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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
イグラズの命運編
37/40

決着

 ムロの闇の力とザンの光の力がぶつかり合い、空間に亀裂が入り、遂には大気を震わせていく。


「神に歯向かう愚か者が」


 ザンの髪がムロの首に掛かる。


「神なら……早く悪魔を殺してみろよ?」


「望み通りに殺してやろう」


 ザンの髪がムロの首を絞め付ける。


「……くっ……うっ……」


「どうだ。首を絞め付けられる苦しさは?」


「…………あ……うぇ……」


「俺は神だ。なら、この苦しみから解放してやる」


 ムロの首が更に絞め付けられる。


(……意識が……とおく……に)


「首を折るのは、さっき殺ったな」


(……感覚、身体の感覚……)


「このまま窒息させてしまおう」


 ムロの呼吸が止まる。


「所詮は人間だったな」


 ムロが地面に落下した。


※ ※ ※


(此処は……)


 ムロの意識は真っ白い空間に在った。


(オレはザンに首を絞められて)


(そうか……死んだのか)


 ムロの意識は真っ白い空間の更に奥に進んでいく。


(あの世なら色々な人達に会えるかな)


 真っ白な空間は光を帯びていた。


(さあて!)


 ムロが進み出す。


(あれ? 進まねえ)


 身体の感覚は無いが、ムロは誰かに掴まれてる気がした。


(誰だ……)


(何をしておるのかの?)


(……爺……ちゃん!?)


(驚いておるのはこっちじゃよ)


(どういうことだ?)


(お前さんは死んで天国に行こうとしていたんじゃよ)


(ここは天国じゃないのか)


(此処は通り道じゃよ。今なら引き返すことができるぞ?)


(マジかよ!? ……あー、でも……このまま死んでしまってもいいかな)


(なんじゃと!?)


(いろいろあってさ。オレ以外にも……ミカノたちも殺されちまった)


(本当かの!?)


(ああ。だから、もう……)


(じゃがの……。まだ若いんじゃ、生きれるときに生きとかんと後悔するぞい)


(でもよ……オレ)


(お前さんを天国にも地獄にも行かせるわけにはいかんの)


 ムロの意識がジンから遠退いていく。


(爺ちゃん!?)


(…………オレ、どうしたら……)


 ムロの意識が真っ白い空間から真っ黒い空間に移る。


(……黒い空間!?)


(何をしに来た?)


(……誰だ!)


(久しぶりだな)


(……ガイ、なのか!?)


(覚えていたか)


(此処は何だよ!)


(簡単に言えば地獄への道だ)


(こっちは地獄か)


(こんな所に居るって事は死んだのか?)


(まあな)


(……誰に殺された)


(……ザンだよ)


(やはり生きていたのか!)


(ああ)


(おとなしく殺されてやる気か?)


(皆、殺された……オレにはもう生きる意味が分からないんだ)


(皆か。小僧にとっての〝皆〟は全て殺されたのか)


(?)


(これから先、まだまだ出会いがあるんじゃないのか?)


(……さあ)


(悪いが……地獄さきには進ませない)


(……ガイ……)


 ムロの意識が別の空間に飛ばされる。


(……今度は何処だ)


 ムロの意識に拡がるのは、まるで世界の果ての様な空間だった。


(宇宙みたいだ)


(そうか、オレは宇宙になったんだな)


 ムロの意識が宇宙を漂う。


(……今ごろ、ザンの奴は……)


(気になるのか?)


(誰だ!?)


(誰、とは失礼だな)


(いや……知らないよ)


(そうか)


(諦めが良いんだな)


(意外にショックを受けていてな)


(んーー、やっぱり知らない)


(知りたいか?)


(焦らされるとな)


(教えよう……われは武装石だ)


(武装石!?)


