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SPEC  作者: かつき
4/4

第3話 SP寮

よろしくお願いします

「はぁ、色々疲れた。」

自己紹介が終わり休み時間に入ったので教室を出ようとする辰巳。


「おーい、炎堂!」

教室を出る瞬間、遊馬先生が辰巳を呼びつけた。

駆け足で遊馬先生の所へ向かう辰巳。


「所でお前何寮にする?」


「はい?」


「この学校が全寮制だってことは世間の噂で知ってるだろ?」

(あぁそうだった。この学校はSPEC持ち育成や行動規制の為に寮制度がついてるんだった。)


「はい。詳しくは知りませんが。」


「で、何寮にする?」


「えっと...何寮があるかも分からないので」


「あっ、そっか。この学校の寮は第1寮。第2寮

そして第3寮に分かれている。1.2は普通だが3は魅惑の花園!女子寮になっているから行きたいのは山々だろうが...すまない!1か2のどっちかにしてくれ!」


「別に適当に1寮で良いですよ。」


「そんな簡単に決めていいのか?寮対抗も体育祭やらの行事であるぞ!」


「どーせ変わんないですから。1寮で良いですよ。」


「わかった。じゃあ手続きしとくから、放課後一度家に帰って荷物まとめて校門前へ来い。俺が案内すっから」


「分かりました。」

話を終えて教室を出る辰巳。するとまた。ドガーン。大きな音が鳴り響いた。


「また戦闘かよ。」

辰巳は音のする方へ向かった。

そこに居たのは、またしても風魔に戦いを挑む鉄心だった。勢いよく人がぶっ飛んでいき教室の壁を破り瓦礫の下敷きになる。



「またこのパターンかよ」

しかし、今回は少し違った。何とたっていたの鉄心の方だった。周りの野次馬もさっきと反応が明らかに違う。辰巳はいつの間にかその試合の釘付けになっていた。戦いは両者1歩も引かなかった。風魔が衝撃波を連続で撃ち込む。しかし鉄心は全身を鉄にして耐えている。


「凄い。」

思わず声が漏れる辰巳。

風魔が衝撃波を撃ち込み終わった後の一瞬の隙を鉄心は見逃さなかった。その瞬間風魔の顔に鉄心の鋼鉄のパンチがクリティカルヒットした。ナチュラル型の隙をついたのだ。風魔はまたぶっ飛んでいった。この時、誰もが鉄心が勝ったと思った。鉄心自身も勝ちを確定して油断していた。だが.....................瓦礫の中から一瞬で風魔が抜け出してきて鉄心めがけて手を構えながら突っ込む。鉄心は慌てて両腕を鉄にし顔の目の前で手をクロスさせて防御体制にはいる。鉄心の腕と風魔の衝撃波が激突する。風圧が辺り一面を包み込むように吹き荒れる。風圧がやみ、しばしの沈黙が続いた次の途端。ビキッ。鉄心の鉄が砕けた。その瞬間鉄心は倒れてしまった。歓声が巻き起こる中、風魔は冷静に去っていった。

(風魔空牙...只者ではないな...)

と辰巳は思った。

現場にはすぐ富永と復村先生が駆けつけた。


復村元(ふくむらげん)

SPEC:特殊型 復元

効果:何でも完璧に元通りに復元出来る。


=====================

キーンコーンカーンコーン。


「終わったぁ」

辰巳の長い学校生活一日目が幕を閉じた。寮生活の為の荷物を取りに家に帰る辰巳。

近道しようと裏路地を通った辰巳。その先には四人の人影が見えた。見てみると何やら揉め事を起こして喧嘩してるようだ。


(あまり関わらないようにしよっ)

そう思い道を変えようとした辰巳だがある事に気づく。どうやら三人のガラの悪るそうな人達が一人の周りを囲んでいる。そしてその囲まれている人は同じクラスの影浦漆人だった。


「まずい。明らかにヤバそうだ」

助けたい気持ちはあったが面倒ごとに巻き込まれたくないし何より自分が行ったところで袋叩きにされて終わるだけだと思い引き返そうとする。しかし、予想外のことが起きた。何と漆人の胸ぐらを掴んでいたガラの悪い連中の一人が殴り飛ばされた。


