砂糖の君と黒と白
「プレイヤー佐藤小太郎!!なにをなさっているのですか⁈ 早く麗しの第二乙女ショコラにこれを!!」
小さい女の子 ‘’ 白 ‘’は俺に大量のチョコレートを渡す。
それを俺はぐったりしているちびショコラちゃんに食べさせようと一欠片、口元に持っていく。
するとさっきまでぐったりして微動だにしなかったショコラちゃんがチョコレートを見せた瞬間
瞳孔が開いた状態で起き上がり、瞬時に大量のチョコレートを貪り始めた。
「あらあら。そんな下品な食べ方をしてはいけませんよ?麗しの乙女、ショコラ。まるで家畜の様な無様な姿を晒してなんと滑稽な事でしょう……これでは100年の恋も冷めてしまいますわ 」
白のそんな罵りも俺の姿も眼中になく、ちびショコラちゃんには聞こえていない様だった。
その様子を近くで見ていた苺は俯きながら何かを言っている。
その姿は不気味で狂気を感じた。
何を言ってるのか耳を澄まして聞いてみる。
「何……嫌いって……小太郎しゃんはそんな事言わない……あんなの小太郎しゃんじゃ無い……あいつは小太郎しゃんじゃない……只の傀儡なんだ!小太郎しゃんはきっと苺を探して彷徨ってるのですぅ……苺が此処に戻してあげないといけないのですぅ……その為にXXするのですぅ……じゃ無いと本当の小太郎しゃんは帰ってこないのですぅ……XXXXしてXXすのですぅ……それを彼の方も望んですですぅ」
苺のあまりの異常さに絶句して声が出ない。
「ふふふ。あぁ……汚臭がします。生ものの腐敗臭程、醜悪なモノはないですわ……見苦しく臭い汚物の臭い。臭くて吐き気がします。美しいモノだけが住まうシュガーキッチンにいふさわしくないですわ。貴女もそんなに醜くなってしまって哀れに見えます。今わたくしが再調理して差し上げますわ 」
そう言って白は白い角砂糖を口に含み、黒糖の角砂糖は自身の頭の上に投げた。
するとさっきまで小さかった白はだんだん大きくなりグラマラスなサイドアップツインテールの白髪の女の子になった。
「ふぅ……この姿でないといささか不便ですから仕方ないのです。何をわたくしに対して熱い視線で見つめているのです!!!プレイヤーである佐藤小太郎はお下がりなさい! 」
その声に俺は慌てて目をそらし、チョコレートを食べているちびショコラちゃんを抱え逃げる。
逃げる俺に気づいた苺が呟く。
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでななんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんななんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでんでなんでなんでなんでなんでなんでなんででなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでななんなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんででなんでなんでなんでなんでなんでなんでんでなんでんでなんでなんでナンデなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そう言って絶叫した苺は狂った表情で近づいてくる。
「なんでそんな子を助けるの!!!!!!なんで……私だけを見てくれないの!!!!!! 」
ツイストタガーナイフを衣服から取り出し苺が襲いかかってきた。
「見苦しい……見苦しいにも程があります!!こんな醜いモノをこれ以上プレイヤーである佐藤小太郎に見ていただきたくないですわ!!」
そう言って白は苺の前に立ちはだかり、白い粉末を苺にかけた。
粉をかけられた苺はナイフを振り上げながら動きが止まった。
それと同時に苺は一瞬黒くなり消えていった。
「あぁ……臭い……腐敗臭で体が汚れそうですわ。ではプレイヤーである佐藤小太郎。わたくしはこの汚物を処分しなくてはならないのでお暇させて頂きますわ。また新たな再調理した状態でこちらにお送り致します。それにはいささか時間がかかります。今回の事態は我々の不手際になりますので特別ですが先に第5案内人をこちらにお送り致しますわ 」
「第5案内人……?」
「プレイヤーである佐藤小太郎が出会ったことのない可憐な乙女になります。」
俺があったことのない新たな女の子……?
白が続けていろいろ話すが全く頭に入ってこない。
俺の頭はいろんなことが一気に起こりすぎて理解するのについていけないでいた。
「まぁ。その様な状態では今話してもミジンコの様な頭では理解できないと思いますのでまた別の機会に案内しますわ。ではまた」
白も粉をかけ消えていった。
放心状態の俺。
そんな重い空気をぶち壊すようにちびショコラちゃんのお腹が鳴る。
ぐぅるきゅうううう〜!!!!!!!!!!!!!!!
あっという間に1ダースのチョコレートを食べ終えたがまだ足りないのかお腹を鳴らしていた。
「お腹……空いた……」
そうお腹に手を当て、小さな声でボソッと呟く。
「ちびショコラちゃん……あんなにぐったりしてたのにそんなにいきなり食べて大丈夫なのか?」
俺は心配になりそう声をかけると、今までチョコレートに夢中になっていて俺の存在に気づいていなかったのか、俺と目が会うなりフルーツの陰に隠れてしまった。
続く