(主が我を発動してから四年も経つのに、この体たらくとは)


(悪かったよ。分からなくて)


(まあいい)


(てかなんで武装石が喋るんだ? 武装石にされた人達とは、さっき話せたけど)


(それは知らん)


(なんだそりゃ)


(……とにかく主は生きて決着をつけなければならないな)


(無理だよ。オレは死んだんだ)


(死んでないとしたら?)


(……なに言って!?)


(我を使え。そうすれば主は生き返れる)


(デタラメ言うなよ)


(使えば解るさ)


(そこまで言うなら……)


 ムロは武装石を意識の中で発動した。


※ ※ ※


(……)


(……うっ……)


 ムロが目を開ける。


「……生きてる……のか!?」


 ムロは手足を動かす。


「動く。皆は!?」


 ムロは辺りを見渡した。


「オレだけか」


「何故、生きてる?」


「!?」


「驚いているのはこちらの方だ」


「神でも倒せない悪魔だぜ?」


「シブトイ悪魔だな。今度こそ殺してやる」


 ザンが手をかざす。


《奴の武装石を吸収するんだ》


「……武装石!?」


《それが最短ルートだ》


「……分かった。やってみる」


 ムロはザンに立ち向かう。


「神の前では悪魔は無力だ」


「ぐっ」


 ムロが吹き飛ばされる。


「首をはねよう」


「今だ!」


 ザンが手をかざした瞬間、ムロはテレポートでザンの懐に飛び込む。


「何のつもりだ」


「こういう事だ!」


 ムロがザンの心臓と同化している武装石に触れる。


「発動しても、そのまま形が残るのが命取りだったな」


「くっ!?」


 ムロがザンの武装石を吸収していく。


「神を……ナメるな!!」


 ザンが抵抗する。


「殺れよ! 腕を斬り落とされようが、首をはねられようが……オレは何度でも戻ってくるぞ!!」


 ムロがザンに言い放った。


《今だ主よ。我にザンとやらの武装石を併せるんだ》


「神が……神があああ!!」


「神なんか……居るもんか。人間オレたちが、神以上の事を起こすからな」


 ムロの武装石とザンの武装石が融合した。


《主よ。武装石われを発動させるのだ》


「もう、してるぞ?」


《今一度、全ての武装石が融合した我を発動すれば、死んだもの達を生き返らせることが出来る》


「何、言ってんだ!?」


《ザンとやらの命も合わさっている。もちろん他にも理由が有るがな》


「なんだよ?」


《主の寿命を頂くのだ》


「寿命?」


《そうだな……ざっと……1/4程か》


「それで良いのかよ!?」


《武装石を生成するのに多くの若い命が犠牲になってしまった。その命が言っているのだ、〝命を使って〟とな》


「……分かった」


《寿命が惜しくはないのか?》


「何時まで生きられるのか分からないのに、寿命が減る心配なんかしてられないし、そもそも生き返るんなら惜しくないぜ!!」


《面白い男だ》


「そうか?」


《……話はこれぐらいにしておこう。では発動するのだ》


武装石あんたはどうなるんだ?」


《何の事だ》


「ただの武装石の発動じゃない、だろ?」


《勘が鋭いな》


「よく言われるよ」


《発動したら武装石は消滅する。甦生の代償にな》


「良いのかよ……せっかく自我が持てたのに」


《そもそも武装石などという代物は在ってはならんのだ。この世界には》


「分かった。有りがたく使わせてもらうよ」


「完成形武装石、発動」


 ムロが武装石を発動した。イグラズを不思議な光が包み込む。


《肉体が完全に消滅した者や寿命を全うした者、病気等で死した者は、生き返らない》


「……爺ちゃんは無理だし、ポリスさんもアキねーちゃんもガイのおっちゃんも肉体が無いから無理だな……」


《すまないな》


「ミカノ達が生き返る。今のオレには充分すぎる褒美だよ」


《そうか》


 武装石が消えていく。


《さらばだ……主よ。我の主が主で良かった》


「オレの武装石が〝あなた〟で良かった。それと……ありがとうな」


 ムロの姿が元に戻る。

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