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春眠暁を覚えず

 ブゥの持つ体質的な才能は、強化に上限がなく、悪魔の力が毒にならないことの二つである。

 どちらか片方でも、或いは両方そろっていても、通常ならまず役に立つことはない。


 強化属性の使い手を百人呼んで、全員に一人を強化させることはまずない。

 いくら悪魔の力が毒にならないといっても、協力的な悪魔がいなければ意味はない。


 そして悲しいことに、ブゥは環境的にも恵まれてしまった。

 普通なら眠ったままであるはずの、気づかれることもない才能は、しかし生まれた瞬間にわかってしまった。


 物は試しと、セキトとその眷属全員を彼にぶち込んだこともあった。それでも彼は、後遺症もなにも残さなかったのである。


 性格的な相性もあって、彼は理想の悪魔使いの素質を持っていた。

 だがしかし。


「構えなさい、ブゥ」

「……ははは、ははは、はははい、姉さん」


 逆に言えば、彼はすべての戦闘能力を悪魔に依存しているということである。

 姉であるズミインはBランク下位の悪魔を方天戟に変えて構えているが、ブゥもまたそれに合わせてBランク下位の悪魔しか使わせてもらっていない。

 上位同士ならともかく、下位同士ならばブゥに勝ち目などあるわけがない。


「では、いきますよ」

「ひぃいいいい!」


 前線基地の外部、城壁の外で、二人の悪魔使いが攻防を始めた。

 もちろんズミインが一方的に打ち込んでおり、ブゥはそれを一方的に防いでいるだけである。


「ほう、凌ぎますか」

「あばばばばば!」


 涼し気な顔で猛攻を仕掛けるズミインに対して、ブゥは必死で防御している。

 その表情の時点で、既に優劣ははっきりとしていた。


「……以前の貴方なら、両手両足の骨が砕けるであろう打ち込みを、よく無傷で防ぎましたね」

「ひぃいやああああああああ!」


 必死になって防御しているブゥに対して、ズミインはとんでもないことを言う。

 なんとも恐ろしいことだが、ブゥは冗談ではないと知っている。

 成長したからこそ防げた一連の攻撃は、とんでもなく重かったのである。

 それこそ、当たれば骨が砕けると分かるほどに。


「貴方は強くなりました」

「ぎゃああああ!」


 ごん、と上段から振り下ろし。

 それをブゥは全力で踏ん張り受け止める。


「ええ、本当に」


 ごんごんごん、と連続での打撃。

 それを受け止めるブゥは、もう鼻水もよだれも垂れ流しだった。


「悪魔使いとしての破格の才能が、貴方に普通の戦い方をさせませんでしたが、今は普通の戦い方ができている。そして……そちらの方が、手数で圧倒する戦い方よりも……燃費がいい」


 そのブゥの腹に、前蹴りが刺さる。


「ごふぅ!」


 悶絶するブゥ。

 その彼の顔を、彼女はつかんだ。


「あの戦い方が駄目とは言いません。畳みかける戦い方も、状況によってはアリです。ですが……あれしかできないのなら、欠陥と言わざるを得ない。貴方もここで、実戦を通じて学んだようですね」


