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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
捜査協力編
30/40

絶望へのカウントダウン

「答えろ! 目的はなんだ!」


「……言っただろ、戦争だ!」


 ムロと女性が激しい攻防を繰り広げる。


「部屋の壁が……」


「何なのよ、あの女! 色々と無茶苦茶!」


「二人はほかの部屋を頼む。俺はムロを援護する」


「気をつけて、カズマ」


「無茶はしないこと? 良いわね!?」


「ああ」


 ミカノとセリオは、所内を探りに行った。


「武装石、発動」


 カズマが武装石を割り発動した。


「……狙えるか!?」


 カズマは二丁拳銃ジェミニを構えるが、ムロと女性の動きが素早いため、狙いが定まらない。


「ちっ……」


「アタイに戦争を頼んだ男は、世の中に絶望していると言っていたあ」


「だから何だよ!? ……アンタの意思は!?」


「勘違いするな! アタイも世の中にはウンザリしてんだ!」


「ぐっ……!?」


 ムロが地面に落下した。


「アタイの重力波は怒りの重さだ! てめえの味わう重力はアタイの苦しみだぁ!」


「……ふざけんな……」


「……もっと食らって味わえぇぇ……グラビティーシュートォォォ!!」


「……ふざけてんじねぇー! なにが戦争だ、そんな事、オレがさせねえー!」


 ムロが光の刃を出した。


「アクセル!」


 ムロが急加速して女性を斬った。


「てめえ!? よくもアタイの髪を!!」


「戦争を起こそうとしてる奴が髪の長さでウダウダ言ってんなよ」


「てめえ!」


 女性が街中に向かって攻撃を放った。


「何しやがる!?」


「……言っただろ……戦争するってさぁ?」


 クラッティスの中心街が姿を変える。


「街が……そんなバカな!?」


 賑やかな光景が一瞬で鎮まり、カズマが驚きを隠せないでいた。


「……またかよ……もう沢山だ!!」


「あん? 怯えちまったのかぁ?」


「……てめえも! ザンの野郎も! 私利私欲の為だけに、大勢の犠牲も何とも思わねえ! 最低な人間だ……クズ共があああ!!」


 ムロが姿を消して急加速した。


「結構だ。アタイは戦争をして国を……世界を変えるんだぁ……人間をやめてでもなぁ!」


「!?」


 女性が自分の周辺の重力を増やし、ムロの動きを止めた。


「そのまま地面とえぐれて死んじまえェェェ!!」


「ぐああああ!!……」


 ムロが地面の中に潰されていく。


「さあ、出てこいよ! イグラズの軍隊でも何でも来てみがれぇぇぇ!」


 女性の重力波によって、クラッティスの様子は地獄と化した。


「さーて……街の様子を見に行くかなぁ。その前に重力を元に戻すかぁ」


「……二丁拳銃ジェミニ……狙撃形態ライフルモード!」


 女性の肩を真上から光線が貫通した。


「なぁんだぁ? 上からだとぉ?」


「やべ!?」


 カズマが地面に急降下していく。


「何だったんだぁ……まあいい」


 女性は重力を元に戻すと、クラッティスの中心街に向かった。


「……あー。多分、骨折れたな……」


 カズマがムロを呼ぶ。


「いつまでも寝てんじゃないぞ。敵は街の賑やかな場所に向かってった……」


「……フュ……ヒュ……フェ……」


「おい!? ムロ、肺をやったのか!?」


「……フー、フー……」


「もういい喋るな!良いな!」


(ヤバい。このままじゃ、ムロは!!)


 クラッティスが無惨にも破壊されていく。


「ちくしょう!! 街の人達は……ヤツに!!」


 カズマがムロに触れる。


(冷たくなってきてる!? ……もう駄目か!!)


