰るに帰れない距離である。
というか、出ていったことが気付かれている時間帯だった。
「今戻ったら、絶対笑われる……」
彼は恥を知っている。
もしもここで戻ったら『え、お前お腹が空いたから帰ってきたの? バカじゃねえの?』と言われることは察している。
実際恥ずかしすぎるので、若い彼は前に進むことを選んでいた。
「うぅ……お腹空いた……」
人間にとってBランク中位のモンスターなど、いないほうがいいに決まっている。
しかし彼にとっては、小物でも腹にたまる貴重な栄養源だった。
空をうねりながら進む彼は、だんだんもうろうとしつつも、普段食べている大きさの獲物を探していた。
「……ん?」
彼はその存在に気付いた。
魔境を見下ろすと、そこに『虎』がいたのである。
彼の主観では普段からよく食べる、狩りの苦手な自分でも食べられる小物だった。
「よし! いたいた! 良かった~~!」
飢えていた彼は、手でつかむこともしなかった。
その大きな顎を開いて、森の中に突っ込んだのである。
そのままザラザラの舌で捕らえつつ、口の中で咀嚼して、あっさりと呑み込んだ。
やはり満腹には程遠いが、多少はごまかせていた。
さて、次のところへ行こう。
そう思っていると、眼下から声が聞こえてきた。
「おお、竜神様!」
割と聞きなれている、人間の声だった。
なにかと思って見下ろすと、そこには十人ほどの人間がいたのである。
「……人間がいたんだ」
ドラゴンズランドで暮らす彼にとって、人間とは保護すべき対象である。
いくらおなかをすかせたとしても、人間の貯めた穀物や飼っている家畜を食べてはいけないことになっている。
そんなことをすれば、別の竜から殺されてしまうのだ。
もちろんここはドラゴンズランドではないので、人間を殺しても罰してくる竜はいない。
しかし彼は倫理として人間は傷つけてはいけないと学んでいるので、人間に気付かず食事をしたことに慌てていた。
『おほん、我は如何にも竜である』
彼は慌てて取り繕った。
相手が人間なら、竜としての体裁を取り繕わないといけない。
間違っても、お腹が空いて目を回していたなど、知られるわけにはいかなかった。
「おお、竜神様……」
「ありがとうございます……」
「おかげで助かりました」
人間たちはなにやら感謝しているような姿勢を取っているので、彼は察していた。
どうやら今自分が食べた虎に、彼らは食われるところだったようである。
そこで自分が頭を突っ込んで虎を食べたので、『助けてくれた』と勘違いしたようだ。
少なくとも、自分が彼らへ被害を与えたわけではないらしい。
一安心すると、彼は威厳を保ちつつも、この場を去ることにした。
『竜王様の元へ謁見に向かうところなので、急いでいる。ではさらばだ、人間どもよ』
「おお! ありがとうございました!」
「この御恩は、一生忘れません!」
「なんという雄姿! 絵に描いておきまする!」
助けるつもりもなかったのに感謝されていると、なんともすっきりしないものがあるのだが、その一方で気持ち良い気分にもなっていた。
なにせ故郷ではたくさんいる竜の一体でしかないので、彼個人が崇められることはまずない。
だからこそ、人間から『超強い竜』として扱われると、悪い気はしなかったのだ。
彼はやや上機嫌になりつつ、しかし慌てて飛び去っていった。
※
「よし、今日はここまでにするか。どこか適当な寝床は……」
一日で着かないのだから、当然途中で寝ることになる。
散々息継ぎをしたので寝る間ぐらいは魔境にいなくても問題がなかったため、魔境でもなんでもない適当な岩場を探した。
ドラゴンは基本的に、とがった岩場に体を絡めて寝るのである。
ドラゴンズランドならいくらでもある『地形』なのだが、別の土地ともなれば見つけるのは難しい。
夕刻で赤くなった地面に目を凝らしていると、ちょうどいいところに岩山が見つかった。
「おっ、あそこでいいじゃん。近くに人里もないし……」
