試験と生活
突然の第一次試験の準備開始の号令から一週間。
苺に勉強を教える傍ら俺はここでの生活の為に ‘’大切な記憶‘’ を引き換えにあらゆる物を出現させた。
ここでは俺が思い描いた通りの生活が出来るようになっているらしく俺は大きなかまどの前に違う空間に行ける様にドアを五つ作り出し設定した。
一つ目のドアの中には見慣れた現世の俺の部屋を作り出し、二つ目のドアはトイレ。
三つ目のドアはお風呂
四つ目の部屋は食料庫
五つ目のドアは苺の部屋を作った。
苺は同じ部屋がいいと俺に散々、駄々をこねたが俺は苺を説得し苺も渋々だが別々の部屋を受け入れた。
別々の部屋にしたのには理由ある。
苺は俺の前でも平然と着替えをしょうとしたり俺と一つに布団で寝ようとしたり、一緒にお風呂に入ろうとしたり、余りにも無防備でそんな女性経験もない俺からしたらどうして良いかも分からず、俺自身の理性も限界で苺はまだ何も知らない子供の様に、無垢な性格で俺は自分の中の男の本能が暴走して、いつ苺を傷つけないかと毎日気まず思いもあるが、俺にくっついて歩く苺に毎日ドキドキしていた。
苺は本当に可愛い…無邪気に笑い不意に見せる大人の表情に俺は日に日に魅了されていく。
俺も今まで家事なんかやってこなかったが家事が全く出来ない苺の代わりに俺が洗濯やら食事の支度、掃除なんかもこなし苺に読み書きを教え1日が終わる。
そんな充実した生活を俺はこの世界で送っていた。
充実した1日1日を過ごしあっという間に第一次試験当日になった。
「第一次試験を開始するぞぃ ‼︎ 苺、前に出よ‼︎‼︎ 」
声がし苺は不安な表情を浮かべて俯きながら言う。
「はいですぅ‥小太郎しゃん………頑張りますぅ………」
俺は苺の頭を撫で
「苺は一生懸命頑張って勉強をしたから大丈夫!いつも通りで良いんだ!終わったら苺の大好きな甘いケーキを食べような! 」と言うと苺の顔はみるみるうちにいつもの明るい笑顔に変わり
「小太郎しゃん! 約束ですぅ〜!苺いってき〜ますですぅ〜」と手を振りながら俺から離れて行った。
すると次の瞬間『フォ〜アン〜』という音と共に目の前から居なくなった。
俺は苺が帰って来たらすぐに苺の大好きなケーキが食べれる様に支度を始めた。
〜1時間後〜
『フォ〜アン〜』という音がし食料庫に居た俺はドアを飛び出した。
「第一次試験終了じゃー‼︎ ‼︎ ‼︎ 」という声が聞こえニコニコ笑いながら苺が戻ってきて俺を見つけるなり苺は俺の所に走って近づき
「小太郎しゃん ‼︎ 苺頑張りましたですぅ〜‼︎ 見事、合格したですぅ〜‼︎なでなでしてくださいですぅ〜」と上目遣いに甘えて言った。俺は「苺! 頑張ったな‼︎ 苺はいい子だな‼︎ 」と言って苺の頭を撫でた。
「見事! 第一次試験合格じゃなぁ‼︎ 合格して何よりだぞぃ!」
「第一次試験を突破したプレイヤーに問う ‼︎ このまま己が作りし乙女と現世を目指すか否か答えよ ‼︎ ‼︎ 」
そう言われ俺の腕を掴んで離さない苺を見て俺は考えるまでも無く
「もちろん! 苺とここを出る!俺は苺と出るんだ!」
そう力強く答える。
「良かろう ‼︎その覚悟 ‼︎ お主の覚悟しかと見たぞぃ! 」
「第一次試験に合格したお主にこれを授けようぞぃ ‼︎第二案内人‼︎出でよ ‼︎ ‼︎ 」
その声と同時に大きなかまどに一瞬火が付き中から手のひらサイズの黒髪の女の子がふらふらっと出てきたのを見て苺は
「あっ〜‼︎ ショコラちゃんだ〜!小太郎しゃん ‼︎ショコラちゃんですぅ〜 」と言ってその黒髪の小さい女の子に苺が走って近づいて行った。
何か話してるのかと思ったら苺が大きな声で
「小太郎しゃ〜ん‼︎ ショコラちゃんお腹が空いて動けないみたいですぅ〜‼︎ チョコレートを持ってきてくだしゃいですぅ〜‼︎ 」と慌てて言うので俺も何が何だか分からないが、急いで食料庫に行きチョコレートを持って行った。
そして苺の手の中にいた小さい女の子にその小さい体に合わせたサイズにチョコレートを砕き、渡すとその黒髪の小さい女の子はもぐもぐ食べ始めた。
〜30分後〜
苺が勉強している横で黒髪の小さい女の子は机に角砂糖を自分で置き、その上に座りもぐもぐチョコレートを食べ続けていた。
俺が苺に勉強を教えている時にふと、その様子を見ていると
「……第二……案内人……ショコラです……佐藤小太郎さん……宜しく……お願いします……」と小さい声でその子は言った。
すると苺が「ショコラちゃん! 小太郎しゃんにそれじゃあ聞こえないよぉ〜!」とほっぺたを膨らましながら言うとショコラちゃんがもじもじしていたので
それを見て俺は「大丈夫だよ。ショコラちゃん!宜しくな!」と言うとショコラちゃんは『コクリ』と頷いた。
続く




