-再会ー
次の日、俺は普段と変わりなく学校に向かった。
教室に入ると、翔が教室の扉前で待ち構えていた。
「おい。恒平。昨日のLOIN」
「えっ?なんだっけ」
全く俺は覚えていない。
「お前、履歴見ていないのか?」
俺は、LOIN履歴をみる。
「まだ、うしろから、ひたひた何か来てるような気がする」
「家に着いたけど、何か視線を感じる」
「電話かかってきた。今、あなたの玄関の前にいるって」
「……まじか」
「怖かったんだからな。玄関先にいた人は、宗教団体の人で、俺がこの前道端で助けた人みたいで。勧誘されそうになった」
「それは、お気の毒に」
「お前のせいだ」
「けど、俺のおかげで危機が救えたんだ。感謝してほしいくらいだぞ」
「うるさい。お返しだ」
と、俺は翔から卍字固めを食らった。
「痛い。イタイ。ギブギブ」
俺は、翔の腕にタップをかける。
「わかればいい」
満足したのか、翔は俺の卍字固めを解く。
「千尋から聞いたぞ。お前補導されたんだって」
「あいつ、おしゃべりだな」
俺は、翔に悪態をつく。
「心配ってことだろ。本当にうらやましい限りだぜ」
「茶化すなよ」
翔と俺が戯れていると、
「キーンコーンカーンコーン」
チャイムが鳴り、授業が始まった。
1時間目、2時間目と授業が進んでいく。
俺の机は、教室の窓側一番後ろの席だ。
退屈な授業の時は、いつも外を眺めていた。
4時間目の終わりが近づくころ。
校庭では、女子と男子に分かれて体育の授業が行われていた。
俺は、男子のサッカーの試合を見ていた。
試合状況は、イーブン。いい勝負をしていた。
俺は、ふと学校内の商店街を見ていた。
犬を連れて歩く、おばあちゃん。仕事中のサラリーマンが歩いている。
その中にふと違和感を覚える。
そこに、日差しの暑い中、黒いローブに覆われた人が歩いていた。
ローブの男の近くを歩いている人は、気づいていないのか、または怪しくて避けているだけなのか、男を素通りしていた。
「あれって……」
「キーンコーンカーンコーン」
4時間目の終了の合図が、学校中に響き渡る。
俺は、授業が終わると同時に黒ローブを追いかけた。
学校内にある、商店街を見渡す。
「たしか、向かった先は……」
校舎裏の方向へ向かっていった。
俺は、黒ローブの向かった方向へ、体を走らせた。
商店街は南から北へ5キロほどある。
学校は、商店街の間ぐらい。
北に2.5キロ。走れば、追いつくかもしれない。
俺は、商店街の人をかき分けながら、黒ローブを追いかけた。
「いた」
黒ローブの男が、商店街の一本離れた裏路地に入っていった。
「よし」
俺は、男の入った、裏路地にはいる。
「おい」
俺は、裏路地に向かって叫んだ。
しかし、黒ローブの男は、姿を消していた。
「くそっ、」
俺は、周りを確認する。商店街の通りがおかしい。
通りへ戻ってみると、今まで賑わっていた商店街を見て、唖然とする。
人通りの多かった商店街の道には、人ひとりいなかった。
お店や露店も今まで営業していたままの状態だ。
頭の中が、追いつかない俺に、
「やっと、みつけた」
俺は、後ろからの声に、体を向ける。
そこには、先ほど見失った、黒ローブの男が立っていた。
「おい、オフィウ……」
「やっと……」
俺の言葉を遮って、
「やっと、会えた―――」
「へっ」
俺は、緊張の糸が切れる音がした。
「やー、よかった。かっこつけてその場を離れて、あげたものの説明し忘れたと思って戻ったらもう君いないし。居場所わからないから徘徊して、早一年たってしまったよ」
ははは、とオフィウクスは笑っている。
俺は、オフィウクスに近づく。正面に立つと、俺の右腕がオフィウクスの顔を思いっきり、
ぶん殴っていた。