ややすきっ腹ではあったものの、散々移動して疲れた彼は、その岩山にとぐろを巻いてそのまま寝着いた。
ドラゴンズランドを出てから初めての外泊であり、魔境でもないところで寝るのは初体験ではあったのだが、そんなことに興奮できないほどに、彼は疲れていた。
それこそ、夕日が沈み切る前に、あっさりと寝ていたのである。
そして、一晩が空けた。
いよいよ極まってきた空腹で不愉快な目覚めになったのだが、それでも彼にとっては珍しくない。
とくにしょげることもなく、再び空へ飛ぼうとする。
しかしその彼の耳に、大きな銅鑼の音が聞こえてきた。
「ん?!」
明らかに人間の出した音だったので、寝ぼけた彼は慌てて其方を見た。
すると、やはり多くの人間がそこにいたのである。
「……あれ? おかしいな……この近くに人間の里なんてなかったよな?」
山頂から周囲をじろりと見渡し直すが、やはりすぐ近くには人里がない。
もちろん岩山から離れたところには人里もあるが、どう考えても自分が彼らへ被害を及ぼしたとは思えない。
つまり昨日の夕方に自分を見かけた人間が、夜の間に慌ててこっちまで来たということだった。
「……まさか、僕が人里を襲うとでも? いや、でも、それなら態々来ないよなあ?」
そして、下を見れば、それはもう気付いてほしくてジャンジャンと銅鑼を鳴らしている人間たちがいる。
何やら必死で、こちらにコンタクトを取ろうとしているのだ。
『何用だ、人間よ。我は竜王様の元へ、謁見に向かう旅の途中だ。この岩山を仮の床としたのも、ただ一晩のこと。このまま飛び去る故、臆することはないぞ』
威厳を保ちつつ、害意がないことを伝える。
少なくとも彼が知る限り、人間がここまで竜へ接触しようとしたところは見たことがない。
「おお、竜よ! 大いなるクラウドラインよ!」
クラウドライン、というのが自分達の種族のことだとは知っている。
人間たちは雲を縫うような巨体をもつ自分たちを、尊び崇めてそう呼ぶのだと知っている。
知ってはいるが、人間からそう呼ばれたのは初めてだった。
自分のことを完全に成熟した個体とでも思っているようで、あまり竜と接触のない民族なのだと察しはついた。
「どうか、我が願いを聞き届けたまえ!」
『ほう、願いだと』
「我が祈りを、叶えたまえ!」
人間ならば、喉がかれるほどの大声だった。
その必死さを無下にするほど、彼は薄情でもない。
それに、ここまで『自分』へ必死になっている姿へ、思うところが湧かなかったわけでもない。
『先ほども言ったが、我は竜王様の元へ向かう最中だ。急ぐゆえに、下らぬ願いなら焼き払うぞ!』
わざわざ夜中に岩山を登ってきたのだ、くだらない願いではないだろう。
少なくとも本人は必死になっているはずである。
それを察しつつも、定型文として彼はそう言った。
「竜よ! 大いなる竜よ! どうか我が国を脅かす、強大なる災いを退けたまえ!」
『災い、だと?』
「大いなる厄災の獣が、我が国を荒らしているのだ! どうか倒してほしい!」
『……ほう、厄災の獣か』
ここで、すきっ腹の彼の脳裏に、昨日の出来事がよぎった。
大して腹にもたまらないような小物にも怯える、弱弱しい人間からの感謝である。
「人間が言う厄災の獣ねえ……精々戊種だろ。いやむしろ、戊種なら嬉しいな」
なにせ腹が減っている。
Bランク中位のような小物でも、逃す手はなかった。
その獲物の場所を知っているのなら、逆に教えて欲しいぐらいである。
『くくく……よかろう、お前たちが怯える程度の獣など、この我が一飲みにしてくれる。ただし、もしもつまらぬ小物であれば、その時はわかっていような』
「おおお! もしもその眼鏡にかなわぬ時は、我が身命をささげよう!」
『二言はないな。ではその獣の場所を教えろ』
「ここよりはるか北の地、深い湖にその獣は潜んでいる!」
『ふん、心得た!』
