BaD enD~siDe:サク~
遅くなって、大変申し訳ない……。前回は、サクとハルのお母さんとの回でしたね。サクが、ハルの過去を知りましたね。これからサクは、どう動くのでしょう……。それは、読んでいく中で明らかになりますから、楽しみにしててくださいね★w今回は、前回もお話ししたように、サク視点でのお話です!ミウちゃんとの回になります。いつも読んでくださる方々、ありがとうございます。これらも温かく見守ってやってください。コメント・感想も待ってます。それでは、最後までお楽しみください。
それからしばらく、俺とハルが勉強以外で話をすることはなかった。レンはもちろん何も知らないから、すごい俺たちのことを気にしてたけど、俺自信のことじゃないから、軽々しく口にはできない。
どうすれば、ハルを楽にしてあげられるんだろう。1回でいいから、昔みたいに笑って欲しい。ってか、俺に何ができんだろうな……。ただただ、自分の無力さを実感するだけだった。部活が終わりミウを待つ。
「サクー。」え
遠くの方からミウの声がする。俺はそれに反応して、ミウに手を振る。ミウは友達と別れ、俺の方に走ってくる。
「ごめんね。待たせちゃって。」
「ううん。大丈夫。そんなに待ってないし。お疲れ様。」
俺は、笑顔で答える。ミウも笑顔を向けてくれる。でも、嬉しいとは思えず、ただ罪悪感しかなかった。
『早く言わなきゃ。』
その言葉が頭の中をよぎった。2人でいつもの道を並んで歩く。中学から変わらず、俺が道路側で、ミウが歩道側。いつもの道、いつものミウの声、笑顔。俺は全然笑えなかった。
「……ごめん。」
俺は足を止めた。
「なんで謝るの?」
少し前を行ったミウが笑顔で、俺のところに来る。
「俺、もうミウの彼氏でいられない。」
ミウの笑顔が消えるのが、見なくてもすぐにわかった。
こんな顔もするのだと、少しほっとした自分がいた。ミウは、いつも俺には笑顔を向けて、明るい声で話しかけてくれていたから。その反面、泣きもしないし、怒りもしないミウに少し不安を抱いていた面もあった。自分は頼りにされていないんじゃないかって。
そんなことを思いながら、話を続けた。
「好きな人がいるんだ。」
俺は、包み隠さず正直に言った。嘘をついたら、もっと悲しむと思ったから。
「……いつから?」
震えた声。ミウの目には、今にも溢れそうなほどの涙。
あぁ、やってしまった。わかってたのに。言ったらこうなると、わかってたのに……いざとなると、やっぱり動揺する。
「いつからその人のこと、好きだったの?」
答えない俺に、ミウはもう一度聞いてくる。
「あ……えっと、話すと長いんだけど……簡単に言うと、小学校の時に好きで、諦めて、また高校で会って、やっぱり好きだって思って……」
「それって、ハル先輩のこと?」
ミウが、真っ直ぐ俺の方を向いて聞いてくる。口を開くのと同時に、雫が頬を伝う。俺は、何も言わずゆっくり縦に振る。
「そっか……」
ミウが少し笑顔で言う。
なんで笑顔なんだ……。俺、またミウに無理させてる。いつだってそうだった。ミウは絶対、大声を上げて泣くこともなかった。ずっと我慢させてる。
「……堪えなくていいよ。」
「え……?」
「もう、無理に笑わなくていいから。怒りたいときは怒っていいし、泣きたいときは大声で泣いていいから。もう、無理しないで欲しい。」
「……。」
ミウが下を向いて黙る。
「ごめん。俺がこんなこと言える立場じゃないんだけど……」
少しの間、沈黙が続く。
「……サク。」
ミウが、俺の名前を呼ぶ。俺は、ん?と言ってミウを見る。
「私のこと、好きだった?」
「……わかんない。」
一番聞かれたくなかった質問。一番、ミウを傷つける質問。一番、答えたくなかった質問。一番、伝えたくなかった思い。
「そっか。」
ミウが、吹っ切れたように笑った。その笑顔は、どういう意味だろう。俺は結局、ミウのことを何も知らないし、知ろうとも思わなかったんだと確信する。だって、今ミウがどんな気持ちか、全くわからない。最低だな、俺。2年も何やってたんだよ。
「仕方ないね。サクにはもう、好きな人がいる。諦める以外、ないもんね。」
どんどんミウの声が小さくなっていく。俺はもう、何も言えない。何も言う資格なんてない。俺はずっと黙っていた。
「ありがとう。こんな私と一緒にいてくれて。」
「え……。」
「楽しかった。好きな人と一緒にいるって、こんな感じなんだなぁって思って、すごく幸せだった。」
ミウの言葉を聞いて、涙が出た。最後の最後まで、この子は強かった。
「ほんと、ごめん。」
俺は、深く頭を下げた。ミウが首を横に振る。
「謝らないでください。サク先輩は、何も悪くないです。」
サク“先輩”。その呼ばれ方に懐かしさと、距離を感じる。
「じゃぁ、ここで。送ってくれて、ありがとうございました。」
ミウはそう言って、俺に背を向けて去って行った。
別れちゃいましたね……(T^T)これから先、サクとミウはどうしていくのでしょうか!そこら辺も気にしながら、これからも読んで頂けると嬉しく思います。次回は、今回のミウちゃん視点のお話をお送りします!この時、ミウちゃんは一体どう思っていたのでしょうか……。不定期投稿で、申し訳ありません。これからも温かく見守って頂けると嬉しいです。それでは、次回もお楽しみに!