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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
祖父救出編
5/40

2つの可能性

「おはようムロ……あれ?」


 ミカノは、ムロが部屋に居ないことに気づく。


「トイレかな?」


 周りを見渡し、ムロの荷物が無いことに気づいた。


「ムロ!?」


 ミカノがカズマとセリオが泊まる部屋を訪ねる。


「セリオ! カズマ! 起きて!」


「なんだい? ミカノ」


「ムロが居ないの!」


「トイレじゃないの?」


「荷物も無いの!」


「……!?」


「どうした?」


 ホテルの通路からカズマがやって来る。


「なんでソッチから!?」


「トイレだ」


「カズマ、ムロが居なくなったの!」


「荷物は?」


「無いわ」


「……心当たりがある」


 そう言うと、カズマは荷物を纏め始めた。


「二人も荷物をまとめるんだ」


「何処に行くんだい?」


「警察署だ」


※ ※ ※


「ポリスさ~ん」


「おれだって暇じゃないんだぜ?」


「二日連続でオレたちを聴取してたクセに」


「それが、おれの仕事だ!」


「捜査も警察官ポリスマンの仕事でしょ!」


 警察署内の一角で、ムロと刑事が話していた。


「とにかくっ! 小さな情報でもいいから、オレは手掛かりが欲しいんだ!」


「話してキミはどうするんだ!?」


「爺ちゃんを助けるに決まってんだろ!」


「なら、教える訳にはいかない」


「ケチ……」


「捜査情報を安易に教える訳にはいかないんだ」


「捜査協力するからよ」


「すぐ子供は大人の真似事をしたがる」


「真似じゃねえ……オレの意思だ!」


 ムロが荷物を見せる。


「お前さん、その荷物は?」


「オレの覚悟だ!」


 ムロは、床で胡座をかいた。


「情報くれるまで、オレは動かねえ!」


「はぁ……ったく」


 刑事は机に地図を拡げると何かを書き出す。


「約束しろ」


「何を?」


「〝捜査協力〟するんだろ?」


 ムロが椅子に座った。


「当たり前だ」


※ ※ ※


「大当たりだな」


「すごいや!」


 カズマが指差す先にムロがいた。


「ムロ!」


 ミカノが走りだし、ムロに飛び蹴りをした。


「痛てー!」


「なによ! ハトが豆鉄砲食らったような顔して!」


「蹴るこたねえだろ!?」


「人がどれだけ心配したか分かってんの!」


「一人で行くなんて水臭いよ!」


「情報は得られたか?」


「なんで判るんだ!?」


「二日連続で同じ刑事から事情聴取されたんだ。刑事の方だって嫌でも覚えてるだろう」


「流石はカズマだぜ。全部お見通しかよ」


「どうなんだ?」


「なんとか得れた……けど……」


「どうしたの?」


「爺ちゃんの目撃情報が二つ有るんだ」


「だから何よ」


「目撃された時期が二つとも重なってて、しかも場所がクラッティスとリリルムでよ」


「東と西で真反対じゃないかい!?」


「東のクラッティスに、オレ行くよ。皆はリリルムに行って、そのまま家に帰ってくれ」


「なに勝手なこと言ってんの!?」


「ムロ。もしかして最初から黙って行くつもりだったのかい?」


「もう巻き込めない」


「僕らの意思で一緒に着いてきたんだよ? ムロが気にやむ必要ないよ!」


「ごめん、もう決めたから!」


 ムロは荷物を持つと、駅に歩き出す。


「ムロ!」


「ミカノ……察してやるんだ」


「カズマ!」


「この街に来るまでに二回も危険な目に遭ってる」


「けど!」


「アイツは君のために決意したんだ!」


「え?」


「昨日の事件の事が頭から離れなかったんだろ……君がムロと同じ部屋に居たときに決めたんだろう」


「どういうこと!?」


「ムロはミカノ、君が好きなんじゃないか?」


「ちょっと待って!? アタシとムロは、ただの幼なじみで……」


「俺が言うのは変かもしれんが、ムロは凄い奴だ……真っ直ぐ歩いて行けてるからな」


「カズマ、もしかして!?」


「昨日、話を聞いてたんだ」


「なんで話してくれなかったの!」


「ムロが場所が何処であれ、一人で捜しに行くのをミカノは許したか?」


「許すわけないじゃない!」


「だからだ。だから俺には警察に行くことを話して、セリオとミカノには言わなかったのさ」


「ミカノを巻き込みたくなかったってこと?」


「おそらくな。けど祖父も見つけたい……だから俺たちに家から近いリリルムに行かせようと思ったんだろう」


「あのバカ!」


 ミカノが泣いた。


「どうする。真っ直ぐ帰るか? リリルムに行ってから帰るのか?」


「行くわよ、リリルムに! そんで意地でもムロと合流するの!」


 ミカノが涙を拭った。


「僕もだよ! ムロだけに辛い思いはさせたくないから」


(まったく……すまないな、ムロ。リリルムから家には帰らないことになった)


「行くか、リリルムに」


「うん!」


「当然よ!」

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