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シュガープロジェクト  作者: めんちさん
シュガープロジェクト1st
48/54

白い君と青い宝石

 


「小太郎…ん……ミニスカポリス……です……どう……です?」



挿絵(By みてみん)


 そう言って部屋のドアを開けたショコラちゃん。


 ショコラちゃんと目が合った次の瞬間

 目の前に、顔は分からなかったが女の子?が見えた気がした。



挿絵(By みてみん)


 ______……一瞬見えた…… ‘’ アレ ‘’ は何だったのか。



 それに白が言っていた


「罪人は生き続ける支配の化身」




 この言葉の意味も俺は理解出来なかった。

 それにどうして俺に、そんなことを言うのかと少しの苛立ちを覚えた。


 白が目の前に現れてから、俺の心は揺れ動かされている。


 ちょっと前までは、何かがおかしいと思っていても深く考えず俺は自分自身すら静観してみているような、自分の事じゃないような感覚でいることが出来たのに……。


 コスプレ大会が始まって、コスプレの事よりも他の事で考える事や悩む事、心に引っかかることが多い。


 正直疲れた……。


 何も選択しないまま、何も考えないまま目の前の可愛い女の子と一緒に入れるだけで幸せだった。


 何が起きても傍観してるだけで全てがうまく動いていたのに……。


 白が目の前に現れてからおかしくなったんだ!!!


 心の中が次第に黒く染まる。


 ここまでくると白が疎ましく感じた。

 自分の意思くらい自分で言いたいと思った。


 なにもかも白のせいだ!!!

 白に対する嫌悪感が異常なほど急速に強くなるのを感じた。


 白を××したい。

 顔を××して、倒れた所を×××してやる。


 異常な行動だと思うが自分意思で止められない。


 俺は少しずつ白に近づいていく。

 白の白い首に手をかけようとした。

 白はそんな俺を見て、にっこり笑った。


 辺りにほんのりバニラの甘い香りが漂い始めた。

 その香りを嗅ぐと安らかな気持ちになれた。

 白に対するさっきまでの怒りや殺意がまるで嘘だったように、溶け出していく。


 俺は何てことをするつもりだったんだ?

 とっさに白から離れた。

 自分の体や意思がコントロールされていた……のか?そんな気持ちだった。


「やれやれです……わたくしを陥れようなど浅はかな……なんと汚らわしいのでしょう 」


 白の目つきは鋭く、その目線の先にはショコラちゃんがいた。



「……」


 ショコラちゃんは黙ったまま白を見る。

 しばらくお互いが見つめあった後白が重いため息をつき


「はぁ……わたくしはプレイヤーである佐藤小太郎の行末を見守り、時に助け、如何なるENDにも誘うという役目があります。プレイヤーである佐藤小太郎が望むことがこの世界の法なのです。一度でもプレイヤーである佐藤小太郎に殺意を向けられてしまえば、わたくしといえど、手助けできないのです。」


 そう語りながら、白の体は細かい粒子になって段々薄くなっていく。


 俺の頭の中は混乱していたが、白がいなくなってしまう。

 そんな気がしてとっさに


「白!行かないでくれ……お前まで俺の前から消えないでくれ」と言った。


 その言葉に白は驚いた顔をして

「わたくしは死ぬわけではないのですよ?そんな悲しそうな顔をしない位でください。もう少し対策と警戒をしていれば……今回はわたくしのミスです。最後にプレイヤーである佐藤小太郎にこれをお渡ししてわたくしは離脱させて頂きます。醜悪で汚らわしい貴方にとっての最良のENDを迎える事を願って……愛しています 」


 そう言って白は、3つのアイテムを残して消えていった。


 白い角砂糖が2つと少し黒く濁ったサファイアだった。


 俺がその角砂糖と黒く濁ったサファイアに触れようとすると


「触っては……ダメ……」


 ショコラちゃんがそう言うのを無視して俺は黒く濁ったサファイアに触れた。


 すると温かい気持ちに包まれて、俺は静かに瞼を閉じた。



「小太郎しゃん!×××は小太郎しゃんがだいしゅきですぅ〜頭をなでなでして欲しいですぅ 」



 女の子の声が聞こえる。

 温かく穏やかな優しい気持ちに満ちたその声が俺も大好きだった。


 でもその子が誰だったのか思い出せない。

 とても大切だったあの子の名前が分からない。

 俺は必死に名前を聞こうと、その女の子を追いかけたが追いつけない。


 必死にもがきハッと、眼が覚めると俺は泣いていた。

 涙が溢れていた。


「おいおい!小太郎大丈夫か?何で泣いてるんだよ……僕も悲しくなるだろ?」


 俺はドアの方を見ると巫女服姿の林檎がいた。



挿絵(By みてみん)



 林檎の巫女服が余りにも似合っていたので、俺は涙を拭いじーっと見つめた。


 林檎は恥ずかしそうに顔を真っ赤にして

「どう……かな僕でもこんな女っぽい服が似合うかな?」


 林檎のその顔を見たら

「当たり前だろ?林檎はめちゃくちゃ可愛い女の子なんだから自信を持っていいんだ。綺麗な赤い髪綺麗な瞳。完璧だ 」


 普段の俺なら恥ずかしくて言えない様な言葉がスラスラ口から出た。


 俺の言葉に林檎はさらに、顔を赤らめて顔を隠しながら

「こッ小太郎……僕、そんな事を君から言われたらもっと好きになっちゃうよ……」


 甘い空気が流れる。

 幸せの時間。

 いつもの俺とはどこか違うおれがそこにはいた。


 続く





挿絵(By みてみん)

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