男子高校生と格差社会②
俺の問いかけに受付嬢のお姉さんが応える。
「そうですね。変わりますが、基本的に皆さん4つほどの選択肢の中から職業を選択されていますよ」
平均的に4つくらいの選択肢があるのなら、もし俺のステータスが凡人以下でも2つくらいは選択肢があるだろう。俺は心底安心した。
適性テスト承諾の紙を記入すると、すっと鏡を差し出された。
「え、鏡ですか?」
「違いますよ、似てますけどこれは魔法鏡というれっきとした魔道具です」
「魔道具・・・、覗き込むだけなんですか?」
「そうですよ、どうぞ」
お姉さんに促され、手渡された鏡を覗き込もうとするのと多分同時だった。
「大変です!」
右側のカウンターから大声が聞こえたのは。嫌な予感しかしないが俺は手を止めて右側を見た。
視線を向けた先にはやはりサマンサの姿があり、俺の方に気が付くと何やらニコニコとしながら、
「進、やっぱり私は天才だったんだわ!!」
何を言っているのか全く理解できなかったが、サマンサを対応していた受付嬢のお姉さんが俺の問いかけより先に叫ぶ。
「適性テスト全ての項目が100、MAXです!私、こんな数値初めて見る・・・、上のものを呼んできます!」
周りにいた人たちがざわつき始める。それもそうか、だってそれが本当なら神話級の勇者だもんな。
対応にてんやわんやの神社職員を横目に、俺は静かに鏡を覗いた。
鏡に表示された数値は予想通り低く、選択肢は2つ。
【冒険者】か【料理人】どちらかを選んでください
数秒間思考が停止した俺だったが、色々とツッコみたい気持ちを抑えて冒険者を選択する。
いや、でもこれはツッコんでいいよな、うん。なんだよ料理人って。その職業魔王退治に必要なの?
料理人と表示された画面を見たお姉さんは、一瞬クスリと笑ったがサマンサのことで忙しそうだったので、
「あ、冒険者ですね。身分証明のカードをお作り致しますので、しばらくお待ちください!」
そう言ってすぐどこかへ行ってしまった。え、笑いすらとれないとか俺ってやっぱりサマンサの引き立て役的なね。知ってたよ、知ってたけどさ。
「運命って残酷だなあ・・・」
独り言を呟いて、やることがなくなったのでサマンサのいるカウンターに行ってみることにした。
「あ、いいところに来たわ!進のほうがなんだかこの世界について詳しいし、どれがいいか選んでよ」
そう差し出された鏡には50種以上の職業が表示されていて、俺の目には塩水が・・・。
「進?どうして泣いているの?」
「べ、別に泣いてねーし。目から塩水が湧いただけだし!」
首をかしげているサマンサに必死で意味のわからない言い訳をしていたが、とりあえずこいつの職業を決めるのが先だな。んー、みんなが憧れるような剣士の名前や、有名な魔法使いの名前までもが表示されているがこいつにそんな戦闘スキルあるんだろうか・・・。俺は改めてサマンサの適性値を見て頭を悩ませる。
「サマンサ様、お決まりになりましたか?代わりまして私がサマンサ様を対応させて頂きます」
「まだなの、もう少し待ってもらえるかしら」
やけにかしこまった様子で、なんかちょっとお偉いさんっぽいお兄さんが出てきた。
「あの、この中でパーティーにいたら役に立つけどあんまり人数がいない職業って何ですか」
「はい?そうですね、支援職でしょうかね。パーティーを組まないとレベルがあまり上がらないので人気ではありません。やはり強い前衛職がみなさん好まれるようですね」
「んーじゃあ、サマンサ。光の守護者にしろ」
「ん?これね、分かったわ!これにしてください」
「え、わ、分かりました」
お兄さんの言いたいことは分かる。なんでわざわざ人気のない職業に就かせたのか、ただの嫌がらせ・・・ではない。断じて違う。ちゃんと意味があるんだ。
しばらくの間待っていると、お姉さんが俺らの身分証カードを持ってきてくれた。軽く会釈をしてそのまま神社を後にしたのだが、そう問題はここからだ。
「サマンサ、ちょっと相談があるんだが」
「なによ、そんな真剣な顔で」
「俺らさ」
「俺ら・・・?」
俺はサマンサと2人で魔王退治に行くつもりなんて全くない。
「パーティー作らないか?」
前回の投稿からかなりの期間があいてしまいすみませんでした。これからは余裕のあるときにぼちぼち書いていけたらなと思います。




