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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
祖父救出編
4/40

ミカノの1日

「ねむい」


 朝の六時。ホテルのチェックアウトまで六時間あった。


「散歩ついでに情報収集でもしようかな」


 ミカノはムロ、カズマ、セリオとは別の部屋を取っていた為、誰にも気づかれずに部屋を出ていた。


「すみません、今日の新聞を欲しいのですが」


 ミカノがフロントに訊ねる。


「三紙有るけど、どれにする?」


 フロント係りの女性が新聞を提示した。


「お姉さんのオススメをください」


 ミカノは新聞代百五十ロロを支払うと、ホテルを出て街の有名なハンバーガーショップに向かった」


「例の事件は……」


「犯人は警官なのか?」


「警察を語ったテロかもな」


「最近は物騒だ」


 ハンバーガーショップでは、大人たちが誘拐事件の事で様々な臆測を言っていた。


(思った通り、話題にしやすいから、皆して誘拐事件の事ばかり)


「ハンバーガーとオレンジジュースを一つずつ」


 ミカノは、頼んだ物を持ちながら席が空いているにも関わらず店内をうろついた。


(特に聞こえないか)


 ミカノが席に座ると、前から男性が来た。


「夏休みかい?」


 男性は他にも席が空いているにも関わらず、ミカノの向かいに座った。


「アタシに何か?」


「いやね。朝早くからハンバーガーを食べてる女の子が珍しくて」


「そうですか?」


(なんか怖いな)


「もし良かったらオジサンと遊びに行かないか?」


「アタシ、知らない人にはついていかないようにって、お父さんとお母さんに言われてるから」


「……これ」


 男性は名刺を差し出した。


「これで〝知らない人〟じゃないよね?」


「え!?」


「さあ、行こうか」


 男性の手にはナイフが握られていた。


※ ※ ※


「ミカノー、起きてるか?」


 朝の十時。ムロたちはミカノの部屋のドアをノックしていた。


「おかしいなぁ? いつも寝起きは良いはずなのに」


 ムロがドアノブを触る。


「おい!? 勝手に開けるやつがあるか!」


「……居ない……ミカノが居ない!」


「一人で何処に行ったんだろう?」


 ムロ達はフロントに行った。


「あの娘なら……」


 フロントのお姉さんから話を訊いたムロ達は、ロビーで考えていた。


「ミカノは時々、大胆な行動をとるから」


「当てはないのか」


「ケータイは!?」


 ムロがケータイを掛けるが応答はない。


「しっかり者のミカノが何も伝えない訳がないんだけどな」


「朝食ついでに情報を得ようと考えてたら」


「ミカノの好物はハンバーガーだ。この近くにハンバーガーショップは無いか?」


 ムロはフロントのお姉さんから近くのハンバーガーショップを聞くと走り出した。


※ ※ ※


「アタシをどうする気!」


「自分が女に生まれたことを恨むんだな」


「どういうこと!?」


 男はミカノの腕を掴んで離さない。


(まさか……人身売買!?)


 ミカノの脳裏には昨日の出来事が浮かんだ。


「連れてきたぜ!」


 男が誰かと話している。


「分かった」


 男は話終えると、車にミカノを押し込んで自分も乗り込んだ。


「何処に連れてく気よ!」


「……嬢ちゃん、歳は?」


「……十一だけど」


「そうかい」


 男は車を走らせた。


※ ※ ※


「男と、だと?」


 ムロたちは、ハンバーガーショップで店員からミカノと似た特徴の女の子が男と出たと聞いた。


「ムロ、女の子はミカノだ」


 カズマが断言した。


「ムロ、店員さんがこれを渡してきたよ?」


 セリオが新聞を差し出した。


「ミカノがホテルで買った新聞だ。……ん?」


「どうしたの?」


「名刺が挟んである!」


 ムロは、名刺が新聞に挟んであるのに気づいた。


「う~ん……ゴッツィッズ・コーポレーション?」


「なんだと!?」


「どうしたんだい?カズマ」


「裏社会では有名な……買春場だ」


※ ※ ※


「着いたぜ」


 男がミカノを連れて建物へ入った。


(なんなの? ここ……薄暗いうえに人が居ない)


「降りるぞ」


 男とミカノは建物の地下へ降りた。


「さあ、こっちだよ」


「少し背が伸びたか」


「やはり若いのは良い」


 地下に複数の男の声が響く。


「上は着けたまま?」


「準備はやいよ!」


「待ってよ」


 女の子の声も響く。


「おーい! 新しいのを連れて来たぞ!」


 複数の男が、一斉にミカノに近づいた。


「好みじゃないな」


「可愛いけど、現状に満足だからな」


(なんで……裸で!?)


 ミカノは目を覆いたかったが、男に腕を握られたままで動けなかった。


「家族以外の男の裸を見るのは初めてか?」


「ふざけないで!」


 ミカノは男から離れようとするが、男は離さない。


「諦めな。嬢ちゃんは、これから色んな男の……たまに女の相手をするんだよ」


「人身売買!」


「まあ、正解とするか」


 男はミカノを壁際に置いてあるベッドに連れていく。


「離して!」


「嫌がるなよ、すぐに慣れるさ」


 男は誰かに手招きした。


「呼びましたか?」


 ミカノと同じ位の歳の女子が来た。


「この嬢ちゃんに色々教えてやってくれ」


「ハイ」


 男は、ようやくミカノの腕を離して場所を移っていった。


「今のうちよ! ここから出よう!」


「ここは良い所なの。気持ちよくなれる場所」


「なに言ってるの!? ここは危険な所よ!!」


「あなたは、まだ知らない」


(完全に支配されてる!)