 恐れるべきことに、まったく言葉のトーンが変わっていない。

 弟を悶絶させているのに、その顔を掴んでいるのに、まったく感情の揺れが見られない。


「私は嬉しいです」

「あ……う……」


 顔を掴んだまま地面に倒す。

 そして押さえつけた。


「貴方はまだまだ強くなれる」

「へぐぅ……」

「もっと強くなりなさい、もっともっと強くなりなさい」

「おぉ……」

「そうしなければ……ルゥ家に価値などない」


 ブゥは、姉の目を見た。

 恐るべき姉、恐ろしい姉、その眼を見た。


「悪魔使いが恐れられる、それは当たり前です。ですが……これで無能ならば、それこそ意味がない」


 いつもと何も変わらない、姉がいる。


「有害で無能、それだけは避けなければなりません」


 合理の極み、機械のような最善を行い続ける姉がいる。


「有能だからこそ、有害であっても生かされている。それがルゥ家なのです」


 圧倒的強者の姉が、まさに押さえつけていた。


「強くなりなさい、ブゥ。貴方には強いことしか価値がないのですから」

「は、はい……!」


 ブゥは天才であり、理想の悪魔使いである。

 しかし個人として、一人の人間としてはさほど強くない。


 だがズミイン・ルゥは違う。

 悪魔に対して強い耐性を持っている一方で、それとはまったく関係なく本人が強い。

 身体的な素質もさることながら、その合理的な精神性によって合理的に鍛錬を積んでいる。

 先日この基地を訪れた東方の女傑ウメイと同等の武力を持つ、この基地で戦えるほどの戦士だった。


 ブゥをこの地に送るよう大公が命じたときに母親が反発したのも、これが根拠である。

 彼女も彼女の兄も、Bランク中位までなら問題なく狩れる実力者だった。既に完成している彼らではなく、天才であるとはいえ若いブゥを送りたがらなかったのも当然だろう。


「貴方は強くなる、誰よりも何よりも。悪魔を従え悪魔を率いる、最強の悪魔使いになるのです」


 とはいえ悪魔の力を使い続ければ、その二人も摩耗する。

 おそらく一年も連続で酷使すれば、もう戦えなくなっていただろう。


「そうでなければ、生きることは許されません。貴方の主虎威狐太郎様がAランクハンターとして絶大な信頼を一身に受けているように、貴方もまた恐れられつつ信頼される実力を得るのです」


 彼女は手を離し、下がった。


「とはいえ、目標がなければやる気も持続しないでしょう。Aランク上位モンスターを単独で撃破しなさい、それを以って私の課題を達成したということにします」

「えっ……」

「返事は『はい』だけです」

「はい……」


 土をつけられたブゥは、姉に対して無力であった。



「……大変だったね」

「もう会わなくていいって思ってたんです……!」


 治療を終えた後、ブゥは狐太郎に慰めてもらっていた。

 途方もない才能を持つ少年は、家族から過酷な鍛錬を課されていたのだ。

 それは知っていたが、実際に見るとただただ哀れである。


 理屈はわかっている。

 ブゥがどれだけ天才だったとしても、他の人と同じ課題をこなすだけでは劇的な強さは得られないと。

 他の人が必死になっているように、ブゥもまた必死にならなければ強くなれないと。


(多分ケイって子も同じぐらい必死だったんだろうなあ……)


