第1話 SP高校
続きです。よろしくお願いします
電流が地面をつたって辰巳めがけて襲ってきた。それを当たる寸前でかわし、上空へと飛んだ。しかし、その電流は直角に飛び辰巳の身体に電流がはしった。
「うわぁぁぁ」
辰巳の悲鳴と共に地面めがけて落ちた。それを見下すように金髪で冷静な青年が辰巳の目の前に立っている。その青年からは、何か分からない冷徹な圧力を感じた。
その青年は冷たい口調で呆れたように言い放った。
「転校生の炎の能力と聞いたから期待したがたいしたことねぇな」
そう言うとその青年は倒れている辰巳に向けて手を構えた。その手は青い電気を纏っていた。その手から雷鳴が放たれる瞬間.........
(こんなはずじゃなかったのに...)
と辰巳は後悔する。なぜ、こんな状況になったかと言うと。時は2日前の夜に遡る。
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「SPEC専用の高校かぁ...」
辰巳はある高校の書類に目を通していた。自分のSPECが気に食わず、ずっと隠していたが例の事件でSPECの事がバレてしまいSPEC専用高校に飛ばされることになった。
「はぁぁ、明日から登校かぁ」
大きくため息をついた。辰巳は学校説明の書類を取り出しうつ伏せになって確認した。その書類に辰巳は目を疑った。
「はぁ?なんだよこれ?まじかよ」
その書類にはたったの二行でこう書いてあった
SPEC専用学校東部SP高校説明書類
この学校はポイント制だ。
詳しい説明は明日。学校で。
「はぁ?書いてないんだったら見る意味ねぇーじゃん」
と言って辰巳はそのまま寝てしまった。
次の日、辰巳は予定より早く起きてしまったが初めの登校なので念の為早めに家を出ることにした。家を出てSP高校に向かう辰巳。SP高校に近ずかにつれSPの生徒と思われる制服の来た人が何人か歩いていた。
「こいつらもみんなSPEC持ってんのかな」
と思わず心の声が漏れてしまった。
「そうだよ。皆持ってるよSPEC。」
女の人の声が後ろからした。振り返ってみるとそこにはSPの制服をきた、ロングヘアでピンク色の髪の明るい雰囲気の女の子が立っていた。
「君、例の転校生?」
「そうだけど。例のって何でしってるの?」
「知ってて当然だよ。ナチュラル型の炎SPECの転校生なんて、校内中で大騒ぎだよ」
「ナチュラル型?なにそれ?」
「知らないの?ってあっそっか。SPECの種類はSPEC専用高校でしか説明されてなかったんだっけ?」
「種類?ごめん、ちょっと何言ってるか分からない」
「えっと。どこから説明すればいいんだろう..」
「まずSPECには基本は三種類に分かれているの。一つ目がボディSPEC。二つ目がフォームチェンジSPEC。そして三つ目があなたのSPECと同じ種類のナチュラルSPEC。」
「ボディ?ナチュラル?フォームチェンジ?何が何だか分からない」
「えっと詳しく説明するとまずはボディSPEC。これはボディ、つまり身体に部分的な変化や強化。更に何かを作り出したりするのがボディSPEC」
ナチュラルSPECはその人自身の身体がSPECそのもの。例えば貴方で言うと身体が炎よね?そんな感じ。ナチュラルSPECは基本的な攻撃は身体を貫通してダメージを軽減出来るけどナチュラルモードにする場合はかなり体力消耗が激しいわ。例えでいうと、持久走をずっと走ってる時ぐらいの体力消耗。しかもナチュラルモードでも攻撃を受け続けるとナチュラルモードが自動解除されちゃうのよ
んでフォームチェンジSPECは動物や生物に身体を変身されたり変化されたりする能力。
「SPECにも色んな種類があるんだぁ」
とSPECに関心をしている辰巳をよそに続けて話続ける女の子。
「この三つ目以外にもう一つSPECの種類があるの!」
「え?なに?」
「それは...SPの生徒や先生にもいるんだけど...」
と続きを言いかけた所で
キーンコーンカーンコーン
学校のベルがなった。
「あっ遅刻しちゃう。先いくね。また後で!」
と言って手を振りながら去っていってしまった。
「あっやべっ俺も急がないと遅刻すると。初日から遅刻とか非常識にも程があるからな」
と言って辰巳はSP高校まで走った。
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先生に連れられて2-1の教室に入る。教室に入ったら驚くべき光景が広がっていた。そこには自身のSPECをアピールするかのように見せびらかす生徒達がいた。辰巳が教室に入った途端クラス全員の視線を浴びた。担任の先生が一言
「今日からこのクラスで戦うことになる炎堂辰巳だ」
と紹介された。
