強者は強者を知る
政治家に求められる能力、才能として、相手に自分の気持ちを伝えることもある。
世の中どう頑張ったところで、求めるものが有り余ることはない。
政治家にできることは、足りないものをなんとか分配して、ギリギリのところで都合をつけるだけ。
苦しむものがいるのなら、なんとか耐えてもらえるように説得するしかない。
メンジを殺すことは、仕方がなかった。
それは大公の意志であり、信念であり、覚悟だった。
少なくとも政敵を排除したかったとか、賄賂を敵国からもらっていたとか、どうでもいいけども一応殺しておいたなどではない。
彼は国家の利益のために、何が何でも殺さなければならなかったのだ。
それを理解させるために、水の入った杯を飲ませた。
この話を聴いたところで、現実は変わらない。
大公が謝罪したように、政治のごたごたで、前線の人間がどう頑張ってもどうにもならないことで、前線の人間が命を落としたことは変わらない。
だがそれでも、大公に直接会った四人の心証は変わっていた。
少なくとも彼は、国家を愛しているのだ。
国家のために戦った、兵士たちに謝りたいと思っているのだ。
ないがしろにされていたわけではない。
それを知ることはできていた。
だが彼女たちにとって、それは本題ではない。
彼女たち四人は、前線を埋める即戦力を求めてここに来たのだ。
大公が貸し出してくれるという戦力、シュバルツバルトの討伐隊。
彼らの資料を読みながら、四人は馬に乗って前線基地へ向かっている。
「ウメイ姉さん。この資料本当にちゃんと読まないとだめですか? 名前だけ覚えておけばいいじゃないですか」
「ちゃんと読んでおきなさい、キショウ。せっかくもらった資料を読まないなんて、大公閣下にも討伐隊にも失礼でしょう」
「でも私、こういうのを読んでると頭が痛くなるんですよね~~。いや、本当に!」
キショウと呼ばれた側近の一人は、文章を熟読することに疲れていた。
「貴女もこれからは将になるのです、こうした文章も読めるように鍛える必要があるのです。頭を鍛えなさい、頭を」
「うへえ……頭突きなら得意ですよ?」
「それじゃあ今後は、頭突きだけで戦いなさい」
「それはちょっと」
「別の使い方を覚えなさい、貴女も地頭は悪くないのですから」
キショウは改めて文を読む。
それは各隊の隊長や、隊員の経歴や実力を詳しく書いたものだった。
詳しく書いているからこそ、難しい。正式な書面だからこそ、難解だった。
子供向けの図鑑のように、簡略化されているわけではない。
「これで何が分かるんですか~~? どうせ直接会って確かめないと分からないんですから、それでいいじゃないですか。それに……」
キショウはまとめられた束のうち、白眉隊のものだけを手に取った。
「もともと、ショウエン様に戻ってきてもらうつもりなんでしょう?」
「……」
不落の星、ショウエン・マースー。
空を駆ける竜騎士であり、武将として名を知らしめていた。
先ほども話題に上がった父と妹の不祥事によって東方戦線を追われたが、それでも実力は失われておらず、彼が従えている兵や竜たちも精鋭を名乗れるほどだ。
その彼が仕えているジョー・ホースもまた傑出した実力者であり、総合力では騎乗したショウエンに劣らない。
彼が従えている白眉隊は竜騎士が参陣する前から前線基地最強とされ、彼女たちもそれを疑うことはない。
討伐隊の全員がそう思っていたように、軍隊に引き抜くのなら元軍人が一番いいのは当たり前だ。
だがそんなことはわかりきっている大公は、あえて討伐隊の中から選んでほしいといった。
これだけ好条件の白眉隊がいるのなら、これを推せば済むはずである。
「……ショウエンは、戻りたがらないでしょう。もしもその気があるのなら、ここには来ていないはずです」
内心でどう思っているかはともかく、理性的には妹の失言に責任を感じているようだった。
だからこそあえて大公の下で働いているのだろう。それ以外に、ここに来る理由は思いつかなかった。
「でも、説得はするんでしょう?」
「……彼は父の処刑も妹の死も受け入れています。その彼が、今更栄達を望むとは思えません」
それでも、会いたかった。
罪の意識に飲まれている彼が、どんな顔をしているのか知りたかったのだ。
もしも悲しんでいるのなら、慰めたかった。
もちろん戦力補充に比べれば重要ではないが、この状況ならそれがかなう。