 天才的強者、その闇を見た狐太郎である。

 おそらくガイセイにも、同じような時期はあったのだろう。


「あのさ、クツロ。お話だとお約束で『なんだこの程度か。俺を鍛えてくれた人はこんなもんじゃなかったぞ』っていう経験値マウントを取るパターンがあるんだよ」

「そうなの」

「実際に見ると、凄い怖いね」

「……そうでしょうね」


 先ほどの戦いを見て、アカネはブゥに同情していた。

 ギャグ描写で酷い目にあったことを過去話にすることはあるが、現在進行形で見ると物凄い怖かった。


「あとさ、『俺が悪魔使いだけが取り柄だと思うか? 武術もきちんと修めている』っていう、多芸マウントもあるんだよ」

「……そうなの」

「実際に」

「もういいわ、怖いわよね」

「うん」


 他でもない狐太郎こそがその典型だが、強大なモンスターを従えている本人は弱いというパターンがある。

 その逆振りとして、敵が「魔物使い本人は弱い!」と思い込んで魔物使いを叩こうとして、魔物使い本人から返り討ちにあうというパターンもある。

 そして強い魔物使いを育てるために、どれだけの労力が支払われているのかも見た。


「それからね」

「しつこい」


 なおアカネがさらに言おうとしたのは、「魔物使いだからって、本人が弱かったら駄目だ! 自分も鍛えるんだ!」というパターンである。

 それを実際に目にすると、やはり怖い。


 あまり目立たなかったが、「戦場では相手が何をしてくるのかわからない! 武器だけで攻撃してくると思うな!」というパターンも踏襲していた。

 見ているとすごく怖くて、近寄りたくなかった。


「いやあ……君のお姉さんはストレートに怖い人だね……確かにかかわりたくない。君がこの森に来た理由が分かったよ……悪魔とは違う方向で怖いな」


 いろいろ総合して、とにかく怖い人である。

 彼女から見て狐太郎は完全に対象外なので無茶をしてくるとは思えないが、それはそれとして関わりたくない。


「兄さんも大概怖いんですが……姉さんもああやって僕を痛めつけるんです……もちろん、今の僕があるのは兄さんや姉さんのおかげなんですけども……」

「……複雑な心境だねえ」


 現代社会において武術家が子供へ苛烈な鍛錬を課して「なんでこんなことを、もうそんな時代じゃないのに」というパターンもある。

 しかし悲しいかな、ブゥは時代に適合している。ブゥを物凄く痛めつけて鍛え上げたのは、とても正しいことなのだ、国家にとっては。


(すげえ痛めつけられて強くならないといけないなんて、嫌な時代だなあ……)


 事情が分かっても、誰も助けようと思っていない。

 なぜなら、この森のモンスターは手加減してくれないからだ。

 ブゥが強いことで恩恵を受けている狐太郎としては、ズミインに感謝を述べなければならない立場である。


(これでブゥ君が女の子とかだったら「ブゥちゃんを痛めつけないでください! 力だけじゃなくて、人格も尊重してあげてください!」とか「嫌がっているのに、どうしてこんなことをさせるんですか」とか言うんだろうな、主人公は……俺は言わないけど)


 当事者になるとは悲しいことである。

 誰もが嫌がることをやる羽目になった狐太郎は、ブゥの更なる躍進を望んでいる。

 つまり「これはブゥのためでもあるのです」がガチというだけである。


「それにしても……あの子、ズミイン。全然面白くないわね」

「ええ、そうでしょう。ご主人様を鍛えるときは輝くんですけどねえ……あの人を当主にするのはちょっと」


 なお悪魔たちはズミインを酷評していた。

 もちろん軽蔑や侮辱ではないのだが、性格的にあわないらしい。

 とはいえ、悪魔に好かれることはどう考えても悪いことなのだが。


「俺も嫌われたいなあ……」

「僕もです」


 積極的に嫌われる度胸はないが、相手側が嫌ってくれるのならそちらの方がありがたかった。

 実際にそうなったらすごく困るのだろうが、思わず愚痴らずにいられない。


「ご主人様、お気づきですか。彼女はブゥに戦力の増大を求めています。つまり、今回持ち込まれた悪魔を、積極的に勧誘する必要があるということです」

「指摘してくれてありがとう、コゴエ。気づきたくなかったよ」


 現状を検めると、前提が崩壊してしまった。

 できれば仲間に加えず処分したいと思っていたのに、殺さない理由が一つ増えてしまった。


(問答無用で襲い掛かってきてくれますように……!)



 さて、翌日である。

 あいにくの空模様、どころではなかった。


 まるで何かの予兆の様に、雷雨である。


 外では激しい雨が降り、頻繁に雷光が走り、雷鳴がとどろいている。

 もしもこの国に電気が通っていれば、間違いなく停電していただろう。

 だがここではランプやろうそくがあるので、まったく不都合はない。

 しいて言えば、雨音や雷鳴が少しばかりうるさい程度だった。


「……では、開封しなさい」

「はい……」


 役場にある広間を借り切って、封印解除が始まった。

 狐太郎と四体、ブゥとズミイン、セキトとその眷属。

 それらが集まった状況で、鎖付きの坩堝が開封されつつあった。

 なお、役場の職員は避難が許されていないので、通常通りの業務を行わされている。


「ふぅ……」


 鎖付きの坩堝と言っても、カギはついていない。

 鎖によって縛られているがそれだけで、外すこと自体は難しくなかった。


 だが、外す係を申し付けられたブゥの顔には、大量の汗が浮かんでいる。

 無理もない、インペリアルタイガーに匹敵する猛獣が、この壺の中に入っているのだ。

 もしも食いついてくれば、何が起きても不思議ではない。


「あ、開けます」


 ごくりと喉を鳴らしてから、壺の最後の封である蓋を取る。

 そして慌てて下がって、セキトの影に隠れた。


(……いきなりは、出てこないな)