「え?」

動揺している辰巳。


「てめぇ。何しやがる!」

殴り飛ばされたガラの悪いヤンキーが言った。


「うるせぇ。先に仕掛けてきたのはそっちだろ?そんぐらいの覚悟ありで俺にかかってきたんだよなぁ?」

暗い表情で漆人が言った。すると連中の一人がいきなり慌て出し言った。


「あ、あぁ。こいつヤベぇ」


「はぁ?いきなりどうした?」

と他の奴が聞き返す。


「こいつ。あの漆人だ!中学の頃ここらの奴ら一人で全員しめあげたって噂の。」


「まじかよ。ヤベぇって。」

と言って逃げていく三人。しかし漆人は逃がしはしなかった。あっという間に三人をぼこぼこにした漆人。漆人は辰巳に気づかずにそのまま去っていった。


「こえぇぇ。何あの目。」

辰巳はただただ怖かった。

家についた辰巳は荷物を揃えて早々に家を出た。校門につくと遊馬先生の姿が見えた。


「来たな!」


「はい。」


「忘れ物はねぇな?」


「無いですよ。」


「よし!じゃあついてこい。」

歩き始める2人。


「学校から寮まで約5分だ!まぁ結構近い。しかし、だからといって朝はゆっくりしてられないぞ!遅刻はペナルティだぞ!」


「うげっ!ペナルティ?」


「朝弱いのか?それなら心配するな。きっと大丈夫だ。」


「べっ べっ 別に弱くないですよ!」

しかし実際は朝弱い辰巳であった。


「しかし、何で?大丈夫なんすか?」


「それは朝になったらわかる。」

話しているうちに寮の前についた。


「ほら。ここがSP高校の寮だ。」


「でっけぇー」

そこには学校より大きい建物があった。


「まぁ色々備えてあるからな」


「そうっすか。」


「えっと。お前は第1寮だから1番左の入り口だ。」

遊馬先生に連れられて中にはいる。


「寮では学年関係なく振り分けられている。泊まり部屋は2人から3人程度で振り分けている。」


「あっ。はい。」


「んでお前は207号室に泊まってもらう。」


「はい。」


「確か。冴島、影浦が一緒だ。」


「へ?」

辰巳の脳内であの記憶が再生される

====================


「何なら俺がここで呆気なく10回倒してお前のこと退学にしたっていいんだぞ?」

=====================


「うるせぇ。先に仕掛けてきたのはそっちだろ?そんぐらいの覚悟ありで俺にかかってきたんだよなぁ?」

====================

「別に適当に1寮で良いですよ」


「そんな簡単に決めていいのか?寮対抗も体育祭やらの行事であるぞ!」


「どーせ変わんないですから。1寮で良いですよ」

===================


(何でよりによってあんな怖いヤツらと...あぁこんなことなら第3さ2寮にしておけばよかった)

今になって後悔する辰巳。


「ついたぞ。ここが207号室だ。」


「ゴクリッ」

唾を飲み恐る恐る扉を開ける辰巳。


「よろしくぅ~...今日からここで泊まることになりましたぁー」

扉を開けるとそこには冴島雷がいた。


「はぁ何で、何でてめぇがこの部屋なんだよぉ。」

怒りを露わにする雷。


「遊馬先生が決めたことだから仕方ねぇじゃん...」


「あぁ。顔みてるだけでムカつく」

辰巳は空気を読んで部屋の端に荷

物を置く。

そして沈黙が続く。ふと雷を見ると物凄い目付きで辰巳を睨んでいる。


(だめだ。この威圧感耐えられねぇ)

と思いロビーを見学しに行こうとして扉に手を掛けようとする。しかし辰巳が手をかける前に扉が開いた。


「何でお前がここにいるの?」

冷たい声で言い放ったのな影浦漆人だった。


「いや、あの遊馬先生が...」

と言いかけたところで


「あっそ」

そしてハシゴの上に登ろうとする漆人。その通り道に雷の荷物があった。


「ねぇ。邪魔なんだけど?どけてくんね?」


「はぁ?またいで行けばいい話だろ。馬鹿かよ」


「はぁぁ。ったく。何回ゆってもわかんねぇんだな。これだから単細胞は。ミジンコ。」


「んだとこの野郎っ!てめぇも単細胞だろ。アオミドロ!!」


「はぁ?やんのかてめぇ。」


「上等だこらァァ」


(ミジンコ?アオミドロ?どっちも多細胞生物だったよな?)