多分魔境だろう、息継ぎ次いでに水浴びもして、さらに小腹を満たそう。
そう思った彼は、むしろ上機嫌になって空へと飛んだ。
周囲にいる風と雷の精霊も嬉しそうになっており、雷鳴がとどろいている。
「外の世界には、とんでもなく強い人間がいるって聞いたけど、全然そんなことないなあ」
なにやら偉そうな人間でさえ、自分ごときに頼ってくるのだ。
もしかしてドラゴンズランドの外とは、むしろ安全な地帯なのではないか。
もちろん食料は少ないので滞在にも向かないが、大人の注意は誇張だったのではないか。
世界の在り方を学びつつある彼は、世界がちょろいと知って笑いつつ、北へと飛んだ。
そして大きな湖の見える魔境を見つけると、その湖面に向かって頭を突っ込もうとして……。
「えっ」
知っているモンスターの、その姿を見つけた。
「……丁種の、群青大将じゃん」
湖面から顔を出して、その巨大な口を開けて威嚇してくるのは、Bランク上位モンスター、群青大将。
蛇型モンスターであり、その牙には猛毒まである。同等のモンスターなら致命となり、格上に対してもある程度のダメージを与えられる危険な種族だった。
「厄災の獣っていうか……蛇だろ! 獣って言うなよ!」
思った以上の大物だった。
彼の同種にとってはさほど脅威でもないのだが、彼にとっては大問題である。
そもそも彼は、この階級のモンスターを狩れないから竜王の元へ向かっていたのである。
にもかかわらず、竜王のところへ行く前に遭遇してしまった。
「丁種なら、丁種って言えよ! ふわふわしたこと言いやがって!」
周りに人間がいなかったこともあって、人間にはわからない言葉で絶叫した。
もしもたまたま偶然通りがかっただけなら、絶対に戦いたくない相手である。
なにせ体格的には自分と互角であり、その上毒まであるのだ。
いくら死なないとしても、わざわざ戦いたくない相手だった。
「……んん」
しかし、である。彼は思った。
先ほど自分へ嘆願してきた、人間の中でも偉いであろう男のことを。
もしもここで自分が逃げたら、彼も食われてしまうかもしれない。
そう思うと、退くことはできなかった。
「えい、くそおおお!」
彼は絶叫した。
目の前で長い舌を出して威嚇してくる、Bランク上位モンスターへ威嚇しかえす。
如何に若いとはいえ、Aランク中位に位置するモンスターの、全力の威嚇であった。
「ぼ、僕は! 長老の孫だ! お前なんか、このまま食ってやる!」
その気迫に負けて、群青大将は慌てて引っ込んだ。
湖面から出していた頭を引っ込めて、そのまま湖の中へ逃げ込んだのである。
しかし若いクラウドラインも、湖の中へ入れぬわけもない。
その巨体故に、クジラ並みに息が続くクラウドラインは、群青大将如きに水中でも後れを取らない。
主である彼の意気に応じて、精霊たちも力を発揮する。
穏やかだった湖面が、まるで嵐の海の様に荒れ狂った。
激しく上下し、水があふれ出し、さらにその色を変色させていく。
元々濁っていた水は更に濁り、さらに稲妻まで光っていた。
自棄になっての突撃であったが、それでも彼はAランク中位。
一旦戦闘になってしまえばBランク上位ごとき、不覚は取らない。
お世辞にも上手な狩りとは言えず、抵抗され体に毒を入れられたが、それでも最後にはその頭を逆に噛み潰していた。
「あああああ! あああああ! いってえええええ!」
勝って安心すると、毒の激痛でのたうち回った。
湖の近くにあった木々がなぎ倒され、さらに地形が変わっていく。
親から毒があるとは聞いて、とても怯えていたが、実際に噛まれたのは初めてだった。
初めての毒に、彼はしばらく悲鳴を上げる。
しかし、それもやがては収まった。
なんのことはない、Bランク上位ごときの毒など、しばらくすれば分解できるのだ。
もしも気の強い者であれば、慣れれば我慢できるほどである。
「ふ、ふひゅうう……」
終わってみれば、あっさりしたものだった。
