偽りと仲直り
「シュガーキッチンオープン!!!!」
大きなかまどに一瞬火が付き中から小さいショコラちゃんがフラフラしながら出てきたと思ったらその場に倒れたのを見てちーちゃんが「ショコラちゃんなのです!!大丈夫なのです!?」と言い直ぐにショコラちゃんの所に飛んで言った。
俺も直ぐに駆け寄った。
「ショコラちゃん!!大丈夫か!?しっかりしろ‥‥!!」と言うと倒れたショコラちゃんを拾い上げ手のひらに乗せた。
するとショコラちゃんが小さい声で何か呟いていた。
「‥おな‥‥‥す‥‥‥‥た‥」
俺がショコラちゃんの声を聞き取れずにショコラちゃんに問いかけていると、今まで黙って泣いていた苺が突然大きな声を出し
「ショコラちゃんお腹が空いてるみたいですぅ!!!早くチョコを持って来るですぅ!!!」と言った。
「ショコラちゃん!そうなのか?!」
ショコラちゃんは小さく「コクリ」と頷きそれを見てちーちゃんが食料庫まで急いで飛んで行き、チョコレートを持ってきてショコラちゃん駆け寄った。
「ショコラちゃん!チョコレート持ってきたなのです!」
ショコラちゃんの目の前にチョコレートを差し出すと今まで俺の手のひらでぐったりしていたショコラちゃんが勢いよく起き上がり、ちーちゃんからチョコレートを奪う様に取って徐に食べ始めた。
〜30分後〜
ショコラちゃんは黙々とチョコレートを俺の肩に座りながら元気そうに何事もなかったように食べ続けている。
俺はを見て俺は安堵した。ショコラちゃんが戻って来てくれて本当に良かった‥俺は心からそう思ってると遠くの方で苺がこちらをチラチラ見ている。
俺が視線を合わすと目をそらし俯く‥苺は俺の様子を伺っているようだった。
俺が怒ったから苺‥落ち込んでるのか‥な‥。
俺が苺のほっぺたを叩き怒ったりしたまま苺としっかり仲直りもしないままにしていたから苺から話し掛けれづに俺の近くに寄って来れずにいるのか‥。
苺だってそもそも悪気があってショコラちゃんを食べてしまったわけじゃないだろうし‥結果的にショコラちゃんは帰って来た。
ショコラちゃんがチョコレートケーキになってしまったのは苺のせいでも無い。
それに苺はショコラちゃんを助けようとしていた‥苺は単純に何も分かってなかっただけだ‥それを俺は頭に血が上って苺が分かるように話しもせず、いきなり叩いてしまった‥。
俺はなんとも言えない罪悪感でいっぱいで話しかけるのさえ躊躇う気持ちはある。
だがこのままにしていて良いはずはない!俺から苺を叩いたことを謝ろう‥そして仲直りするんだ。
そう自分の心を奮い立たせ俺は苺の方を真っ直ぐ見て歩き出した。
すると苺はハッとして後ろを向き俺から逃げる様に走り出したので俺は、慌てて大きな声で
「まて!!いちごぉぉ!!さっきは俺が悪かった!!」
苺は走るのをやめてその場に立ち止まり、恐る恐る俺の方を向きもじもじしながら俺に話しかけて来た。
「‥‥小太郎しゃん‥‥苺の事‥悪い子だって怒ってないのですぅ?」
俯きながら話すので俺はゆっくり苺の目の前まで行き優しく苺の頭を撫でながら
「もう俺は怒ってない‥それより何も知らなかった苺を叩いた俺が悪い子だった。‥苺本当にごめんな‥痛かっただろ?」
そう言うと苺は目に大粒の涙を溜め、頷いき泣きながら
「苺‥悪い子じゃなかったですぅ‥小太郎しゃんとお話し出来なくて、一緒に入れなくて悲しかったですぅ‥もう苺を一人にしないでくださいですぅ」
健気に俺を好きな苺の言葉を聞いて、俺があんなにひどいことをしたのに、まだ俺を好きでいてくれている‥そんな苺に胸を締め付けられる思いと同時に、出会った頃の淡い気持ちを思い出し、俺は苺を受け入れる用に抱きしめた。
「もちろん!もう苺を一人になんかしない!!ずっと一緒だ!苺‥寂しい思いをさせて本当にごめん‥」と言うと苺は笑顔になり「絶〜対ですぅ!!嘘つきは針千本のぉ〜ますですぅ!!ふふ」といい無邪気に笑い俺の腕に抱きついた。
一生懸命俺を好きな苺。
それに応えようとする俺。
でも心のどこかで引っかかりがあってその理由は間違いなくショコラちゃんへの気持ちだった。
俺はこの気持ちを苺に悟られないように隠し振る舞う。
でも苺の無邪気な笑顔を見ているとそんな俺の罪悪感も、弱い俺のずるい気持ちも見透かしてる‥そんな気持ちになるのだ。
続く