プロローグ 社内ニート、終わりの始まり
社内ニートというものをご存じだろうか。
会社にいながら仕事を割り振ってもらえず、ほとんど働いていない者の事。
まさしく今の俺の事である。
今日も朝から出勤してきて、上司に仕事がないかと聞いたが「今は何もないよ。」との事である。
これが今に限らないから困っているのだ。仮にあったとしても雑用か1時間程度で終わる仕事である。
だから今は仕方なく、パソコンでメールチェックとネットサーフィンをして、暇つぶしをしている。
もうこんな生活をかれこれ入社から3年ほど繰り返している。入社当時は仕事できるアピールをしていたが、いつの日か仕事ができない奴にみられたのだろうか、それとも空気みたいな存在として扱われてしまったからなのだろうか、いつの間にか立派な社内ニートになっていた。
でも、ここ最近は二つ変わったことがある。それは俺が社内のムードメイカーになった事と特技が出来た事である。
「皆さんおはようございまーす、お疲れですか?これから朝のコーヒーをお淹れしますね!」
「おう、頼むよ!気が利くね!」
隣の席の上司だ。仕方ない、淹れてやろう。
ジュワワワーッ
よしっ、コーヒー完成!
「コーヒーできました!ここに置いて置きますね!」
「ありがとよ!君の淹れるコーヒーはうまいね!」
そう、俺が3年間の間に身に着けた特技、それはコーヒーで上司を落ち着かせる事。最近ではコーヒーの淹れ方が上手くなってきたらしい。これをする事で、俺は後ろめたさを感じる事なく仕事をさぼる事ができるのだ。
「ありがとうございます。ところで自分の仕事はいただけますでしょうか?」
「いやっ、だから君の仕事はねえよ。大人しく待っとけ。」
好感触だと思ったが、甘かった。どうやら仕事とコーヒーは違うみたいである。
さて、デスクに戻って仕事するふりでもするか。
PCを立ち上げ、メールソフトを起動した。
迷惑メールBOXをみるとごっそり溜まっていた。ラッキー!暇を潰せるぜ。
せっかくだから一件ずつ確認していこう。
ふむふむ、今日も出会い系のスパムばかりだな。
ん、これはネトゲのスパムか。どれどれみてみるか。
あ、これは俺が数年前まではまっていたMMORPG「マスターオブジョブ」の広告だ。
懐かしいな。まだ運営してたんだな。
また復帰してみたいけど、時間がないからな。
いや、時間はいくらでもあるが今は勤務中だ。流石に皆が仕事をしている時にネトゲなんてできない。
しかし、皆は仕事に集中していて、俺の行動にいちいち気など止めていない。やるならいまだ!
昔から俺は変なところで勇気を出すのだ。やると決めた時には既にゲームを起動していた。
ピコーンッ!
あれっ、おかしいな。このパソコンに既にインストールされていたのか、すんなりゲームが始まったぞ。
早速、ログインしてみた。
お!「ハルミチ」さんがログインしてるぞ。
こいつは古くからこのゲームでお世話になっているネット友達だ。
まだやってたんだな。感動だぜ。耳打ちしてあげよう。
「お久しぶりです。スタ坊です。覚えてますか。」
「え!久しぶりじゃん。やっと戻ってきたのかい!」
おお、反応が早い。
「あまりにも暇で、ちょっと覗く程度だけどね!」
「そうなんだ。でも今昼間だよね。もしかしておまえさんもニートになったのかい?」
「いや、まさか。あまりおおっぴらには言えないんだけど、いわゆる社内ニートって奴で職場からやってるんだよ。」
「ってやっぱりニートやんけ!てかそれあかんくね?」
「あかんくない!!」
あっ、しまった。声に出てしまった。
トントン
肩を叩かれた。
「何があかんくないんだね?」
やばい、終わった。社長にばれた!
恐る恐る振り返ってみる。
!?
社長じゃない!?
「私は仕事の神、セミ丸である。」
気づくと周りは宇宙空間だった。なるほど確かにこいつは神っぽいぞ。
「お前は仕事というものを舐めている。」
「今の環境に満足しているようでは、一生成長する事はできないぞ。」
「今からお前に新しい世界と職業を与えてやる。ここで修行するんだぞ。」
「え!?は!?何を言ってるかわからんすよ。蝉のおっさん!」
「つべこべ言うな。おらっ!」
なんだかわからない神が目の前から遠ざかり、目の前が真っ暗になる。
目が覚めた。
目が覚めると一面は野原で、全長3mほどの巨大な狼6匹が俺を囲んで睨んでいる。
なんなんだ。この状況は!?
読んでいただきありがとうございます。
文章とか下手ですが、ストレス解消目的で投稿していこうと思います。
よろしくお願いします。