男子高校生とBirthday girl
テスト期間が重なったため、重複しての連日連載になります。ご理解よろしくお願い致します。
そんなこんなで迎えた7月16日。
俺は少し困っている。
「進ー!起きなさい!今日は私の…」
「誕生日だろ?」
「あら、起きてたのね」
「30分も前から部屋の中、ウロウロされたらな」
気配を感じて、薄っすら目を開けたらいるんだぜ?嫌でも起きるわ。
「あはは、まあそれは置いといて、パートナーになるのよ!」
「それは分かったけど、パートナーになるって具体的になにをするんだ?」
「何をするのかしら…」
お前も知らないのかよ、駄目じゃん。
「とりあえず、ギルドに行ってみたらいいんじゃないかしら?」
「まあ、そうだな。聞いてみればわかるだろうし、行くか。」
俺とサマンサはギルドへ向かって歩き始めた。
ギルドって聞くとワクワクするよな。
ゲームでは生粋のソロプレイヤーだった俺には
一生無縁だと思っていたギルドとやらに
遂に所属出来るそうです。
「あ、あったわ!ここよ!」
「え?ここ?」
この街おかしいんじゃないの?
俺の目には神社にしか見えないんですが。
サマンサがギルドと言ったそこは、360度どこから見ても日本の神社だった。
心なしか神秘的なオーラに護られている気がする、鳥居あるし。
「行きましょ!」
「あ、ああ」
純日本人の俺には入るのが躊躇われるんですけど、エルフ様とても恐れ多いです。
ひっそりと敷居を跨ぐと中は全然神社じゃなくて、なんというか銀行みたいな感じ?
受付カウンターが沢山並んでいる。
「あの、すいません。パートナーの申請って…」
「はい!こちらで承っております!」
「本当ですか?良かった、サマンサーここで申請出来るってさ」
声をかけたのはいいが、肝心のサマンサの姿が見当たらない。
「サマンサ?」
サマンサの姿を広過ぎる神社内で探していると、一際騒がしい人だかりを見つけた。
「お客様?!他のお客様の御迷惑になりますのでおやめください!」
神社の人が叫ぶ声が聞こえる。迷惑な客もいるもんだな。
素通りしようと横切ると俺の背筋は凍りついた。
「なんでよ!私はこの人に話しかけていただけじゃない!」
「いや、そうではなくて…」
「なによ!」
「それは人ではなく、ロボットなので…」
どうやらうちの天然エルフっ娘は、ロボットに自分が誕生日だと力説していたらしい。
恥ずかしいから勘弁してくれ。
「すいません、本当にすいません。ほら行くぞ、サマンサ」
何やら不服そうなサマンサを半ば強引に引きずって、再びカウンターへとやって来た。
「すいません、パートナー申請がしたいんですけど」
「はい、かしこまりました。おふたりの年齢とお名前、国籍をご記入下さい」
「国籍…?」
俺の国籍ってどこ?日本って書くのが正解なの?え?どうしたらいいわけ?
「進の国籍はユニポワールのエルフ国よ?」
「え?そうなのか?」
「ええ、そうよ。第1条が執行されているからね」
出たよ、101箇条。
1条ってなんだし、知らないし。
【1条】
ユニポワール内に入り、48時間が経過すると自動的にユニポワールの住人となる。(例外は認めない)
「え、まじか。てことは俺ユニポワール人?」
「そういうことね」
マジかよ、俺知らない間に異世界人になったわ。
「登録が完了いたしましたので、今日より佐藤進様とサマンサ・レミファニール様はパートナーとなりました」
「ありがとうございました」
受付嬢のお姉さんにお礼を言うと、俺とサマンサは神社を後にした。
家への帰り道。
「あ、そういえばサマンサ」
「ん?何?」
「誕生日おめでとう」
今日、俺とサマンサは正式にパートナーになりました。