(どこの高校も同じような転校生の挨拶。今日からこのクラスで戦うことになるかぁありがちな挨拶だなぁ............ん?待てよ、戦う?どういう事だ)
とこの学校のやばさに少し気づき始めた辰巳をよそに担任の先生が自己紹介した。
「俺は遊馬威武器だよろしく」
「あのっ...ちょっと...戦うって...」
と質問しようとした辰巳だがある声にかき消されてしまった。
「あっ貴方。朝の!!」
そう。その声の主は朝色々と説明してくれた。ピンク髪の女の子。
「このクラスになったんだ。よろしく。私は水原美鈴よろしく!」
「あぁ朝は色々ありがとう」
と一言お礼を言った。
「何だお前ら知り合いか。なら水原の隣の席の方がいいか。おい、冴島お前違う席いけ」
「はぁ?何で俺がこんな見ず知らずの転校生のために移動しなきゃならねぇーんだよ」
「いいから移動しろ。それとも武力行使の方がいいか?」
「チィっ分かったよ移動すりゃいいんだろ!移動すりゃ」
そう言いつつその青年は辰巳を睨み付けた。
そして辰巳の横を通る時思い切りぶつかってきた。明らかにわざとなのは誰が見てもわかった。
「ふんっ」
と辰巳を押しよけて違う空いてる席に座った。
「あぁごめんね。あの人は冴島雷見た通りの性格だから。悪い人じゃないんだけどねぇ」
マンガでありがちなセリフと共に倒れた辰巳に手を差し伸べた水原。
「いや、別に水原さんが謝る事じゃないよ。そもそも俺が水原さんの隣に行くこと自体が理不尽なんだしこんな理不尽な事怒って当然だよ」
(これ以上あの人を刺激しないようにしよう。)
そうして席につく二人。しかしやはりあの一言が辰巳は気になっていた。
「あのさぁ戦うってどういう事?」
と水原に尋ねる辰巳。
「これから説明されると思うけどこの学校はSPECを使って戦うの。勿論死なない程度にね。多分ポイントと丸いロボみたいな奴をもらうと思うんだけどそれが重要。」
「というと?」
「ポイントは春夏秋冬の四季で配られるんだけど100貰えるの。で1年で1000ポイント貯めないと進級出来ないの」
「貯めるってそこからどうやって?」
「それが戦いなのよ。SPECを使って戦うの。学校の中で教室以外だったら奇襲攻撃とかも仕掛けられるの。もしそれで勝ったら10ポイント。逆に奇襲されて勝ったら倍のポイントを貰える勿論ポイントは敗者から貰える。」
「そんな事が...」
「更に、もし下級生が上級生に勝ったら下克上ポイントでその場合も二倍になるの。それだけじゃなくて春夏秋冬に大会が行われて、春と秋は個人大会。夏と冬はクラス対抗で大会が行われる。」
「てか何でそんな事までしてポイント奪い合ってるの?」
「ポイントがないと卒業出来ないからよ」
「卒業がそんなに大事かな」
「ええ。大事ね。卒業しないと国に正式にSPECを認めてもえないから。もし卒業出来たらライセンスが貰えて正式にSPECが国に認められるの。そうしたら将来、人を殺める以外だったら自由にSPECの能力が使えるのよ。」
そんな事が行われてると知りこの学校の恐怖を知る辰巳。しかし、それと同時に国にSPECが認められるという凄さにも気づいた。そう、
国にSPECが認められることはSPEC持ちに取って夢なのだ。
「あっそう言えば丸いロボは何なの?全校生徒に付いてるみたいだけど」
「これは小型ロボカメラ。このカメラでモニター越しに生徒会が私たちの行動を監視してるの。校則違反とかを見つけるために」
「なるほど」
一通りの説明を聞いてこの学校の仕組みを理解した辰巳。皆自由を勝ち取るためにこの学校で戦っていることを。そして目の前にいる水原もライバルになると言うことも...。
「とりあえず俺の今のポイントは100ポイントか。あっそう言えばポイントが無くなったらどうなるの。」
「それは...」
と水原が言いかけた時それを遮るように低音を声が聞こえた。
「ゼロになったら退学だ」
声のする方を見ると先程の冴島が辰巳を睨みながら答えていた。
「何なら俺が今お前のことを呆気なく10回倒して退学にしたっていいんだぞ」
と脅しを掛けてきた。しかしその言葉はただの脅しとは少し違うような本気のトーンで今にもしでかしそうな雰囲気だった。辰巳は喧嘩はあまり強くないしSPECだって今まで隠してきたからろくに使いこなせない。しかし昔から喧嘩っ早い性格だった。だから冴島のこの挑発にも乗ってしまった。
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冴島が倒れている辰巳に向けて手を構えた。
その手から雷鳴が放たれる瞬間俺は終わりを悟った。
「死ねぇぇぇ!」
覚悟して目を瞑った瞬間
「冴島くんそこまでです」
と止めに入る声が聞こえた。
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