 壺の中には、何も見えない。

 ただ闇があるだけだ。


 しかし、確信がある。

 何かがいる。


 噴火直前の火山のような、爆発寸前の緊張感がある。

 

 少なくとも、スカだったと、という楽観はまるでない。

 この雰囲気からして、怒っているわけでも、嘆いているわけでも、悲しんでいるわけでも、興奮しているわけでもない。


 だがそんなこととは全く関係ない、強大な何かが潜んでいる。


 ひときわ大きい雷が、近くに落ちた。

 激しい閃光と、大きすぎる音が部屋の中にまで届く。

 なにか大きい木でも倒れたのか、振動さえあった。


「ふぁああ」


 震える声が聞こえた。


 意味のある言葉ではなく、ただの欠伸だった。

 寝ていたものが、目を覚ましたのだ。


「ああ……ああ……んん……てっきり海の底か、地面奥深くかと思ったけども……ふぅん、律義に封印をしていたのねえ」


 壺の入り口から、指が出てきた。

 それはとても長い爪の有る、しかし美しい手だった。

 その手を見るだけで、その悪魔が美しいのだと分かってしまった。


「蓋が外れてるってことは……ああ、誰かが壊したわけじゃなく、ちゃんと私を解放する気になったと……」


 壺に合わぬ大きさの頭が、ずるりと出てきた。

 いいや、全身が出てくる。


 翼がある、甲殻がある、鱗がある、尻尾がある、角がある。

 異形であるすべてが入り込んだ化物が、寝ぼけ眼をこすりながら立ち上がった。


「あああ……」


 その顔は、とても整っていて、品があった。

 しかしその口があくと、だらしない物が出てきた。


 舌である。


 青く、団扇のように大きい舌が出てきた。

 それが、とても特徴的だった。

 他に多くの奇怪な部位があるにもかかわらず、口に収まっていたとは思えない舌の大きさこそが一番際立っていた。


(妖怪かよ……)


 その団扇のように大きな舌で自分の顔を一気になめとる、美しい女の悪魔。

 とてもシンプルな造形をしているセキトに比べて、対照的な姿をしている。


「んん……さあて……私を悪魔と知って起こしたのは誰かしら?」


 全身で、表情で、顔で、悪魔であることを主張する彼女。

 妖艶なしぐさで、蠱惑的な動きで、異質な美しさの有る体で歩いてくる。


「まだ寝ぼけているけども……ええ、私に叶えて欲しいことがあるのなら、どうぞいってごらんなさい」


 単独で軍隊に匹敵する、Bランク上位悪魔。

 悠久の時を超えて目覚めたであろう彼女は、何も恐れずに余裕を見せる。


「つまらない願いなら殺すし、面白い願いだったとしても魂をもらうけどね……」


 長く、多くの色が混じった髪をたくし上げて、周囲に存在感をばらまく。


 彼女がその存在感を示すたびに、雷や雨の勢いが増しているようだった。


(できれば嘘であってほしかったが……!)


 人をたぶらかす邪悪なるもの、すなわち悪魔。

 それ以外の何物でもない存在が、花形役者の様に参上する。


「あらあら、怖い悪魔ね」


 その悪魔が現れた後で、初めて声を発したのは、やはりササゲだった。

 彼女と同様に余裕と気品をもって、同種の復活を喜んでいる。


「……」


 悠久の時を超えて目覚めた悪魔は、ササゲを見てしばらく動きを止めていた。


「……」


 動きを止めていた彼女と、ササゲはしばらく見つめ合った。


「……あら、どうしたの?」

「お、お許しください、陛下!」


 慌てて跪く女悪魔。

 どうやら本気で寝ぼけていたらしく、今までササゲに気付いていなかったらしい。


「よ、よ、よもや、冠を頂く王が、ご帰還なさっているとは……!」

(セキトの時とは、えらい違いだ……!)