「白眉隊がダメだった場合を考えれば……この蛍雪隊が望ましいですね」
側近の一人、イショウ。
彼女は白眉隊が断った場合のことを考えて、別の隊の情報を精査していた。
「当代きってのスロット使い、魔女学園のホープだった女傑シャイン。ウソか誠か、Aランクモンスターさえ拘束しきる実力者だとか」
「おそらく本当でしょう。各軍が争奪戦をし、それから逃げる形で大公閣下のもとに参じたとか。それは今でも聞いています」
スロット使い自体が、この世界でも極めて希少である。
本人が誇っていたように、スロット使いにたどり着いたこと自体が、すでに自慢になることなのだ。
そのスロット使いの中でも随一の実力者だというのなら、その有用性は比類ない。
彼女の部下はあいにくと軍隊向けではないが、彼女一人だけでもおつりがくる。
「……ですがやはり、彼女もまた戦場を嫌がっていました。首を縦に振ってはくれないでしょう」
「そうなると、一灯隊と抜山隊ですけど……」
白眉隊と蛍雪隊は、すでに実力を認められていたものである。
軍を追われたものと、軍から逃げたもの。どちらも軍隊として、誰もが欲する即戦力だ。
だが一灯隊と抜山隊は、この前線基地以外に前歴を持たない。
「孤児院出身者で構成された一灯隊に、各地のハンターの集まりの抜山隊。どちらも実力は折り紙付きだそうですが……」
「実力だけは、ね。今まさに私たちが求めているものね」
イショウの言葉に、側近であるウショウが頷く。
この際強ければそれでいいのだ、だができることなら、それ以外も欲しいのだ。
誰だって困ったときでも、条件が良い方を選びたくなるのだ。
「その実力が本物なら、彼らも勧誘しますか? この際、ぜいたくは言えません」
「……ええ、本物かどうかを確かめるために、私たちは前線へ向かっています」
「前線……ですか」
大公も理解していたが、他の国境地帯ならともかく、こんな国内の一拠点を前線と呼べるものではない。
特に他の前線で戦っている者からすれば、ふざけているとさえ思うだろう。
だがもしも、この資料が本物なら。
彼らが必要とされるほどの戦地なら、前線と呼ぶに足るのだろう。
「私たちのするべきことはわかっていますね。すでに大公閣下から許可はいただいているのです、戦力になるものを見極めたうえで引き抜きます」
※
さて、前線基地である。
各隊の隊員も緊張した面持ちで、別の前線からの使者を招こうとしていた。
なにせ今までと違って、自分たちと同等の苛烈な戦場を駆けたものである。
それを前に失礼なことをすれば、大公が怒るだろう。その場合、首がついていることは保証できない。
「皆さん。重ねて申し上げますが、どうか失礼の無いようにお願いしますね」
そしてここには、やはり大公の代理がいるのだった。
彼女が現場の判断で処刑するのだろう、前のように。
(やっぱり公女さまがいるのがきついな……)
その現場判断を目にしているからこそ、狐太郎も緊張していた。
他の面々も、どちらかというとそっちに緊張している。
「んん……なあショウエン、これから来る奴らはお前の知り合いだろう? どんな奴らなんだ?」
緊張に耐えかねたのか、ガイセイが話を振った。
彼はアッカから仕込まれているので、大公やその代理であるリァンには従うことにしていた。
なので慣れない緊張にうんざりしており、とりあえず会話を求めたのだ。
「ウメイとその側近、ウショウ、イショウ、キショウ。全軍でも珍しい、女性で構成された隊である白樺隊の中心メンバーです」
「へえ、そりゃあ確かに珍しい」
ガイセイが周囲を見るが、人間の女性は本当に少ない。
もちろんモンスターを含めればその限りではないが、やはり戦闘に優れた女性というのは珍しいのだ。
特に、一線で戦えるほどとなればなお希少だった。
「……彼女たちの隊からも、多くの犠牲者が出たそうです」
「……わかってるよ、お前らも黙ってろよ。黙ってりゃあ、無礼もなにもねえんだからな」
前線で戦うものが、戦場で死ぬ。
それは仕方がないことだ、少なくとも民間人が死ぬよりはいい。
だとしても、その義務をまっとうしたものを侮辱していい法はない。
とにかく余計なことは言わないに限る。
しゃべるのは、用事があるものだけでいいのだ。
「あの、公女様。私もしゃべらないとダメでしょうか?」
「ええ、もちろん。あなたはこの基地の城主なのですから」
(すげえ心理的な負担が……!)
