表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Zodiac Sign - ゾディアックサイン-  作者: 真野亜駆
第一章 始まりのGemini
13/29

―決戦前―

俺は、馴染みの境内に向かっていた。

千尋に気づかれないように、始発の電車に乗って駅を降りる。

少しづつ、境内に近づいていく。

境内の鳥居が見えてきた。鳥居の奥に、一人の少女が見える。

夜の公園で出会った少女が、境内にいた。

「待ってたよ。おにいちゃん」

俺は、待ち構えていた宮本に対峙する。

「約束。守ってくれたんだね」

「あぁ」

俺は、周りを確認する。ここは、貝塚さんの神社だ。巻き込みたくなかった。

「心配しなくてもいいよ」

宮本が、気づいたように話しかけてくる。

「さっき、この街は、人ひとりいないようにしているから」

「人が……、いない」

「あれ―、お兄ちゃん知らないの。サインには、別次元に飛ぶことのできる力があるんだよ。直接、人のいるところで戦ったら目立っちゃうじゃない」

オフィウクスに会ったときを思い出す。あの時の空間は、俺のサインによって作り出したものだと今、理解した。

「それと、おにいちゃん。まだ、契約していないみたいだね。サインと」

「あぁ」

俺は、素直に答える。

「死ぬために来たの?」

「一つ、聞きたいことがあってな」

「何?」

俺は宮本に向かって問いかける。

「お前が、叶えたい願いって何だ」

「私の願い?」

「そう、叶えたいものがあって戦うんだろ。聞かせてくれよ」

宮本は、ニヤっと笑う。

「聞いてどうするの?まあ、いいか。冥土の土産に教えてあげる」

少し間を置いて説明する。

「お兄ちゃんは、Vanishing(バニシング) Twins(ツイン)って知ってる」

俺には聞き覚えのない言葉。宮本は続ける。

「直訳すると、消えた双子って意味なんだけどね。私は双子で生まれてくるはずだったの。けどね、成長途中で、双子の片方に吸収されてしまう現象が起こる場合があるの。それがVanishing Twins」

「じゃあ、お前の叶えたいことって……」

「そう。私は、双子として生まれてくる泪を望んでいる」

宮本は、少し声を荒げて続ける。

「私の中には、まだ泪がいる。小さい時、話していたのにその記憶も今はない。寂しい思いをさせてしまった泪に、そして泪の犠牲に生きている私が許せないの。だから戦う」

「そうか」

俺は、宮本に問いかける。

「それじゃ、私の事も話したし死んでくれる」

「いや、俺は死ねない」

俺は、宮本の言葉を断った。

「じゃあ、何でおにいちゃんは、私の叶えたいことなんて聞いたの」

「俺は……」

少し間をあけて、宮本に、

「俺は、お前の叶えたい事を犠牲にして、叶える覚悟があるかを確認したかったからだ」

「じゃあ、おにいちゃん、私と戦うんだね」

「あぁ」

俺は、サインに願いと代償をサインに祈る。

願いは、俺と千尋の両親をあの事故から救うこと。そして、代償は、俺自身の今までの記憶をすべて無くすこと。サインは光を発し、腕に星座のマークが入れ墨のように印字された。

宮本は、答える。

「じゃあ、殺しあおうか」

戦いの狼煙が今、上がった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