脱出
(クッ!)
ポツンと水滴が垂れる。
(……ここは?)
カズマは、気を取り戻した。
(天井から吊られてるのか)
辺りを見渡す。
(この縄を切らないとな)
カズマが身体を揺らして、ギリギリ足が届いた木箱に乗って、縄を柱に擦り付ける。
(柱が錆で傷ついてるのが幸運か。縄も使い古しのだからボロボロだし)
二十分程で縄が切れた。
(あとは手首の縄を……)
ガタンッ! っと物音がする。
(来やがったか!)
足音が近づいてくる。
「あのガキ! 逃げやがったな!」
(バレた!)
「隠れてないで出てこい! 言うことを聞いたら、命だけは助けてやる!」
男の声が倉庫に響き渡る。
(出入口は一つしかない。どうする!?)
「こっちだ」
「誰!」
カズマが、声のする方向に歩く。
「こっちじゃ」
「!?」
カズマは驚いた。
「ジンさん、ですよね?」
「いかにもワシがジンじゃが」
「俺、カズマっていいます。ムロ君とは友達です」
「ムロの友達とな? 何故こんな所に」
「あなたを助けに来ました」
「なんと無茶を」
「一応、捜査協力ですけど」
銃声が鳴り響く。
「今のは威嚇だ! 出てこなければ撃つ!」
「早くここから出ないと!」
「じゃが相手は拳銃を持っておる」
「……俺が囮になります……相手の弾を切らせれば」
カズマが走り出す。
「ガキ!」
「命だけは助けてくれるんじゃなかったの?」
「気が変わった」
容赦なく銃弾に狙われるカズマだが、なんとか銃弾を避けていく。
「逃げるな!」
「大人しくするわけないだろ!」
カズマは、ジンに合図を送る。
「逃がすか!」
「今だ!」
カズマが男に向かって走り、持っていた拳銃を奪った。
「ジンさん!」
カズマの合図で体勢を整えていたジンは、カズマの声で出口へ走り出した。
※ ※ ※
「すまんの、カズマ君」
「礼は俺ではなく……ムロに!」
カズマとジンはホテルに向かった。
※ ※ ※
「ご無事で良かったです」
「カズマもムロのこと言えないじゃない!」
「でも、二人とも無事で良かったよ」
「心配かけて悪かったな」
「それにしても子供だけでのう」
「刑事さんに協力してもらってたから大丈夫だったわよ」
「ムロには報告するのかい?」
「もう寝てる時間だろうから明日で良いさ。それよりも刑事さんに連絡をしたほうが良いんじゃないか?」
「そうね」
ミカノが警察に連絡を入れた。
「明日の朝に、この街の警察の人がくるから待っててほしいって言ってたわよ」
「犯人は捕まったよな?」
「カズマ君がここに来るまでに通報したんじゃ、きっと大丈夫じゃよ!」
「はい」
四人は、暫く雑談して眠りについた。




