甘い乙女と再始動
甘い乙女の香りに誘われて今宵も廻る運命の歯車。
迷い込んだ秘密の花園。
恋の策略。甘い罠。寄れる気持ち。
全てはプレイヤーに委ねられた魅惑の世界。
必然の理。輪廻の輪。
真実の愛も偽りの気持ちも全ては乙女の駆け引き。
貴方には選ぶ事が出来るかしら?
たった一つを心の赴くまま手に入れてごらんなさい。
今こそ再始動の時。
限られた転生の記憶を頼りに真実の愛を導き出しなさい。
プレイヤー……佐藤小太郎。
空白の世界 __________‥‥‥俺を呼ぶ声がする。
「小太郎しゃん!むぅ〜まだ起きないのですぅ 」
女の子が俺を呼んでいる……?
それにこの甘いこの香りは……バニラ?
俺は重い体を少しずつ動かし、甘い香りと女の子の可愛い声で徐々に目が覚めた。
「イテッ……」
朦朧としてはっきりしない意識の中、頭痛がする頭を手で抑え起き上がる。
見慣れない場所。
「此処は……何処だ?」
さっきまで自分の部屋にいて武から渡された紙に書かれたURLにアクセスして、
女の子の声がして……それから……いろいろ考えるが何も分からない。
少し時間が経ち、混乱した頭も徐々にはっきりして、冷静に目の前にあるものから見る。
目の前には大量のフルーツと怪しげな粉、それと人が入れそうなくらい大きなかまどがあった。
見慣れない場所。
初めて見るはずの光景はどこか懐かしく、どこか切ない気分になった。
甘い胸に引っ掛かる痛み。
不安な気持ちとワクワクした気持ちが入り混じる。
現状を理解しようと立ち上がり手がかりを探そうと歩き始めた。
何処までも続くだだっ広い真っ白な部屋に俺一人。
足元にはフルーツが山の様に積まれて並べられている。
その山をじーっと見ているとこちらに手を振る小さい女の子がいた。
俺はびっくりして尻餅をつく。
「あわわわ!!! 小太郎しゃん大丈夫ですぅ〜やっと目が覚めたですぅ? ‘’ 苺 ‘’ は待ちくたびれたのですぅ 」
そう言ってその小さい女の子は俺に近づいて膝の上に乗る。
「小太郎しゃん!苺に触れてくだしゃい〜そしたら「シュガープロジェクト再始動」になるのですぅ 」
俺はその小さい女の子……苺に言われるがまま苺に触れた。
すると此処が ‘’ シュガープロジェクト ‘’ というのゲームの中で、シュガーキッチンにはいくつかのルールがある事。
プレイヤーに全て委ねられ、望んだものは大切な記憶と引き換えに手に入る調理型育成ゲーム。
俺の最初にやるべき事は大きなかまどと五種類の粉を使い理想の女の子を作るという事。
そして苺という第1案内人がいる事を思い出した。
「苺……?」
「はいですぅ!!!!小太郎しゃん苺の事思い出したですぅ?」
「あぁ……君が ‘’ 第1案内人の苺 ‘’ という事を思い出したよ。でもどうして俺はそんな事忘れていたんだろう?」
そう俺が苺に聞くと
「小太郎しゃんは深〜い事情が出来て一回、ゲームから離脱したですぅ〜だから今回、また新たに始める事になったのですぅ」
苺から軽く補足をしてもらい、俺はまた理想の女の子を作る事にした。
さっきまでニコニコ無邪気に笑いかけてきた苺は‘’本物の苺‘’になった。
俺は苺を大切に作業台に持って行き作業を始めようと準備を始めた。
ケーキ作りなんて一度もやったことの無いはずの俺だったが体か覚えているのか手際よく、ベースの生地が出来上がった。
そこに案内人の苺を入れた。
後の行程は5種類の粉を入れるのみ。
「体型」「感情」「知恵」「官能」「行動」を全体で100%にする。
粉の意味についてや粉の比率について書いてあるレシピ書があった。
前回の俺はどう言う比率で苺を作ったんだろう……。
そう思うが思い出せない。
‘’ 理想の黄金比率 ‘’
そんな事を考えるがなかなか浮かばない。
むっちりで触り心地のいい女の子にしたいが、頭が悪いのも困る。
歩けないや話せない、感情が薄いも困る。
悩みに悩んだ俺はやっとの思いで黄金比率を決めた。
まず一つ目の粉「体型」は太すぎず痩せすぎではなくむしろ少し肉付きのいい30%。
二つ目の粉「感情」はヒステリックな所は全くなく笑ったり出来る15%。
三つ目の粉「知恵」は頭が悪いのは話す時に苛々してしまうので20%。
四つ目の粉「官能」は見聞きでき性的感覚も普通な20%。
五つ目の粉「行動」は積極性のない俺にはあまり積極的な女の子は合わないかなで15%にしてた。
最初に作ったケーキの生地と俺の黄金比率の5種類の粉を大きな人型の型に入れてかまどに入れた。
苺を見ていたら、どうしてか頭の悪すぎる女の子は一緒にいて疲れるし
ヒステリックは怖いなっと思ってしまった。
あの無邪気にニコニコ笑う苺も見て、どうしてそう感じたのか分からなかったが、なんだか俺の本能がそう言ってる様に感じてこの比率を決めた。
目の前の大きなかまどは不思議なくらい全く熱を感じない。
次第にケーキの焼けるいい香りがして
ボッン!!!!!!
っと音と共に大きくなった苺が大きなかまどから出てきた。
「今度こそ、小太郎しゃんの理想の女の子に慣れましたか? 」
そう微笑みかけた苺を見て、俺は純粋に可愛いと言う気持ちと、胸に刺さる痛みを感じていた。
続く




