最凶
「セリオ、起きてるか?」
ムロがドアを叩く。
「……起きてるよ……ちょっと待ってて」
セリオが荷物を持って出てきた。
「どうしたんだ? 慌ててよ」
「僕のテレポートが役に立たないと駄目だから、責任を感じちゃってさ」
「まったく。頼りにはしてるけど、お前に責任を押し付けるつもりなんかねえよ?」
「そう言ってくれると助かるよ。でも頑張るさ!」
セリオが気合いを入れた。
「カズマは?」
「カズマなら第二監獄場に行ってるよ。アンから爆弾の在処の詳細を聞き出すって」
「所長たちは?」
「昨日の事で混乱している人達に説明するための会見の準備をしているよ」
「そうか……朝から騒々しいな」
「ミカノはどうなんだい?」
「少し前に起きたけど、身体が思うように動かないって部屋で座ってる」
「無理もないよ。武装石の力を使うのは簡単じゃないからね」
ムロとセリオはミカノの所に行く。
「どうだ? 身体は動かないか?」
「ううん。少し座ったら楽になったわよ」
ムロが濡れタオルをミカノに渡す。
「汗かいてるだろ、それで身体を拭いて着替えたらどうだ?」
「ありがとう」
「着替えたら教えてくれ、通路にいるから」
「分かった」
ムロとセリオは部屋を出た。
「じゃあ僕はカズマを迎えに行ってくる」
「頼んだ」
セリオは武装石を発動してテレポートした。
(しかし、ミカノは傷を治療したり、物を直したり出来て、セリオは一瞬で色んな場所に行ったり、連れ出したり出来るし……カズマも遠くのモノを視れるし……)
「オレは空を飛ぶか、速く動くか」
「着替えたわよ?」
「おう!?」
ミカノがドアから顔を覗かせる。
「考えごとしてるでしょ?」
「大したことじゃない」
ミカノが部屋から出た。
「……どう? 似合うかな?」
ミカノは、ラフなパンツスタイルに、服は半袖のYシャツの上から明るい水色のベストを着て、髪は後ろで纏めてピンで留めていた。
「あれ? 髪が傷むから束ねたり留めるのをやらないんじゃなかったか?」
「今のアタシは〝傷〟を治せるから平気よ!」
「……なんかもう、何でもアリだな」
「アタシは別に病気は治せないし、死者を生き返らせることも出来ないから、何でもアリは語弊よ」
「でも、すげえよ!」
「……で、似合ってるの?」
「似合ってるよ。凄い似合ってる」
「……良かった」
ミカノが嬉しがった。
「それで、寝起きで言ったことは忘れてないか」
「セリオのテレポートで爆弾の場所に行って、爆弾を処理するんでしょ?」
「その通りだ」
セリオが戻ってきた。
「お待たせ」
「ミカノは大丈夫なのか?」
「安心してカズマ。アタシは絶好調よ!」
「それでカズマ、詳しい場所は判ったか?」
「クラッティスの二ヶ所は〝クラッティス総合病院〟と〝クラッティスタワー〟、リリルムは〝リリルム中央署〟、ラウードは〝墓所〟、フーブは〝港〟だ」
「……残りの場所は?」
「一つは〝ミリトリア署〟……もう一つは〝ミリトリア・グッドホテル〟だ」
「……ポリスさんと初めて会った街だな」
「ホテルにはフロントのお姉さんが居るわ」
「売買されていた女の子たちも平穏に住んでる」
「とにかく行こう。俺がアンから聞いた情報では、仕掛けられた場所は、あくまでも〝アタイが知る場所だ〟らしいからな」
「よし行こう。クラッティス、リリルム、フーブ、ラウード、そして……ミリトリアに!」
ムロが言った。
「それじゃ行くよ……しっかり掴まっててよ!」
※ ※ ※
「着いたよ!」
「クラッティス病院か」
「カズマ、何階なの!?」
「それは分からない。ただ、探し方ならある」
「どうすれば良い!」
「武装者は武装石の気配を感じれるんだ」
「今まで気配なんか感じたこと無いぞ!? 気配を感じ取れるなら、カインに武装石を奪われたときに情報集めすることもなかっただろ!?」
「それは感じ取ろうとしなかっただけだぜ?」
「どうやって感じるんだよ?」
「武装状態だと五感が研ぎ澄まされてる。武装石を感じ取った場合、変わった感覚が有るんだ」
「それじゃ僕が感じ取ってテレポートすれば……」
「ねえ? 爆弾を探すのに武装石の気配が必要なの?」
「そういえば……何でだカズマ?」
「爆弾は武装石で出来てるんだ」
「……それで地震の揺れじゃあ爆発しないって言ってたのか」
「……これかな?」
セリオが気配を感じ取った。
「でかした! セリオ、そのまま行けるか?」
「……やってみる……」
セリオがテレポートした。
「……オレに気配を探るのは向いてないな」
「自分で言うな」
カズマが突っ込んだ。
※ ※ ※
「上手くいった!」
セリオは武装石の場所に移動した。
「武装石を更に加工したのかな?」
武装石は五角形に加工されており、中には液体が入っていた。
「場所が固定されてるや」
武装石は床に固定されていた。
「刺激を与えて万が一の事があったら大変だ。ったら何処かに移せば!」
セリオが転送を試みるが出来ない。
「どうしてなんだい!?」
武装石の中の液体が赤くなる。
「色が変わった!?」
武装石に亀裂が入る。
「武装石に……ヒビ!?」
「誰だあ……」
「!」
セリオが声のする方向に向く。
「余計なことはしないでくれよ」
「誰なのさ!?」
「その爆弾の製造者だ」
「貴方が造ったの?」
「……赤い液に、石の亀裂……なんだあ、もう爆発じゃないかあ!」
「……爆弾を解除してくれないかい?」
「嫌だね。早く、この国を0にしなくちゃなあ」
装石の液体が沸騰する。
「なんだ!?」
「もう爆発するね、そいつ。さーてと……退散」
「お前は誰だ! 何で爆弾なんか仕掛けて、どういうつもりなんだい!」
「……俺はザン。爆弾を仕掛けた理由は国を変えるため、戦争をするためだあ」
「ザン!?」
「あばよ」
ザンが窓から飛び降りた。
「ここは四階だ!?」
セリオが下を見る。
「……居ない!?」
「とにかく……何とかしないと!?」
再び転送を試みるが出来ない。
「……ほかの場所の武装石も同じ状態だったら!?」
セリオはムロたちの元に移動した。
※ ※ ※
「セリオ!」
「どうだったんだ?」
「ヤバイよ……もう爆発する」
「え!?」
ムロが驚く。
「アンの重力で起こす刺激でしか爆発しないんじゃなかったのか!」
「僕も分からないんだ。ザンって男に会ったけど、解除の仕方を教えてくれなかった」
「……ザン……だって!!!?」
「そいつは?」
ミカノが訊く。
「逃げられた」
「……まあ、テレポートで追い付けるわよ」
「生きてたのか!? ザン!」
「……グジアを滅ぼしたって奴!?」
ミカノが発言すると周りは絶句する。
「あのやろ、逃がさねえ!!」
ムロが病院から出た。




