霊結晶
「まずは皆様、手のひらが上になるように手を出して、我が証をここに。と念じて下さい。」
ラドが見本を見せながら言う。
「んじゃあ、私からやってみるわ。
我が証をここに!」
ソフィーが手を出しながら叫んだ。
その瞬間、ソフィーの手のひらに透明な水晶のような物質が現れ、浮かんでいた。
「んで何よこれ。」
「それは霊結晶と言う、この世界で皆さんの身元保証になる物質です。」
「これ綺麗ですね。キラキラしてる。」
「どうやら、ソフィー様以外の方々も出せたようですね。」
ラドが微笑む。
「ちょっと待って。
なんでアンタたち無詠唱で出せてるわけ?
私以外唱えてないわよね!」
「お嬢様、お前は馬鹿か?
さっき念じればいいってラドが言ってたじゃねえか。
念じるって声出す必要あるか?」
「誰が馬鹿よ!誰が!
脳筋の擬人化に馬鹿呼ばわりされる筋合いないわ。
念じるって言われると唱えるって発想になるでしょ普通。
ねぇアリア!」
「う…うん。そうかも。」
「ほら聞いた?脳筋!」
「誰が脳筋だ?アァ?」
「どうでもいいけど脳みそ空っぽのお嬢様と脳みそ筋肉の二人黙っててよ。イチャイチャしたいのわかるけど、話進まない。」
「イチャイチャなんかしてないわよ!」
「お前まで脳筋って言うんか!」
「紫音様。火に油を注がないで下さい…。」
「失礼しましたー。」
「はぁ。」
「ラドさん大丈夫ですか?」
「アリア様、心配ありがとうございます。
では話を戻しましょう。
霊結晶はこの世界のものが生まれた時に身体に宿す物質で、1つ1つ波長が少しずつ違う為、身分証明に使われます。
皆さんの知る所で言うギルドはこの世界ではプラネットと呼ばれていて、霊結晶をプラネットにある星結晶にシンクロさせれば、それだけで依頼を受けられるようになります。」
「それめっちゃ楽でいいな。」
「はい。ウルゴ様。
霊結晶はとても便利な物質です。
霊結晶同士シンクロさせれば、離れた場所でも会話が可能になり、経験値の共有やパーティー認識、スキル取得などにも役立ちます。」
「めっちゃハイテクなのね。関心しちゃった。」
「ありがとうございます。ソフィー様。
ちなみに、ここにいる皆さんの霊結晶はすでにシンクロ状態になっていて、先ほど申し上げた、離れた場所での会話機能、経験値共有並びに上昇補正、パーティー認識、互いのスキル取得にシンクロ補正が適用されてますので、後ほどご確認下さい。」
「ラド、この厄介なメンバー相手に説明ありがとうな。」
「礼様、労いの言葉ありがとうございます。
そして霊結晶とは別に、皆様にプレゼントがございます。」
「プレゼント?」
「はい。アリア様。」