新たな理想と葛藤
第一次試練も終わり新しい第二案内人「ショコラ」も大きなかまどから出て来て一週間、俺の生活は益々騒がしく充実していた。
「小太郎しゃん~‼︎ 勉強見てくださいですぅ~! 苺、漢字も分かるようになって来たんですぅ~!ショコラちゃんだけぎゃなくて苺もかまってくださいですぅ~! 」
苺がほっぺをプク~っと膨らませながら言う。
すると俺の肩の上に座ってチョコレートを食べるショコラちゃんが
「……苺ちゃん……今……私の番……」と小声で言い、それを聞きいた苺が更にほっぺを膨らませて
「ショコラちゃんばっかり小太郎しゃんの肩に乗ってずるいですぅ~‼︎ 苺も抱っこしてくださいですぅ~!」と言いながら俺に飛びついて来て俺たちは後ろに倒れた。
「イテテてて……」
俺は起き上がりってショコラちゃんを拾いながら肩に乗せて転んでしまった苺に「大丈夫か?」と手を差し出し苺が「大丈夫ですぅ〜」と言いった。
立ち上がり転んで汚れた苺の服を軽く払いながら
「苺は大きいんだから肩には乗れないし仕方ないだろ?ショコラちゃんは手のひらサイズだから移動も大変なんだ。仲間は助け合わなきゃダメなんだぞ。苺は大きいから分かるよな?」
苺の頭に手を置き撫でると苺は俯いたまま
「………苺は大きいから我慢するですぅ。小さいショコラちゃんに肩は譲るですぅ! 」と言いながら後ろを向き不服そうだが一様納得してくれたようだった。
最近苺の行動は益々子供ぽく、俺は世話を焼きながらふと考えると苺は俺にとって‘’彼女‘’と言うより‘’子供や妹‘’の様な存在になりつつあると心の何処かで感じていた。
そんな事を考えていると突然また上から声がした。
「今より第二次試練を開始するぞぃ‼︎ 今回の試練は乙女のみの参加だ! 試練内容は現世で必要な「感性」の試練‼︎ 己が作りし乙女が数日間この試練する!出発は明日!プレイヤーには、今回事前に内容は教えられんが現世で必要な感覚の試練!!乙女は大いに頑張るが良い! 以上‼︎ ‼︎ 」と言い声の主は消えて行った。
今回は不合格の場合でも何にもないのか?………苺だけ数日居ないのか。そんなことを考えていると心の何処かで妙にホッとした気持ちになる……そんな自分に気づいてしまった。
俺が余りにも深妙な面持ちで考えて居たので苺が心配そうな顔で「……小太郎しゃん! 苺は大丈夫ですぅ! どんな試練でも頑張って合格するですぅ〜だから一緒に此処から出ましょうですぅ〜」とニコニコしながら言う。
それを見て俺はハッとなり自分のホッとした気持ちを隠し苺に「……そうだな!苺!頑張れよ! 」と言った。
そして次の日。
「では乙女!覚悟はいいな⁉︎ じゃあ出発するぞぃ!」
上からの声を聞き苺は
「行って来ますですぅ〜」と言いニコニコ笑いながら苺は試練に出掛けて行く、苺をショコラちゃんと見送った。
すると今まで黙って、あまり話さないショコラちゃんがもじもじしながら小さい声で俺に「……小太郎さん……私……大きくなりたい…」と言って来た。
俺は「えッ……ショコラちゃんもあの大きなかまどを使えるのかい?」と聞くとショコラちゃんは「コクリ」とだけした。
もう一度……今度こそ理想の女の子が作れる。
そんな事を考えているとショコラちゃんはまた小さな声で「……小太郎さん…私……私を…使ってください……シュガーキッチンオープン………」と言い大きなかまどに火が付きショコラちゃんは’‘本物のチョコレートになった。
苺に対する罪悪感はないと言ったら嘘になる。だが俺は罪悪感より目の前の欲望にしたがってしまった。
そして”本物のチョコレート’‘になったショコラちゃんを拾いボールに入れてそこに俺はまたケーキの生地作りを始めた。
2回目ともなると手際よく生地はでき、残るは5種類の粉のみになった。
俺は真剣に考え前回の反省もあり苺の時には足りなかったモノを足す事にした。
今回の俺が考えた今回の粉の比率は
一つ目の粉「体型」は太すぎでもなく痩せすぎでもない苺よりは肉付きの少ない25%。
二つ目の粉「感情」はうるさくなく大人しい15%。
三つ目の粉「知恵」は前回10%だったが今回は前回の反省を生かし20%にした。
4つ目の粉「官能」は前回同様20%
五つ目の粉「行動」も前回同様20%にした。
5種類の粉と最初に作ったケーキの生地を混ぜ合わせ人型の型に入れてかまどに入れた。
火がついてるのに熱を感じない不思議なかまど、それを見つめながら俺の心は理想の女の子を作れるチャンスがまた来たと喜ぶ余り、俺は苺との約束をこの時、完全に忘れ罪悪感もなくなっていた。
しばらくして甘いチョコレートの香りがして中から黒髪で一見、華奢だけど胸がGカップくらいの大きくで程よい肉付きがあり、まつ毛は長く可愛い女の子が出て来てた。
俺は恐る恐る近づき「……ショコラ…ちゃん?」と聞くとその子ははにかんだ笑顔で「コクリ」とだけした。
苺が試練でいない数日間、ショコラちゃんは家事が得意な様で掃除、洗濯、料理なんかも率先してこなしてくれた。
前まで苺と二人きりだった時は俺しか出来なかった家事をショコラちゃんがやってくれるということに心も身体も疲れていた俺は心底癒されて行く様だった。
気立ても良く料理もうまいし何より可愛い 。俺は日に日にショコラちゃんが理想の彼女な気がしていた。
ショコラちゃんは家事の合間に長いさらさらの髪を櫛で梳かして手入れをしていたのだが
俺はそれを見ていて、ショコラちゃんの長い黒髪に無性に触れたくなりショコラちゃんに変態だと思われてしまうのも覚悟して
「ショコラちゃんにお願いがあるんだけど……その…ショコラちゃんの髪…触らせてくれないか?」と意を決して言うとショコラちゃんは顔を赤くし、しばらく悩んだ後上目遣いにこちらを見て「コクリ」とうなづいた。
ショコラちゃんの髪の毛は本当にいい匂いでこれが女の子の匂いなのかと。俺は今までの人生で嗅いだことのない香りにクラクラし思わず、後ろからショコラちゃんに抱きついた。
するとショコラちゃんは一瞬びっくりした表情になったが顔を更に赤らめて俺に
「………小太郎さん……ずっと…私…す……きです……」と小さな声で恥ずかしそうに俺の手を握り言った。
それを聞き俺は舞い上がり、ショコラちゃんと向かい合わせになり目を見つめ「俺も、、ショコラちゃん、、好きだ」といい、勢いに任せて口づけをしょうとした時、真後ろから苺の声で「裏切者」と聞こえた気がした。
続く