ある意味、王女を相手にする時より深刻だった。
あのダッキは、側近からも軽く扱われ、親戚であるリァンからも殴られていた。
少なくとも公的な場以外では、王族であるだけのダッキよりも、狐太郎の方が優先されていた。
だがこれから来るのは、ある意味自分と対等の相手なのだ。
無礼があれば、それこそ申し訳が立たない。
(仲間の死か……)
彼女たちは仲間を失っている、殺されている。
その痛みは、想像するだけでも胸が張り裂ける。
だからこそ正直関わりたくなかったが、そういうわけにもいかないのだ。
「ご主人様、いらっしゃいました」
「そうか……アカネ、黙ってろよ」
「え、なんで私だけ」
「いいから」
「だから、なんで私だけ!」
「いいから」
騎乗した四人の女性が、遠くから近づいてくる。
その姿が見えたことで、狐太郎は姿勢を正す。
練習無しのぶっつけ本番で、失礼のできない人たちの接待をしなければならないのだ。
(嫌だなあ……)
そんな狐太郎の心中をよそに、馬はいよいよ近づき、四人の女性が下馬する。
「この度はよく来てくださいました、東方の将、ウメイ様」
「これだけの戦力での歓迎、恐縮です」
ひときわ背が高いウメイという女性は、前に出てリァンと握手をした。
当然ながら狐太郎からすれば見上げるほど大きいのだが、それでも遠くから見ればとても美人である。
(本当に俺が小さいんだなあ……)
知らない人間に会うたびに、そう思う。
ちらりと麒麟たちの方を見れば同じことを考えているようで、狐太郎の方を見ている。
どうでもいいことで目が合っていた。
「特におもてなしはできませんが、どうぞお休みください」
「いえ……お気持ちはうれしいのですが、私たちは前線を留守にしておりますので……できるだけ早急に戻りたいのです」
緊張感のある顔になっているのは、ウメイも同じだった。
彼女の後ろに控えている女性たちも、そろっている討伐隊を見て真剣な顔になっている。
軍人だからこそ、強い人間に見慣れているからこそ、討伐隊の強さを見抜いているのだ。
(なんなの、こいつら……本当に強い! こんな規模の隊なのに、武将に匹敵する強さを持った戦士が、十人ぐらいいる……)
(信じられない、これで隊長ですらない人がいるなんて……ひと目でショウエン様を探せるかと思ったけど、竜騎士隊が埋もれるほど強いやつらであふれてる……)
(隊員の質にばらつきはあるけど、全員すごい胆力だわ。誰もウメイ姉さまの迫力に呑まれていない)
ほかでもないウメイこそ、武将を名乗れるほどの実力者である。
その彼女が放つプレッシャーもまた、並々ならぬものがあった。
にもかかわらず、逆に圧されている。討伐隊にそろっている戦力に比べれば、彼女は明らかに負けていた。
もちろん側近の三人も精鋭なのだが、それでも数で負けすぎていた。
「是非、お力を見せていただきたく」
「……狐太郎様」
「あ、はい!」
そして正真正銘埋もれていた狐太郎は、つたない足取りでウメイとリァンのもとへ走った。
「どうも、初めまして。この前線基地の責任者である、Aランクハンター虎威狐太郎です」
「……は、はじめまして」
埋もれていたので気付かなかったウメイは、慌てて握手に応じる。
「普段はやりませんが、貴女が実力を見たいとおっしゃるのであれば、今からモンスターを呼び寄せます。どうぞ、基地に入らずそのまま裏手へ」
