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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
イグラズの命運編
38/40

平和な未来に向かって

「……」


 そこには信じられない光景が拡がっていた。


「綺麗な花に……立派な風車」


 子供のはしゃぐ声が聞こえる。


「生きてるー!」


「わーい!」


「生き返ったんだ!」


「……奇跡だな……武装石の」


「あれぇ? 兄ちゃんどっかで会った?」


「気のせいだろ」


「あのー、私たちはここで何を?」


「さあな。オレは君たちを迎えに行くように言われただけだからな」


「何で僕ら裸なの?」


「……遊んでたんじゃないのか? ほら、土遊びとかさ」


 ムロがフォローする。


「服着たいよ!」


「おとなの人は?」


「すぐに着せてやるからな」


 ムロが外に出る。


「確か隣に服屋が在ったはずだ」


 ムロは博物館から歩いて直ぐの服屋で子供服を選ぶと、地下へと戻った。


「サイズとか分かんないけど、着ないよりはマシだからな」


 子供たちが服を着終えると、子供たちを連れてムロが外に出た。


「さーて……どうしたもんか」


「電話?」


 ムロが電話にでる。


【ムロ!! アンタ何処に居るのよ!?】


「ミカノか!! 良かったあ」


【良かったじゃないわよ!! アンタが何処にも居ないから心配したわよ!!】


「悪かったよ。急いでたから連絡しそびれた」


【……何処に居るのよ?】


「グジアだ」


「どういうこと!? ……グジアは滅びたわよね?」


「ミカノたちが無事なのが答えみたいなもんさ」


【……武装石の力なの?】


「……それだけじゃないさ」


【?】


「そうだ! ミカノ、頼みたいことがあるんだけど」


【何?】


「身寄りがない子供たちを引き取ってくれる施設を探してほしいんだけどよ」


【良いわよ】


「助かるぜ」


【……ねえ、ムロ?】


「ん?」


【ありがとう】


「……おう!」


 ミカノが電話を切った。

 入れ替わりに、所長から電話が掛かってきた。


「はい」


【ムロ君、無事かい!?】


「所長!」


【昨日の件の会見の準備中に、君たちが戦いに巻き込まれたことを知ってな。何も出来ずに申し訳ない】


「いえ。無事で何よりです」


【イグラズ中の街が元通りになったと報告が有るのだが、それも武装石を使ったのかね?】


「それもあります。けど、それだけじゃないです」


【……まあ良い、深くは聞かぬよ】


「どうも……あ!」


【どうしたかね!?】


「……グジアまで迎えに来てほしいんです。色々あって子供が三十人居るんですけど……」


【構わんよ。手配しよう】


「有難う御座います」


 所長が電話を切った。


「さっきから誰と話してるの?」


「オレの大好きな人と理想の大人の人だよ」


「そっかあ」


 ムロの視界に向日葵ひまわりのように明るい笑顔の少女が居る。


「迎えが来るまで皆と待ってような!」


「うん!」


 迎えが来たのは、それから暫くしてだった。


※ ※ ※


 3ヶ月後。


「旨い」


「それは良かった」


 ムロがミカノの手料理を食べている。


「そういえば、子供たちは元気にしてるか?」


「施設の人たちが定期的に連絡をくれるから心配要らないわよ」


「それは良かった」


 ムロがスープをすする。


「セリオとカズマはどうなのよ?」


「二人共、第二監獄場に行ってるよ。もうすぐアンが出所するからな」


「アンが起こした事件は武装石のお陰で、無いも同然に成ったしね」


「……カズマがアンに入れ込んでるみたいだしな」


「カズマが!?」


「武装石の力で滅茶苦茶になった街も、死んでしまった人達も元に戻ったあとに、それを知ったアンが複雑な心境になったみたいで……なんとなくカズマは放っておけなくなったらしい」


「アンが無罪放免になったのはカズマが一番喜んでるってことかあ」


「……カインは罪の償いを続けるって、自ら監獄所に戻ったな」


「フルさんが生き返らなかったから当然よ」


 ミカノが時計を見る。


「どうした」


「アンタ、武装石を使って死者を生き返らせて、各街を再生したけど、武装石は消滅したのよね?」


「それが?」


「ザンの死亡が確認されたときにね、ザンの身体に武装石の欠片が有って」


 ミカノが欠片をムロに見せる。


「赤いな」


「武装石は透明なのよね?」


「ああ」


「一応、捨てずに持ってたんだけど」


「……欠片が今も在るのも、赤なのも気になるな」


「どうする?」


「オレが持っとくよ」


「大丈夫だよね!?」


「きっとな」


 ムロが食事を済ませた。


「ムロ覚えてる? 約束」


「覚えてるぞ、付き合う約束だろ?」


「うん」


「交際……するか」


 ムロが顔を赤らめる。


「う……うん!!」


 ミカノも顔を赤らめた。


「料理ありがとな。ホント旨かった!」


「今日は偶々両親が旅行に行ってて誰も居ないから作りに来たけど……ご要望と有らば何時でも作りに来るわよ!」


「おう!」


 ミカノがケーキを出してきた。


「ケーキ?」


「今日はムロの誕生日でしょ」


「そーだった。バタバタしてて忘れてた」


「だと思ってたけどね」


「まさか……旅行についていかなかった理由って!?」


「良いから食べよ!」


 ミカノがケーキを切り分けてムロに渡した。


「いただきます」


 ムロがケーキを食べる。


「どう?」


「……旨い……それに優しい口当たりだな」


「良かったあ」


「……嬉しいな。幸せだ」


 ムロはミカノの指に絆創膏が貼ってあるのを見つけた。


「どうしたの? 本当は不味かった!?」


「違うよ。祝ってくれて嬉しくてな」


 ムロがミカノに小指を出す。


「指切り?」


「何となくな」


 ミカノがムロの小指に小指を絡める。


「何を誓うの?」


「一緒に何時までも居てほしい……とか」


「それって普通、女の子が言わない?」


「駄目かよ」


「ううん」


 ミカノが嬉しそうにしている。


「えーと、指切りげんまん! ……で良いのか?」


「指切りげんまん♪」


「まあ、これからは彼氏彼女ってことで宜しく!」


「こちらこそ宜しくね、ムロ!」


 ミカノがムロにキスをした。


「お……お前!?」


「アタシからの誕生日プレゼントだよ!!」


 雪が降りだす。


「やっぱり降ってきたな」


「良いじゃん。アタシにとっても最高の日だよ」


「そうか。そりゃ良かった」


 ムロとミカノは、窓から雪を見つめる。

 夜空に星が輝いて、平和な日々の始まりを告げているかのように見えていた。


「こういうのも良いな!」


「最高よ!!」


 二人は暫く、時を忘れて雪を見つめていた。

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