「カズマあああ!!」


「……ミカノ……」


「あほー!!」


 ミカノがカズマを殴った。


「イッターぁぁぁぁぁ!!!!」


「無茶しないでって言ったわよね!?」


 ミカノがカズマを見る。


「その傷からして、相当無茶したでしょ!」


「……仕方がない」


「あのね、仕方がないで死なれたら困るの。死なれたら治せないじゃない!」


「治す?」


「そうよ? アタシが治すの」


 ミカノが武装石を発動した。


「……翼が生えてるのに、武器はないのか」


「細かいことは気にしないの。ほら、じっとして」


 ミカノがカズマの頭に触れる。


「温かいな。でも何故、頭なんだ?」


「どこを触れれば治療が早く終わるか視えるのよ」


「俺は頭なのか」


 カズマのありとあらゆる傷が癒えてゆく。


「次はムロね」


「早く治してやれ! 時間が無いぞ!」


 ミカノがムロを視る。


「肺が骨で潰れてるし、その骨も複雑骨折もいいところね」


「分析はいいから早くしろ!」


「分かってるわよ……。カズマ、アタシが良いって言うまで、こっちを見ないで」


「なんでだ?」


「治療するからよ!」


「わ……分かった!?」


カズマが後ろを向いた。


(ムロ。死なないで!!)


 ミカノがムロにキスをする。


(この傷じゃ、早く治すにも時間が掛かる)


「病院まで!」


 カズマが街を見ながら怒りを抑え込む。


(何だか温かいな……天国かな?)


 ムロの身体が癒えてゆく。


(痛くも苦しくもねえ……どうなってるんだ?)


 ムロが目を開ける。


(……ミカノ!?……てか、これってキス!?)


