悪魔の時間と天使の所業
「……くちゃ………」
「んッ……もっと……はぁ……もっと……欲し……です……」
そういってショコラちゃんは、何度も何度もキスをする。
「クチャ……あ……んふッ……」
淫らに重なる唇。
息も絶え絶えに激しく求める欲望の時間。
次第に唇だけでは、物足りなくなってその後は、只々貪るように、激しく求める。
俺の体も、熱を帯びてショコラちゃんを求めた。
それでも何度果てても、体の乾きは消えない。
色欲にうなされ、狂う様に重なり合う。
意思も気持ちも何もなく、己の欲を満たすだけの行為。
心と体、自分の意思、全てがバラバラだった。
自分の意思で動かない体。
何者かに、支配させているそんな感覚。
はっきりしない頭の中。
考える事すらままならない現状。
全てに心は戸惑い、‘’ あいつ ‘’ は俺から一つずつ ‘’ 大切なもの ‘’ 奪っていったんだ。
しばらくして一人では満足しなくなった俺は誰と肌を交わしているのかもわからなくなっていた。
止まらない体。
終わらない色欲。
消える記憶。
耳障りな囁き。
それらは長い時間俺を苦しめる。
途方も無い腐った時間超えて、幾度と無く消えたいと願った。
狂った世界でそんな俺が正気に戻った時には、目の前には誰もいなかった。
だだっ広い真っ白な世界に俺が一人立っていた。
辺りを見渡して、考える間も無く後ろから聞き覚えのある声がした。
「小太郎…ん……ここにいたんです?……やっと……見つけたです……」
振り向き確認すると声の主はショコラちゃんだった。
俺は恐る恐るショコラちゃんに聞いた。
「…さっきまでのは……一体?」
すると振り向いた俺を見て
「きゃあ!!!」
ショコラちゃんは咄嗟に顔を隠し後ろに振り向いた。
後ろ姿からでも分かるくらい恥ずかしそうに耳まで赤くして
「小太郎…ん!!服……!丸見え……!」
そう言われて、俺は下を見る。
何も見に纏ってななかった。
俺は何故か、全裸だった。
俺は慌てて辺りを見渡し、服を探すが見つからない。
だだっ広い真っ白な部屋には何もない。
「小太郎…ん!早く服……着てください……です……」
ショコラちゃんは、ジタバタしながら赤面している。
「ごめん!!……見当たらないんだ…どうにも出来ない…本当にごめん……」
「見当たらないなら……早く ‘’ 思って ‘’ 服を……出してくださいです……」
その手があったと、ショコラちゃんに言われて俺は服が欲しい出してくれと ‘’ 思った ‘’ 。
すると上から服と下着が降ってきた。
「はッ……早く……着て……です……」
俺は、服を着た。
ショコラちゃんは終始恥ずかしそうに、後ろを振り返ったままだった。
「ショコラちゃん…ごめん。服着替えた…よ? 」
「……ほんと…に……もう……出てないです…? 」
耳まで真っ赤で、顔を隠しながらショコラちゃんは弱々しい声で、そう言った。
その反応があまりにも可愛くて、俺はちょっと意地悪したくなって、顔を隠すショコラちゃんに近づき
「えッ…ええ⁈ 」と戸惑うショコラちゃんをぎゅっと抱きしめた。
さっきの変な ‘’ 夢 ‘’ の影響もあるのか、ショコラちゃんこんなに初々しい反応で目の前に現れて、安心した気持ちが大きかった。
抱きしめたショコラちゃんは、甘酸っぱい、いい匂いがした。
嗅いだ事のある安心する匂い。
ショコラちゃんの華奢で柔らかい体。
さっきの夢の影響もあってか、大胆な気持ちになった俺はショコラちゃんとキスがしたい。
そんな欲望にかられ、肩を抱きながら床に座る。
つられてショコラちゃんも床に正座した。
流石に、気が大きくなったとしても、自分からキスしたいなんて、男らしくないが言えなかった。
ショコラちゃんの顔を、じっと見つめるので精一杯だった。
ショコラちゃんもそんな俺を見て、何か察したのか真っ赤になり、震える手で俺の膝に手を置きほっぺにちゅとキスをした。
赤面して涙目のショコラちゃんが可愛すぎてショコラちゃんを優しく押し倒した。
勢いで、スカートの下の綺麗な純白の下着が露わになった。
「小太郎…ん……好きです……大好きです……」
顔を隠してショコラちゃんはそう言った。
その言葉で、心の隙間が満たされた気持ちと何故か罪悪感にも似た気持ちになった。
満たされている。
幸せなのに胸が苦しくなった。
俺も……ショコラちゃんが大好きだ。
でも前にも何処かで……?
俺は、胸を騒つかせる何かを心で探していた。
続く