「ありがたいですが……そんなことが出来るのですか?」
虚弱だが、魔物使いとしては優れているという。
てっきりその技を見せてくれるのかと、ウメイたちは早合点していた。
しかし……。
「ササゲ、指示通りに」
「ええ、任せてね」
モンスターの専門家ではない軍人には、その強さが見抜けない悪魔の王。
ササゲの得意げな目に対して、四人の女傑は怪訝な顔をする。
※
この世界には、突出した個人がいる。
有り余る才能を持ち、しかしそれにふさわしい負荷に身を置き続け、己よりも強い者に挑み続けて、ようやくたどり着ける強さに至った者がいる。
そうした強さを知っていれば、誰もが心折れる。
自分如きが鍛錬を積んだところで、英雄になれない、一番になれないのなら、頑張る意味がない。
そう思って、自堕落に過ごしてしまう。
だからこそ、鍛えれば強くなれる世界であっても、鍛えようとしない者の方がよほど多い。
鍛えた者と鍛えていない者の差が大きかったとしても、むしろだからこそ、鍛えない者の方が多いのだ。
だがしかし、為政者や武将、或いは軍の司令官からすれば。
一般的な兵たちの質こそが、軍の本質的な強さだと知っている。
大将軍や武将に遠く及ばぬ才能しか持たぬ身で、しかし健気に鍛錬を怠らぬ者もまた、大英雄に劣らぬ宝だと知っている。
「ショウエンさんから聞きましたが……軍隊が見たいのは、各隊ごとの強さだそうで」
「ええ、おっしゃる通りです」
「これから各隊ごとに分けて、モンスターと戦闘をします。もちろん明らかに強すぎた場合は私が手を出しますが、そうでなければ一隊ずつで対応しますので……」
赤ん坊よりも貧弱と言われた狐太郎が、この場の精強なハンターたちでも手に余る相手を処理するという。
もちろん魔物使いなのだから、背後に控えているモンスターが対応するのだろう。
頭では分かっているが、その珍妙さが引っかかった。
なまじ人間相手に戦ってばかりで、モンスターたちの強さが分からないからこそ、狐太郎がここの長であることに納得ができなかった。
「んじゃあ俺の隊から行くか。どうせBランク上位やAランクが来れば狐太郎が対応するんだし、抜山隊が最初でもいいだろうぜ」
「そうですね、そういう条件なら、僕たちが最初でもいいでしょう」
さらりと、Bランク上位だろうとAランクだろうと、自分達単独で対応できると言っている抜山隊のガイセイと麒麟。
やや厭味ったらしい言葉は、しかし誰も気にしていない。
この基地に初めて訪れた東方からの使者たちでさえ、その実力を知ってはいる。
Aランク中位モンスターを、単独で撃破しうる強者。その一人が在籍している抜山隊。
その彼らが言うのだから、誰も一々文句などつかない。
「じゃあ、ササゲ」
「ええ、わかったわ。シュゾク技……」
フルートのような横笛を取り出して、口に当てるササゲ。
その笛から、なんとも恐ろしい音色が聞こえてくる。
「笛を吹く悪魔!」
その音色そのものには、何の威力もなかった。
だがその音が響くと、前方の森がざわめく。
東方からきた四人は、知識として魔境を知っている。
基本的に魔境から遠い、人類にとっての安全地帯を守る彼女たちは、その脅威を知らない。
危険極まりないモンスターが生息していることを除けば、ただの平坦な森である。
薄暗く、静かで、人の手が入っていない森。
そうとしか見えないのだが、静寂など一瞬で破られる。