 ミカノが治療を終えた。


「どう、気分は?」


「……怪我の功名で良い気分だよ」


「……ばか。危険な状態だったんだから」


「ミカノ。俺は良いのか?」


「終わったから良いわよ」


 カズマが振り返る。


「ミカノ、どうやって武装石を?」


「所長たちが地下に避難していたのよ。事情を話したら武装石をくれたの」


「武装石の事は所長から聞いたわ。辛かったけど今を生きる命を生かす為に使うって決めたの」


「そうか」


 ムロが立ち上がる。


「それはそうと街を護らないとな」


「ちょっと!? 治ったばっかだよ!?」


「オレたちがこうしてる間にもクラッティスは滅茶苦茶にされちまう……なんとかしねえと」


「慌てなくても平気よ。セリオがなんとかしてるハズだから」


「セリオが!?」


 いつの間にか、クラッティスを襲う音が静かになっていた。


※ ※ ※


「こちらです!」


「誰か居ませんか!!」


「爆発物の処理、完了しました!」


「A地点、C地点、異常ありません!」


「B地点、D地点、同じく異常ありません!」


「E地点、5名の生存者を確認!」


「F地点、目標の動きを報告……現在、青年一人と交戦中!」


 イグラズ特殊機動部隊がクラッティスに突入していた。


「このぉ!!」


「何度やっても無駄さ」


 女性が何度も放つが、セリオには当たらない。


「何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


「教えないよ。だって敵だからさ」


「……重力ちからが通じないならぁ~!!」


 女性が両手を空に挙げる。


「何をする気だい!?」


「仲間が事前に仕掛けていた爆弾を……一気に爆発させるのさぁ!!」


「仲間!?」


「大気よ震えろ……さぁ、爆弾よ……今こそ爆発めざめの時だぁぁぁぁぁ。見ていて下さいぃぃぃぃぃ、ザン様ぁぁぁ!!」


「ザン? 何処かで聞いたような?」


 大気が震え、特殊機動部隊が動けないでいた。


「何が起きているのだ」


「各班、応答を!」


 建物が揺れだす。


「さぁ、揺れろ揺れろ揺れろぉぉぉ!!」


「その爆弾は揺れを感知して爆発するタイプなのかい?」


「……アタイが起こす揺れで爆発するんだ!!地震の揺れじゃあ爆発しないようになってる!!」


「……敵に情報くれるくらい余裕ってわけかい」


 揺れが増していく。


「……爆弾の場所が分からないから爆弾の対処は難しい……。思いつく方法は、あと一つ……けど!?」


 セリオが手をつく。


「駄目だ!! 立っていられない」


「セリオーーー!!」


「ムロ!?」


「良かった! 無事だったか!」


「……返答に困るね」


 ムロがセリオを抱えて飛ぶ。


「奴は何をしてるんだ?」


「ザンって人が何処かに爆弾を仕掛けてて、その爆弾を重力を増幅させて大気を震わせて爆発させる気なんだよ」


「ザン……か。成る程な。戦争するって言って、街を消し去ろうとするのが一緒だな」


「そうか!? グジアを滅ぼした男って所長から聞いたんだ!」


「……まあ、報せたのはオレだけどな」


「さあさあさあぁぁぁ!! 爆発だあ!!」


 地面が軋み始める。


「やるしかないのか……悔しいな」


「どうする気だ?」


「“僕がやりたくない事”さ」


 セリオが手を合わせる。


「うっ!? うぅぅぅあぁぁぁ!!」


「セリオ、アイツ苦しんでるぜ」


「……僕、なにもしてないよ!?」


「え?」


「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 女性が右肩を抑え苦しんでいる。


「ん? 揺れが収まってないか?」


「これなら!」


 セリオが女性を自分の元に移した。


「離せぇぇぇ!?」


「ごめんよ。それは出来ないや」


 セリオがムロと女性と共に移動した。


「わ!?」


「ビックリした!!」


 特殊機動隊の前にセリオたちが現れた。


「あの、目標の人を捕まえました」


「御協力、感謝します!」


 女性を特殊機動隊に引き渡すと、セリオはムロと共にミカノたちの元に移動した。


「帰ってきた!!」


「着いたよムロ!」


「お、おう……」


「何ポカンとしてんのよ?」


「セリオのやつ、一瞬で相手を移動させたり、自分を移動したりしたぜ?」


「セリオの武装石の能力は色んな場所に移動したり、色んな場所に物を移動させたり出来る……テレポートよ」


「……そうか……セリオはアイツが放った重力を別の場所に移してたのか!」


「そうなるわね。アタシはアタシの役割をっと」


 ミカノがセリオに頼み、街中に移動した。


「ミカノ、平気かい?」


「やる前から心配しないの!」


 ミカノが武装石を発動して、両手を胸元で組む。


「持ってよね。アタシの身体!!」


 ミカノは、そのまま宙に浮くと翼を羽ばたかせた。


「お願い……上手くいって!」


 翼から出る粒子が街を包み込み、崩壊した建物を直し、重軽傷の人々を治していく。


「私達、生きてるの!?」


「怪我が無くなった!」


「痛みが消えたよ!」


「街が……建物が元通りに!?」


「夢、じゃない……よな!?」


 クラッティスに賑やかな声が戻っていく。


「うっ……!!」


「ミカノ!?」


 ミカノが倒れこんだ。


「えへへ、疲れたから連れてって」


「ご苦労様だよ」


 セリオがミカノを連れて移動した。


※ ※ ※


「すまなかった。逃げるので精一杯だった」


「所長に死なれたら困ります。皆さんが生きててくれて良かった」


 ムロが言った。


「ムロ!」


 セリオがミカノを連れて戻ってきた。


「戻ったか!」


「ミカノが疲れちゃってさ」


 ミカノがセリオに寄り掛かっている。


「誤解しないでおくれよ。連れてくるには、これしか方法がなくって」


「なに言ってんだ? 無事に連れ帰ってくれたんだから感謝するぜ」


 セリオがミカノをムロに渡した。


「仮眠室で休んでおくれよ。僕は他に報告しないといけないしさ」


「悪いな」


 ムロはミカノを連れて仮眠室に向かった。


※ ※ ※


「ムロ……」


「少し寝てろよ。身体を休ませないと!」


「分かったわよ。そのかわり傍に居てよ?」


「なんでだよ?」


「治してあげたでしょ」


「……まあ良いか」


 ミカノがムロの服を掴んで眠りに入る。


「お疲れ様だ……ミカノ」


 ムロも座りながら眠った。


※ ※ ※


「貴様ぁぁぁ!!」


「五月蝿いぞ! ここは監獄場だ!」


 女性は第二監獄場で手足を拘束されていた。


「アタイに何をしたぁぁぁ!?」


「右肩の事か。あれは俺が撃ったビームが肩を貫通したときに肩の付け根が焼けたんだ」


「右腕が動かない!! 右肩が挙がらないぃぃぃ」


「心配は要らない。怪我は治してやるよ」


「嘘だったら殺す!!」


「誓うよ」


 カズマが第二監獄場を出た。


「腹へったな……」


 クラッティスの商店街から匂いがする。


「晩飯、買っていくか」


 カズマが商店街に向かった。

 クラッティスの街は、何事も無かったように夜を迎えていた。

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