鬼ごっこと甘い誘い
1ダースのチョコレートをあっという間に食べ終わったが、ちびショコラちゃんの空腹は満たされていなかった。
空腹で大きな音がなる響く。
ぐぅるきゅうううう〜!!!!!!!!!!!!!!!
「お腹……空いた……」
そうお腹に手を当て、小さな声で呟く。
俺と目が会うなり恥ずかしくなったのかフルーツの陰に隠れてしまった。
「……恥ずかしい……」
フルーツの陰からそんな声が聞こえた。
「ちびショコラちゃん? まだお腹が空いているのだろ……?心配だから出てきてくれないか?」
そう言うとちびショコラちゃんは恐る恐るフルーツの陰から顔を出した。
顔を赤くし潤んだ瞳で上目遣いに俺を見つめる。
そのあまりの可愛さに胸が高鳴り熱くなる感覚があった。
「ちびショコラちゃん……隠れていないでこっちに出てきてくれないか? 元気な姿を見せて欲しいんだ 」
ちびショコラちゃんはもじもじしながらちらちら俺をみてくるが出てこない。
痺れを切らした俺は、ショコラちゃんが隠れた場所のフルーツを退かした。
「……はッ……」
ちびショコラちゃんはいつになく機敏な動きで逃げる。
「ちびショコラちゃん!逃げるな!心配なんだよ……」
逃げるちびショコラちゃんを必死に追うが尽く、逃げられてしまう。
「頼むよ!ちびショコラちゃん……」
正直、ここまで動いて逃げれるようなら全く問題ないのだが、苺の一件もあったのでちびショコラちゃんを一人にしておけない。
そんな想いでちびショコラちゃんを捕まえようと必死に動いたが捕まらない。
「斯くなる上は……コレしかない!!」
俺はチョコレートを取り出して逃げ場の無いようにフルーツを配置しチョコレートを置いて罠を作った。
甘いチョコレートの香りに誘われて、ちびショコラちゃんはふらふらっと歩いてきて、チョコレートを食べ始めた。
「今だ!!!!」
そう言いちびショコラちゃんを優しく捕まえる。
「はぅ……捕まった……」
「ちびショコラちゃん!俺から逃げて楽しんでたでしょ? 」
「……ふふふ……」
そう言って小さい彼女は優しく俺の頬にキスした。
「ッ……!!」
「小太郎さん……顔真っ赤……」
ちびショコラちゃんも顔を真っ赤にしてはにかんだ笑顔で笑った。
ちびショコラちゃんはその後はひたすらお腹いっぱいになるまで、チョコレートを食べ続けた。
「お腹いっぱい……」
そう言って満足した笑みを浮かべて、ちびショコラちゃんはもじもじしながら潤んだ瞳で
「……大きく……なりたい……小太郎さんが好き……」
熱望した熱い瞳に心打たれて、俺はちびショコラちゃんを大きくすることにした。
‘’ 本物のチョコレート‘’ になったちびショコラちゃんを優しく拾い上げて大きなかまどの前に持っていった。
苺を大きくした時以来のケーキ作り。
苺の時とは違う工程があったが、体か覚えているのか手際よくベースの生地が出来上がった。
後の行程は5種類の粉を入れるのみ。
「体型」「感情」「知恵」「官能」「行動」を全体で100%にする。
前回の俺はどう言う比率でショコラちゃんを作ったんだろう……。
そう思うが苺の時同様、思い出せない。
‘理想の黄金比率、理想の女の子の姿。
それを思い浮かべながら、割合を決める。
ショコラちゃんはどう言う女の子にしょうかな……。
むっちりで触り心地のいい女の子にしたいし、頭が悪いのも良すぎるのも困る。
歩けないや話せない、感情が薄いは論外だ。
悩みに悩んだ俺はやっとの思いで黄金比率を決めた。
まず一つ目の粉「体型」は痩せすぎではなくむしろ適度な肉付きのいい25%。
二つ目の粉「感情」はヒステリックな所は全くなく笑ったり出来る20%。
三つ目の粉「知恵」は頭が良すぎると俺がついていけないので15%。
四つ目の粉「官能」は見聞きでき性的感覚も敏感な23%。
五つ目の粉「行動」は積極性のない俺だがショコラちゃんは元々、大胆なところがあるので17%にした。
最初に作ったケーキの生地と俺の黄金比率の5種類の粉を大きな人型の型に入れてかまどに入れた。
ショコラちゃんの事を考えると頭に浮かぶイメージは何故か、完璧で火の打ち所のない女の子だった。
それがどうしてそんなイメージなのか分からないが頭の良すぎる女の子も一緒にいて緊張するし
隙のない女の子は困ると思ってしまったのだ。
本当にどうしてそう感じたのか分からなかったが、苺の時同様なんだか俺の本能がそう言ってる様に感じてこの比率を決めた。
やはり目の前の大きなかまどは不思議なくらい全く熱を感じない。
次第にカカオの甘い匂いとケーキの焼けるいい香りがして
ボッン!!!!!!
っと音と共に大きくなったショコラちゃんが大きなかまどから出てきた。
「……ふふふ……愛してます……」
続く