他の隊から別れて、森の前に並んだ抜山隊。
なんともまとまりに欠ける彼らは、ただ立っているだけで軍隊ではないことが分かる。
並んで陣形を作る。それさえ訓練の賜物であり、練習をしなければたどり着けない「強さ」だった。
狐太郎も、東方からの使者四人も、抜山隊の隊員がさほど強くないことを知っている。
だからこそ、自ずとガイセイや麒麟に視線が集まっていた。
だがしかし、最初に攻撃されたのは一般隊員だった。
「ん?」
「おや?」
ガイセイや麒麟は、攻撃の予兆に気づいた。
しかし特に何もせず、それを見送る。
「ぐはっ?!」
武器を構えていたはずの抜山隊の隊員は、腹部に衝撃を受けて転がった。
「おぐっ?!」
「はぐぁ?!」
それも一人二人ではない、多くのハンターたちが倒れていく。
明らかに、何者かから攻撃されていた。
「おいおい、お前ら。この程度の奴らになにやってるんだ」
当然のように、ガイセイには意味がなかった。
今彼は、自分にぶつかってきたモンスターをやすやすとつかんでいた。
昆虫型Cランクモンスター、ゴーストバレット。
例えるのなら、子犬ほどの大きさのバッタやコオロギである。
通常のバッタをそのまま十倍以上に大きくしたようなこの怪物は、当然ながら脚が非常に発達している。
その脚力をもってすれば、飛行ではなく跳躍だけで、巨大な城を飛び越えることが可能だった。
ましてやその脚力を、前方に発揮すればどうなるか。
硬く大きく速いこの虫は、質が悪いことに群れを成す。
常人では到底見切れず、しかもぶつかれば骨折は免れない。
それが怒涛のように襲い掛かってくるのだから、大量の投石兵を相手にしているようなものだった。
ガイセイや麒麟は平然と数十体をまとめて吹き飛ばしているが、雑兵ならば何もできないまま殺されるだろう。
「いててて……畜生、いきなり来やがって」
雑兵ならば、である。
世間の基準において雑兵とされるならば、一撃で行動不能になるだろう。
だがこの基地で戦う抜山隊の隊員は、世間の雑兵とは格が違う。
「大恥かいちまったぜ、ちくしょう……」
「隊長、麒麟、あんまりやりすぎるなよ? 俺たちの分がなくなっちまう!」
「Cランク如きに恥かかされちまったんだ、その借りは返させてもらうぜ」
不意を突かれたはずだった、無防備にぶつかったはずだった。
それでも抜山隊は、まったくダメージを負っていなかった。
ゴーストバレットがどれだけ早いとしても、所詮Cランクでしかない。
硬く大きく早かったとしても、所詮は軽いのだ。
精鋭ならば、無防備に喰らっても痛いだけである。
この基地では蛍雪隊の隊員の次に弱いはずの彼ら全員が、平然と立ち上がって反撃に出たこと。
それを見て、東方からの使者や狐太郎は驚いた。
「そいつぁ頼もしいな! じゃあお前ら、格好いいところを見せろよ?」
だがその驚きは、一瞬で別の驚きに変わる。
一滴の雨粒に気付くことができずとも、大量の雨に気付かぬものがいないように。
目にもとまらぬ速さのゴーストバレットが、まさに雨あられと、砂塵の嵐が如き量でぶつかってくる。
「おおお!」
軍人である四人をして、驚愕する光景だった。
だが抜山隊の隊員は、比較的弱いはずの隊員は、しかし一人残らずその弾丸の嵐の前に立ちふさがっていた。
大公が認めたBランクハンター抜山隊。そこに在籍する者が、Cランクの群れ如きに恐れをなす理由はなかった。




