バニラの香りと小さい女の子
___‥‥‥俺を呼ぶ声がする。
そんな朦朧とした意識の中俺は目覚めた。
バニラの甘い香りがするだだっ広い真っ白な部屋には
大量のフルーツと怪しげな粉、それと人が入れそうなくらい大きなかまどがあった。
頭もはっきりとして来た俺は自分に何が起きたのか冷静に考えていると、何処からともなく女の子の声が聞こえた。
目の前には誰もいない‥。なのに声が聞こえる。
遂に俺は頭がおかしくなったのか?幻聴まで聞くようになるとは‥‥‥。
そんな事を考えているとまた声がする。
「小太郎しゃん‼︎私はこっちですぅ‼︎気づいてくだしゃい‼︎」
こんなにはっきり聞こえる。
俺は夢を見ているのか?と自分の頬を強く叩くが、頬から伝わる痛みが夢ではない事を俺に教えてくる。
「これは幻聴じゃない‥なら何処にいるんだ?」
俺は辺りを見渡すがやはり姿が見えない。
「もっと下ですぅー‼︎小太郎しゃんここですぅ‼︎ 」
そう言われて声の言う通りに目線を足元にある大量のフルーツの山に向けると
そこには俺に気づいてもらおうと必死に手を振る手の平サイズの小さい女の子がいた。
俺はびっくりして思わず後ろに転けたがその小さい女の子はすかさず
「小太郎しゃん‼︎大丈夫でしゅかぁ?」と言いながら俺の所に飛んできた。
「お前は‥誰なんだ‼︎ここは何処なんだ⁈」
「ご紹介が遅れて御免なさいですぅ。」
小さい女の子は慌てて俺の腹の上で正座を三つ指立てて挨拶し始めた。
「改めまして私は「シュガープロジェクト第1案内人の苺」ですぅ!小太郎しゃん‼︎よろしくお願いしますですぅ」と深々と頭を下げニコニコと上目遣いで俺を見てきた。
「なんで、、、、、俺の事知ってるんだ?」
おののく俺をよそに小さい女の子は表情豊かに
「ずーっと小太郎しゃんの事、待ってたのですぅ!小太郎しゃんの事は何でも知ってるですぅ」
俺の人差し指を掴み余りにも無邪気にニコニコ話すので俺は不覚にも可愛いと思ってしまい、それ以上追求する気にならなくなった。
そして
「ご紹介が済んだので早速、このゲームの説明をするですぅ」と言い苺はゲームの説明を長々とし始めた。
〜40分後〜
「小太郎しゃん‼︎説明は以上ですぅ‼︎分かりましたかぁ?」
苺はにこにこ無邪気に笑い掛けてきた。
俺は頭を掻きながら
「お前さぁ、、、、。説明〜長すぎ。よくわかんねぇ」めんどくさそうにため息混じりの声で言う。
「ではまた説明しますですぅ‼︎」とほっぺを膨らませて腰に手を当てながら俺を見つめてきた。
「苺‼︎もういい‼︎分かったから‼︎」と言ったがまた一から話し始めた。
〜1時間半後〜
「小太郎しゃん‼︎説明は以上ですぅ分かりまs」
俺は食い気味に
「分かったぁあ‼︎分かったからもう先に進んでくれ」と一息入れながら言う。
するとまた苺は、
「では続いて女の子の作り方の説明をするですぅ」と目をキラキラさせにこにこしながらまた話し始めた。
また始まる説明に
「‥‥まじかよ。」とため息をついた。
そこから更に
〜20分後〜
「説明は以上ですぅ!小太郎しゃんお疲れ様ですぅ」
苺は無邪気に笑いながら俺に言った。
苺の話を要約するに
このシュガープロジェクトというアプリは、「リアル調理型育成アプリ」でプレイヤーがアプリの中に入って実際に作った女の子と共に過ごす事ができる。
女の子はケーキの材料で、出来ていてそこに5種類の粉を全体で100%になるように自在に配合して作るらしい。
粉の種類は「体型」「感情」「知恵」「官能」「行動」で
その粉の配合によって女の子の性格、見た目、機能や今後の展開が変わるようだ。
あと基本的にはプレイヤーに全て任されており、明確なシナリオは示されてないが
女の子と次第に訪れる試練をクリアして最終的に二択を迫られるらしい。
その二択の内容は苺も知らないと言う。
あと注意事項として2つのBAD ENDの話が出た。
このゲームはプレイヤーに全てを任されているが2つBADENDがが存在している。
’‘1つ目はプレイヤーが女の子を殺した時’‘
’‘2つ目は女の子がプレイヤーを殺した時’‘
いずれの場合もプレイヤーはアプリから出られなくなり永遠にシュガープロジェクトをプレイし続けなくてはならなくなると言う。
但し、このBADENDが起こるのは稀で普通にプレイしていればまずならないらしいが‥。
本当に大丈夫なのか?と一瞬不安がよぎる。
大丈夫なのか考えていると
「では、小太郎しゃん‼︎説明も終わりましたし、いよいよ始めるですぅ」と苺が無邪気にニコニコ笑うので真剣に考えている事が馬鹿らしく感じ、俺はBADENDの事は考えるのをやめた。
「シュガーキッチンオープンですぅぅううう‼︎‼︎」という苺の声と共に大きなかまどに火がついた。
「まずは私をベースに女の子を作るですぅ」と言い苺は本物の苺になった。
続く