空を見上げてみれば、まだ昼にもなっていない。
つまり朝になって討伐を依頼されてから、昼にならないうちにたどり着き、そのまま勝って、毒まで治ったのである。
やってみれば、なんということもなかったのだ。
「……は、ははは! なんだ、やればできるじゃないか!」
こんなことができなかった、さっきまでの自分が恥ずかしかった。
だがもう恥ずかしくない、できて当然のことができるのは、なんと誇らしいのか。
起き上がって湖を見れば、そこには浮かんでいる群青大将の死体がある。
当然ながら大物であり、これ一体で満腹になるほどであろう。
昨日からちゃんとしたものを食べていなかったので、彼は今すぐにでも食べたかった。
しかしまだ我慢できる。そう思って、短い前足でしっかりと大物を掴んだ。
目指すは自分が寝ていた岩山である。そこに戻って、成果を報告するのだ。
「ふふふ……きっと喜ぶだろうなあ~~!」
自分は、駄目な竜だった。
だがもう駄目ではない。
己の空腹を満たすためには戦えなかったが、困っている人を助けるためには戦えた。
そして狩ったのだ、勝ったのだ。
なんとも恰好がいい、素晴らしい竜である。
※
※
※
さて、彼の目的地、シュバルツバルトである。
彼の祖父である長老は、やはり着陸場に顔を下ろして、アカネと狐太郎へ謁見をしていた。
『この度は、急に現れ、申し訳ありません……このように、手土産も持たず、恥ずかしいばかり……』
「うんうん、いいよ、気にしないで。それよりもどうしたの?」
今までは何かの土産を持ってきたクラウドラインが、手ぶらで来たのである。
もちろん今までも強要していたわけではないが、だとしても異常事態だとは分かった。
アカネは怒るわけもなく、むしろ心配していた。
『……重ねて恥ずかしい限りなのですが、若い竜、儂の孫が一人でここを目指しているようで……』
「へえ~~。じゃあ迷子とか?」
『いえいえ、流石にそこまでは。きっとここまではたどり着けると思うのですが……』
自分の孫がやらかしたということで、クラウドラインも気が引けているようだった。
中々、状況を詳しく説明できないようである。しかしこのまま何も言わないのも、やはり竜の名折れ。彼は意を決して竜王へ何が不味いのかを伝えようとしていた。
『おそらく、ここにたどり着くまでに、病気になっていると思うのです』
「びょ、病気?!」
病気と言われると、文明圏で生きていたアカネは大いに慌てた。
もちろん狐太郎も、思った以上の大ごとに目を見開いている。
「ドラゴンズランドを出ると、病気になっちゃうの?!」
『……もうしわけありません、陛下。勘違いさせてしまったようです。病気といっても、体の病気ではなく心の病気でして……』
本当に、言い難いようだった。
『……この森で過ごしておいでのアカネ様には、むしろ失笑だと思うのですが、我等の住まう土地もまた強大な竜の住まう場所なのです』
「そうだよね、Aランク中位のドラゴンがたくさんいるんだし」
『Aランク中位、というのはここでの『乙種』の呼び名ですな。趣がないのですが、こちらも同じですしいいでしょう。おっしゃる通り、乙種の棲む魔境はそうないのです』
ドラゴンズランドでは落ちこぼれの竜でも、表に出れば大怪獣扱いである。
しかもある程度尊敬もされているので、周囲からももてはやされるだろう。
落ちこぼれていた竜が、いきなりもてはやされたらどうなるか。
『……つまり、自分が強くなったと勘違いするのです』
「ええ……」
『そして甲種の餌食になるか、あるいは人間の英雄に討ち取られるような悪行をしてしまうのです……』
それは、どうやらよくあることのようである。
『自分が大物になったと勘違いする故……脱皮の御熱、と呼んでおります』
「中二病だね……」
(竜の中二病か……)
アカネにとっても、狐太郎にとっても、とても分かりやすい病気だった。
竜と人間は、案外近い精神性なのかもしれない。