※ ※ ※


「ここか?」


「そうだ」


「ホントに此処で人身売買が!?」


「立派なのは建物だけだ。やっていることは胸糞わるい事だ!」


 カズマが感情を露にした。


「午後二時……まだミカノの顔を見ていない」


「ムロ……」


 セリオがムロを気にする。


「警察には通報したんだ」


「信用してないんじゃないのか?」


「時と場合だ」


「そうだな。今は手段を選んでなんかいられない!」


「行くぞ」


 カズマの合図で建物に入っていった。


「何階だい?」


「相場は地下だ」


「地下なんて何処にも表示ないぞ?」


「見つけたよ!」


「でかしたセリオ! 行くぞムロ!」


「……おう」


 ムロとカズマは、地下へと通じる隠し階段を降りていった。


「僕は警察の人が来たら案内しなきゃ」


※ ※ ※


「やめて!」


「どうして抵抗するの? 気持ちよくなれるのに」


 ミカノが必死に抗う。


「知らない人に裸を見られたり、見せられたり、挙げ句に身体を触られたり! そんなのイヤに決まってるでしょ!?」


「さっきの男の人も言っていたでしょ? ……すぐに慣れるって。ワタシもね、すぐ慣れたよ?」


「そんなこと言わないで!!」


 ミカノが悔し涙を流す。


(みんな……やめて!!)


 地下に女子の声が響く密室の空間が、ミカノを狂わせていく。


「暗闇で周りが見えない……それが怖い! あなたの姿も暗闇でよく見えない。だけど助けたい!」


 ミカノが女子の手を握る。


(ムロ助けて! アタシを……女子みんなを!!)


 地下の扉が開いた。


「暗くてよく見えないな」


「おい! 誰か居ないかーーー!!」


 カズマの声が地下に響く。


(この声は!?)


「カズマーーー!!」


 ミカノが大声を出して応える。


「ミカノ!?」


 ムロが中に入ろうとするが、カズマが止める。


「ここに来るまえに言ったはずだ。金銭や物々で買って己の欲求を充たすのが買春だって」


「だから何だよ!」


「……女子の、その……は、だかを……」


「ミカノの裸なんか見飽きたよ」


「なんだと!?」


「ムローーー!!」


 ミカノが出てきて、ムロに抱きついた。


「恐かった……恐かった!!」


 ミカノは震えている。


「なんだ? ボウズたちも遊びたいのか?」


「ふざけんな! 人を買うなんて間違ってる!」


「利用価値をくれてやったんだ。むしろ感謝してほしいな」


 男がミカノを引っ張る。


「てめえ!!」


 ムロが男を殴った。


「ほかの奴等も早く逃げろーーー!!」


「無駄だ。とっくに餌付け済みだ」


「うるせえ!!」


「……てめえは人を好きになったことはあるか?」


「身体はな?」


「てめえ!!」


 ムロが拳を挙げる。


「もういい!! あとは任せるんだ」


 カズマがムロを抑えた。


※ ※ ※


「夜か」


 夜六時。

 事情聴取を終えてムロたちは、今朝チェックアウトしたホテルに居た。


「お姉さんが僕らのことを警察から聞いて特別に用意してくれたから助かったね」


「まあな」


「ムロ。裸を見慣れてるとは、一体どういうことだ!?」


「俺たちが五歳位の話だぞ?」


「五歳!?」


「それにしても、よく名刺の社名を聞いただけで色々分かったね」


「昨日の列車事件のとき、犯人が目的を話したときに言ってたんだ……それを覚えていただけだ」


 カズマは話終えると、ホテルにあるレストランに向かおうとしていた。


「昼を食べ損ねたから腹ペコだ」


「一緒に行くよ」


「後で行く」


 ムロの返事を聞いて、カズマとセリオはレストランへ向かった。


「さてと」


 ムロは部屋を出ると、隣のミカノの部屋を訪ねた。


「誰?」


「オレだよ」


 ミカノは部屋のロックを外した。


「何?」


「飯、行かないか?」


「ごめん……食欲ない」


「そっか」


 ムロがドアから離れようとする。


「待って!」


「ん?」


「セリオにもカズマにも頼み辛くて……」


「どうした?」


「今日、一緒に寝てくれない?」


「ばっ、馬鹿か!? いくら気心知れてるからって、それはマズイだろ!」


「一緒に睡眠をとるだけ。駄目?」


 ムロは、ミカノが自分を頼るときは相当弱っている時だと分かっていた。


「仕方ないな」


「ありがとう、ムロ」


 その後、ムロとミカノもレストランで食事をした。


「でも良かった。地下の娘たちが無事に家に帰れるメドがたって」


「そうだな」


 ミカノの安堵の表情を見てムロは安心した。


「爺ちゃん……必ず助けるから」


「ムロ、そっちに移っていい?」


 ミカノがムロのベッドを見て言った。


「え!?」


「暖かいな……ムロの背中」


 必然的にミカノの身体がムロに当たる。


「お、おい!? ……あんまり引っ付くなよ」


「堅いこと言わないの!」


 夜の十時。疲れていたのか、そのまま二人は眠りについた。

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