女の戦略男の傍観
重い空気が流れる中、ちーちゃんが提案したのは
シュガーキッチン名物(?)誰が一番俺の欲望を満たす服を着れるか選手権だった。
_____……俺の欲望を満たす服。
前にもこんな事があったような……。
そう考えながら、俺は自分の部屋に戻った。
部屋に帰ってからも胸の奥に引っかかる ‘’ 何か ‘’ を感じた。
その ‘‘ 何か ’‘ が妙に引っかかり記憶を辿り、探すが見つからない。
むしろ、その ’‘ 何か ’‘ だけでは無く、このシュガーキッキンに来てからの俺の記憶の大半が曖昧なモノで
殆ど、ぶつ切りの様な記憶ばかりだった。
それでも、やっぱりあまり気にならない。
自分の事なのに、他人事のような感覚の自分が可笑しくて、俺は少し笑った。
そんなことを一人でしていると急に、部屋の扉が開き、ちーちゃんが部屋の中に入るなり
「あれあれ?小太郎さん!戦いが始まる前に、殿方の好みの調査にいち早く来た、ちーを見て一人で何にやにやしてるのなのです?もう!! ちーでえっちな妄想してたなのです?ホント、小太郎さんはえっちなのです。 またまたちーのコスプレ姿で小太郎さんを虜にするなのです。どんなのが見たいなのです? 」
ちーちゃんは茶化すようなにやにやした顔をして聞いてきた。
俺は ‘’ また ‘’という言葉が気になったが、聞き返さなかった。
どうせ俺の空白の時間の記憶の中の出来事だろう事はなんとなく察しがついたからだ。
「うーん……いきなり言われると難しいな……ちーちゃんに着せるならくせ毛フレンドのかぼんのコスプレも良いし、新世機エバンゲオンのレイレイのコスプレもいいし……純粋に体操服もいいしな……」
「も〜ッ!小太郎さんは優柔不断過ぎなのです!!いくらちーが何を着ても似合うからって、悩み過ぎなのです! 」
「そう言われても急には、決められないぞ……」
「仕方ないなのです。ちーがとびきりの服を思いついたなのです♡それを探して、着てくるなのです!ちょっと待ってるなのです」
ガチャ……バタンッ!!
そう言ってちーちゃんは、忙しなく部屋から出て行った。
ちーちゃんが部屋から出てすぐに
「小太郎はいるか?」
今度は、林檎が部屋に入ってきた。
「小太郎部屋にいたのか?ずっと探してたんだ……聞きたい事があって」
「あぁ。ずっと居たぞ。で、聞きたい事って何? 」
そう聞くと、林檎は少しもじもじしながら、顔を赤らめていつになく小声で
「こッ……小太郎は、ジャンヌダルクとか自衛官とか強い女性は好き……か…?」
と聞いてきた。
「ゴリゴリの女性は、タイプではないけどキャリアウーマンとか強い女性も嫌いじゃないよ?」
そう答えると
「そッそうか!なら良かった……じゃあ後でな!」
バタン!!
そう言って、林檎は俺が質問の意味を聞く前に颯爽と部屋から出て行ってしまった。
「林檎の奴……強い女性は好きか聞いてどうする気なんだ……?よくわからん……」
林檎が出て行った、ドアを見つめ俺は独り呟いた。
俺は暇を潰す様に、漫画を読み始めようとベットに寝転がると今度は、部屋のドアはゆっくり開きショコラちゃんが入ってきた。
「小太郎…ん……聞きたい事……ある……です……」
ショコラちゃんは、いつになく真剣な目をして俺を見つめる。
「SM……小太郎…んはS?……M?どっちです?……」
それを聞いてどうするんだろう……と思いつつ
「俺は、攻められるのも、攻めるのも嫌いじゃない……けど?」
そう答えると
少しショコラちゃんは悩みながらも、何か閃いたかの様に
「……了解……です…ラジャー……です……では……また後で……」
バタンッ!!
おでこに手を当て、敬礼したままドアを閉めて行った。
さっきの質問の意図が少し気になるが、可愛いみんながどんな服を着てくるのかワクワクした気持ちと
今からどんなドキドキがあるのかの期待感と邪な気持ちで俺はいっぱいだった。
続く