 事前にAランクの悪魔がいるよ、と聞いていたセキトと違って、寝起きで魔王が目の前にいた女悪魔。

 彼女の驚愕と動転ぶりは、いっそ哀れなほどであった。


「その御姿を拝謁でき、光栄の極み……も、もしや、私を解放したのは……陛下なのですか」

「そうだと言ったら?」

「お、恐れ多いことです! 人間相手に負けを選んだ私を、こうして解き放ってくださるとは……!」


 先ほどまでの余裕が全て吹き飛んだ女悪魔は、格上の悪魔にひれ伏している。


「それで、貴女だけ? 聞いたところだと、他にもいるそうだけど」

「は、はい! お前達、直ぐに出てきなさい! 今すぐ!」


 ひっくり返した壺を両手で抱えると、猛スピードで上下させる。

 それによるものなのか、大量の悪魔が転がり出てきた。


 その悪魔には、顔がなかった。

 目も鼻も耳も口も、髪もない。

 男性的な姿をしている悪魔たちは、どれもが屈強な肉体を持っている。

 しかしその屈強な悪魔たちを、女悪魔は慌てて蹴っ飛ばし、顔をひっぱたいて回る。

 

「目を覚ましなさい! 陛下の御前よ!」

「は? あの、ご主人様? 陛下とは?」

「寝ぼけてらっしゃるんですか、魔王様ならとっくの昔にいずこかへ旅立ったのでは」

「夢でも見ていたのでは?」

(普通に話している!)


 おそらくBランク中位に位置するであろう悪魔たちは、見た目にも不気味であり強そうである。

 にも関わらず、普通に話しているので怖さがなくなっていた。


「申し訳ありません、陛下! 私の眷属は、その……!」

「あらあら、良いのよ。今起こしてあげるわ」


 その慌てぶりが気に入ったのか、ササゲはサービス精神全開で魔王の姿を見せた。

 それを見た瞬間、やはり眷属たちもかしこまる。


「!」


 無言で、大いにあわてて、膝をついたのだ。


「よしよし……いい子ね。セキト、貴方のところの配下にも負けていないわ」

「ははは、そのようですね」


 セキトはまるで側近のような立ち位置で、ササゲの太鼓持ちをしている。

 なお、その表情はやはり邪悪だった。


「……魔王陛下、よろしいでしょうか。そちらにいらっしゃる三体の王や、控えている同種……もしや古より伝わる国家の再建を?」

「なんのことかしら? そんなことに興味があると思っているの?」

「も、申し訳ありません!」


 推測を口にする女悪魔を、少しばかりいじめるササゲ。


(……普通そう思うよな)


 だがその勘違いを、狐太郎は咎めることができなかった。

 悪魔の王が自分の封印を解いて、しかも既に同等の悪魔を側近にしているのである。

 そのうえで他にも三体の王がいるのだから、悪魔の国をつくる気になっていると思っても不思議ではない。


「うふふ……少しいじめてしまったけど、まずは貴女のことを教えてくれないかしら?」


 膝をついている女悪魔、その顎を指でつまんで持ち上げるササゲ。

 その表情には、やはりおもちゃを見つけた喜びがあった。


「礼儀を知っている子は、嫌いじゃないわよ」


 なお、狐太郎とブゥは互いを見つめ合っている。


(この流れだと殺しにくい……!)


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― 新着の感想 ―
[良い点] 「てっきり海の底か、地面奥深くかと思ったけども…」 「残念だったな!森の中だ!」「((;゜Д゜))ヒィ!シュヴァルツバルト!」
[良い点] >「そうしなければ……ルゥ家に価値などない」 >おそらく一年も連続で酷使すれば、もう戦えなくなっていただろう。 >「ええ、そうでしょう。ご主人様を鍛えるときは輝くんですけどねえ……あの人を…
[一言] いいね。好きだわこの回
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