「この辺のヤンキーをしめただ?お山の大将気取ってんじゃねぇーよ!」


「そのお山の大将にすらなれなかったお前に言われたくねぇよ。」

両者能力を手に溜めている。2人がぶつかり合う瞬間。バコーン。


「いい加減にしろ!」

という声とともに2人が突き飛ばされた。

そこに立っていたのは風魔空牙だった。


「それにミジンコもアオミドロも多細胞生物だ!」


「空牙さん...」

引き下がる漆人。


「いってぇ。何しやがる風魔!!」

雷が怒鳴る。

雷の言葉を無視して辰巳に近づく風魔。


「なんか色々すまねぇな。俺は第1寮、寮長の風魔空牙だ。宜しくな!」


「あっ。よろしくお願いします。」


「ここの部屋嫌だったら変えてやるけど、どうだ?」


「出来るのであれば...変えて欲しいです」

そして205号室に案内される。


「ここでいいかな?」

と言って扉を開ける風魔。

そこには見覚えのある顔が1人と全く見覚えのない顔が一人。髪は紫色で明るい雰囲気を醸し出した青年と暗い雰囲気の茶髪の青年がいた。


「おっ!お前転校生の!!この部屋になるのか!」

そこに居たのは辰巳と同じクラスの変化材鬼だった。


「よ、よろしく。」

辰巳が挨拶すると材鬼は笑顔で反応してくれた。


(この人となら上手くやれそうだ)

ふともう一人の方を見るとそこには暗い表情の前髪が少し長い青年が立っていた。その青年は何も言わずに部屋を出ていった。


「あいつは、澤村錆也(さわむらさびや)色々あって今は少し...と言うか結構根暗な性格になっちまってな。」


「色々って?」


「まぁ、同じ部屋メンになるし言った方がいいか。あいつ自分のSPECを気にしてるんだよ」


「あいつ、生まれた時に両親が離婚して母親の方について行ったんだ。そして...その何年か後に親と離れ離れになったんだ。」


(SPECを気にしてるのはと似てる気がする。)



「何で?」


「えっとアイツは小学1年でSPECが目覚めたん

だよ」



「それが...悲劇の始まりだ...」

真剣な表情になった材鬼につられて辰巳も真剣な表情になる。

=====================

「お母さん?なんで泣いてるの?」

と言って近づく錆也。


「近寄らないでっ!!。あなたは悪魔の子なのよ。」


「え?お母さん...」

そして手のひらで母親の腕を掴む。すると掴んだ所を中心に母親の腕が錆びていく。


「やめて。錆也!!」

と言って錆也を突き飛ばす母親。


「何で。お母さん。お母さん...」

泣きわめく錆也。

====================

「結局錆也はその後は施設で育って高校でここの寮で暮らしてるんだ。」


「そんな過去が...」


「目の前で母親を傷つけてしまって更に見放されたんだからそりゃ心をふさいじまうのは仕方ねぇよな!」


「そうだな。」

辰巳はその話を聞いて暗い気持ちになったと同時にそのふさいでいる気持ちを開いてやりたいという気持ちが芽生えた。


(どうした俺。こんなキャラじゃねぇーはずなのに。)


「まぁ、ここの部屋は漆人、雷の部屋よりはリラックス出来ると思うから存分にゆっくりしてくれ!」


「お、おう。」

そう言うと材鬼は部屋を出ていった。


「この学校に来て初めてのゆっくり出来る時間だー。」

そして目を瞑った辰巳はそのまま眠ってしまった。

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