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Zodiac Sign - ゾディアックサイン-  作者: 真野亜駆
第一章 始まりのGemini
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―束の間の休息―

「おーい。恒平、明日遊ばないか」

学校の授業が終わると、翔が俺に向かって話しかけてくる。

「あー、俺は……」

翔の誘いを、断ろうと思った。宮本と会う日は明後日だ。

俺は、いまだに「代償」を何にするかを悩んでいた。

すると、

「いいね。明日は私も部活休みだし、恒平」

話を聞きつけたのか、千尋も翔の誘いに乗ってきた。

翔も千尋も部活があるため、3人で遊ぶことも少なくなっていた。

明日は、翔も千尋も部活が休みらしい。

「恒平、この前部活で、お前の誘い断っちまったから、その埋め合わせ」

「折角だし、行こうよ。恒平」

俺は、少し考える。折角の誘いだ。

「わかった。行くよ」

1人でいても、何も変わらないと思い、俺は誘いに乗った。

「よし。決まり。さて、3人でどこに行こうかだが……」

「それなら、私が決めてもいい」

「えぇ……」

「えぇ……」

俺と翔は同時に言葉をこぼす。

「な、何よ」

千尋は、少し顔を膨らませる。

「だってなー」

翔が、言うのも無理はない。

前回、一緒に3人で遊んだ時の話だ。

デパートで買い物をしようと、俺たちは3人で行ったのだが、


「わー、この服可愛い」

ブティックショップ、3時間。

「ちょっと、見てみて。あの子犬かわいい」

ペットショップでの子犬と戯れ、2時間

「ねーねー。これおいしそう」

ウィンドウのサンプルを見るだけの飲食店回り、1時間。

俺たちの、千尋への待ち時間、プライスレス。


全く、買い物をせず、俺と翔は千尋に時間を使って終わってしまった。

「もー、あの事まだ根にもってるの」

「だってなぁー。さすがにもう懲り懲りだぞ」

翔の、意見に俺も首を下に振る。

「違うって。ここに行かない?」

千尋は、一枚のパソコンで印刷された紙を俺たちの前に出した。

その紙は、最近県外に出来たテーマパークの資料だった。

「へぇ、こんなテーマパークあったのか」

俺は、テーマパークの資料を手に取る。

どうも、海外や日本の人気のゲームやアニメ、映画のキャラクターが集まり一つの街として回れるテーマパークのようだ。

「さっき友達と話してたんだ。あと3人で行くと割引になるんだって」

「いいじゃん。俺は賛成」

「俺も、いいよ」

「じゃあ。決まり。集合場所は、駅で」

「了解」

俺たち2人は、千尋の意見に賛同した。


次の日の朝。

「遅っそーい」

千尋は、駅に到着した、俺と翔に開口一番、罵声を飛ばす。

「すまん。普通に寝坊した」

と俺。

「ごめん……。この前の、宗教団体の人を撒いてきた」

と翔。

「そうだね。じゃあ翔君は仕方ないね」

「えー俺はダメで、翔はいいのかよ」

「だって、翔君は不可抗力でしょ。恒平は怠慢」

「その前に、宗教団体の人についてはスルーなのね」

俺は、翔の顔を見る。少しやつれているように見えた。まだ宗教団体の人は諦めてないようだ。

「問答無用。テーマパークまでの片道の切符代、恒平持ちね」

「えぇ……」

俺は、片道の切符代3人分の料金を財布から取り、駅員から切符を受け取る。

切符を千尋と翔に渡した。

「ありがとう」

と千尋。

翔は、

「俺、もう宗教団体に入会しようかな……」

俺は、聞かなかった事にした。


駅を使って30分。そこからバスで15分。ようやく、テーマパークに到着した。

「着いたー」

俺たち3人は、テーマパークの入り口にいた。

「チケット買ってくるね」

千尋はチケット売り場に並びに行った。

「おい、恒平」

翔が、千尋が離れた後、俺に声をかける。

「なんだよ。翔。俺は宗教に興味ないぞ」

「ちがうよ。今日の事だけど」

「今日の事って、遊びに来たことか?」

「そう、これ千尋がお前のために企画したんだぞ」

「えぇ」

俺は、鳩が豆鉄砲を食らったように翔をみる。

「なんか、お前、考え事してるみたいだったから、気晴らしにってな」

「千尋……」

「お前も、千尋に心配かけんなよな。俺も相談に乗るし。親友だろ」

