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プロローグ
ニレンはバカだ。
典型的なバカだ。
そこは、誰もいない放課後の教室。
中には夕陽が窓から差し、ほのかな橙が映っている。
そして、そこには佇む影が二つ。
一つは地球最強のバカ、ニレン。
そしてもう一つは、ニレンのたった一人の親友、セーツ。
「おい、ニレン」
セーツは、ニレンの名を呼ぶ。
「?なんだー?」
返ってくるのは、気の抜けた声。
覇気がなく、やるせなさそうな声だ。
「なぁ……」
キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴る。
下校時刻5分前の合図。
「──死ね」
波乱は、ここから始まる。