When i Knew the tRuth~siDe:サク~
さて、続けて投稿します。前回は、ハルが実母と再会する回でしたね。ハルがお母さんを拒んでいる様子が伝わったと思います。今回は、サク視点から物語をお送りします。いつも読んでくださる方々、ありがとうございます。これらも温かく見守ってやってください。コメント・感想も待ってます。それでは、最後までお楽しみください。
「叔母さん。どういうことですか?」
俺は状況を理解できないでいた。
「中で話すわね。」
叔母さんは、そう言って家の奥に入っていった。俺も後に続いて、リビングに戻った。叔母さんは、ハルと同じように、黙って台所に行ってお茶を用意してくれた。
「サク君、ハルと同じ高校なのね。びっくりしたわ。」
叔母さんが落ち着いた声で笑顔を向けてくる。俺はうなずいた。叔母さんは、俺の向かいに座った。
「……ハルの言葉。」
叔母さんは、え?と聞き返すような返事をする。
「さっきのハルの言葉。あれ、本当なんですか?」
俺は、真っ直ぐ叔母さんの顔を見る。叔母さんは何も言わない。
「答えてよ、叔母さん。」
「……捨てたのよ。」
叔母さんが小さい声で答える。
「なんで……」
俺は思わず、泣きそうになった。なんで俺が泣きそうになってんだよ。ぐっとこらえる。
「夫が浮気したの。」
「え……」
声が漏れた。
「浮気に気づいて、私は夫に話したの。」
叔母さんの話がどんどん進む。
「そしたら、夫は自分の名前が入った離婚届を出してきた。まるで前々から準備していたかのように。」
叔母さんの涙が頬を伝う。俺は、机の上にあるティッシュを差し出した。叔母さんは、ありがとうと言って受け取り、涙を拭いて深呼吸した。
「私は、それに名前を書いて印鑑を押した。夫は、黙ってそれを持って出て行った。私はただ泣くことしかできなかった。」
俺は何も言わず黙っていた。いや、何も言えなかったんだ。
「それから私は、1人で考えたの。この先、どうやって生きていくか。ハルの将来のこと。自分の将来のこと。専業主婦だった私にとって、仕事に復帰するのはとても厳しかった。そして何より、ハルの将来を見守ってやれる、支えてやれる自信がなかったの。」
それ……ただ、逃げただけじゃん。何だよ……。俺は、手に力が入る。
「だから、私はハルを置いて出た行ったの。ハルを守るために。」
「……叔母さん、それおかしいよ。」
「え……?」
俺の言葉に叔母さんは驚いた顔を見せた。
「ハルはきっと、何もなくても叔母さんにだけは傍にいて欲しかったんだよ。お金とか、母親の職のこととかどうでも良くて、ただ傍で笑ってくれたり、一緒に飯食ったりしたかったんじゃないかな。」
俺は、溢れそうな涙をこらえて言う。叔母さんの目に涙が浮かぶ。
やっとわかった。ハルの雰囲気や態度が、昔と違うこと。1人でずっと耐えていたこと。ハルへの心配と申し訳なさを覚える。
「……あ、もう2時間くらい経つかしら。」
叔母さんにそう言われて、時計を見る。
「あ、本当だ。」
「もう、帰ろうかしら。」
叔母さんが席を立つ。
「送ってくよ。家まではさすがに無理だけど……」
俺も合わせて席を立ちながら言う。
「大丈夫よ。ありがとう。相変わらず優しいのね。小さい頃から変わってないわ。良かった。」
叔母さんはそう言って優しい笑顔を向けた。なんだか少し恥ずかしかった。
「じゃあね、サク君。ハルのことよろしくね。」
「あ……うん。叔母さんも風邪引かないように。気をつけて帰ってね。」
「ありがとう。」
そう言って、叔母さんと俺はハルの家を出た。
いかがだったでしょうか?サクはこの話を聞いて、この後どうするんでしょうね……楽しみです。次回も、サク視点からの回をお送りします。レンとミウちゃんとの関係も徐々に変わっていきます。そこも含めて読んでみてください。それでは、次回もお楽しみに。