「翔……」

相談したい。けど、翔や千尋を巻き込みたくない。俺は葛藤していると、

翔は俺の意図を読み取ったのか、

「話せるようになったらでいいよ。おっ千尋帰ってきたぞ」

千尋が3枚のチケットを持って戻ってきた。

「買ってきたよ。どうしたの。何かあった?」

翔は、

「いいや。俺が宗教の話をしていたら、どうも興味があるみたいでな」

ニヤっと翔が笑う。

すると、千尋は、

「あぶないね。恒平。翔君には近づかないように2人で行こう」

千尋は翔を避けながら、俺の手をつないで、テーマパークの入り口に向かった。

「おい、冗談だって。置いていかないでくれ」

千尋と翔の笑顔につられて俺も笑っていた。


俺たち3人は、テーマパークを堪能していた。

「わぁー、リッフィーちゃんだ」

千尋は、子供向けの海外アニメのキャラクターに近づく。

「恒平。写真撮って」

「はいよ」

俺は、リッフィ―ちゃんとの2ショットを千尋の携帯カメラでおさめる。

「ありがとう恒平」

「おい、あっちにはシューティングのアトラクションがあるらしいぞ。恒平、千尋いこうぜ」

3人はシューティングのアトラクションに向かった。

「へー、結構リアルだな」

トロッコのような乗り物に乗り、俺たちは、シューティングゲームに参加する。

「結構、難しいな」

「そうだな」

俺と翔はなかなか的に当たらない。

「バン、バン」

千尋が、自分の方向にある的をすべて撃ち落としていた。

「すごいな。千尋」

俺と翔は感嘆の声を上げる。

「最近行ったゲームセンターにいた強面の人にシューティングゲームの画面眺めてたら、教えてくれたんだ」

「へぇ」

俺と翔の得点の合計と千尋のポイントが一緒でアトラクションを終えた。

その後は、レストランに入って、

「トロピカルサンデーおいしい」

と千尋。

「このマンガ肉もうまいぞ」

俺。

「いいや。この海賊飯もなかなか」

と翔。

俺たちは、お互いの料理に舌鼓をうった。

その後も、テーマパークを回った。テーマ―パークは広く、回るのに時間を費やした。

そして気づくと、ナイトパレードが始まる時間になっていた。

「翔君、恒平。こっち」

俺たちはナイトパレードを眺めるため、パレードの通路の最前列に向かう。

「あと5分だって」

「じゃあ、待つか」

俺たちは、ナイトパレードまでその場に座っていた。

「翔、千尋。今日はありがとう」

俺は、感謝の意を述べる。

「えっ」

千尋は驚いている。

「翔君。しゃべったの」

「あー……、ごめん」

「もう」

千尋は照れながら、

「元気出た。恒平」

「あぁ、すごく元気出た。しかも、すごく楽しんだ」

「よかった」

パレードの時間が近づいてくる。

「私たち、いつも一緒だから。また、来ようね」

「あぁ」

俺は、心から感謝をする。

「おいおい、2人の世界にはいるなよ」

翔が、間に割り込んでくる。

「そんなんじゃないよ」

「翔、お前後で……」

ぶん殴ると話そうとした時、

「只今より、パレードを開始します」

テーマパーク中に響き渡る。

テーマパークのキャラクター達が列をなして電飾豊かな乗り物に乗り、テーマパーク中を回り始める。

「きれいだね」

と、千尋。

「あぁ」

と、俺と翔。

最後に花火が上がり、テーマパークは閉園を迎えた。


俺たちは、朝、集まった駅に到着した。

「危なかったね。最終ぎりぎりだった」

千尋は安堵の声を上げる。

「あぁ。まさか翔が、はぐれるとは思わなかったからな」

「お前だろ。恒平」

と、醜い争いをした。

「じゃあ。明後日。学校でね」

「おう。恒平、ちゃんと千尋送っていけよ」

「分かってるよ。その前にお前後ろ気をつけろよ」

「まだ言うか」

と翔は悪態をつきながらその場で別れ、俺と千尋は一緒に家路についた。

「じゃあ。明後日学校で」

千尋は、家の前で別れを告げる。

俺は、戸惑いを隠すように、

「おう。また学校で」

と言葉を返し、千尋の家を後にした。


千尋と別れた後、俺は明日の宮本との対峙について考えていた。そして、代償の事も。

今日、3人で1日一緒に居て、無くしたくないものがあった。

「俺は、絶対に勝ち残ってやる」

俺は、「代償」を決めた


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