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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
祖父救出編
3/40

ムロの意地

「外へ出ろ」


 淡々男の指示でミカノとカズマが列車の踊場に出る。


「ほんとに無いとはな」


 カズマは、繋がれていた車両が無くなっていることを改めて知った。


「アタシたちをどうなる気!」


「知りたいか?」


「当たり前よ! 納得なんてどんな理由でもしないけど、知らないのは気持ち悪いだけ!」


「いいだろう……話してやる」


 淡々男が煙草を吸う。


「お前たちを売るんだよ」


「売る!?」


 ミカノが驚く。


「……売ってどうする?」


「知らん……ほとんどが奴隷になっているらしいが……あとは知らん」


「奴隷? 何をさせられるんだ」


「子供には理解できない」


「ミカノが言ったろ。知らないのは気持ち悪い」


「いいだろう。小娘、中へ入っていろ」


「分かったわ」


 ミカノが列車内に戻った。


「女が居ると話しづらいんでな」


「何をさせられるんだ?」


「それはな……」


「……想像できまい。子供ではな」


「したくもない!」


※ ※ ※


「ミカノ、怪我は無いか!?」


「大丈夫。そんな事より犯人の目的が判ったの」


 ミカノがムロとセリオに話した。


「人身売買だね」


「セリオ知ってるのか?」


「世界条約で禁止されてる事だよ。人を物のように金銭で売ったり買ったり」


「欲しい人がいるなら良いんじゃないか?」


「それなら売買ではなくて、子宝に恵まれなかった夫婦が養子に迎える、みたいな方法もある」


「人間を売買することは如何なる理由があっても絶対に駄目なの!」


「そうなのか、知らなかった」


「おい」


 ダイナマイト男がやって来た。


「小娘、外だ、外へ出ろ!」


「ふざけんな! ミカノを行かせるわけねえだろ!」


 ムロがダイナマイト男の足の甲を踏む。


「このガキッ!!」


 ダイナマイト男は、ムロを楽々と持ち上げると、列車の窓を開けた。


「赤毛は要らねえ!」


「ムロ!!」


 ダイナマイト男が、ムロを放り投げた。


「さーて……緑髪のガキは」


 ダイナマイト男がセリオに迫る。


「止めろ! 子供に手を出すな!」


「そうだ!」


「そーだ! そーだ!」


 列車に乗る大人たちが抵抗する。


「黙りやがれ! 殺されたくなけりゃ、おとなしく黙って座ってろ!」


 ダイナマイト男の一言で列車内は静まり返ってしまった。


「拳銃をちらつかせたら黙るわな」


「ムロ……」


 列車内は、ダイナマイト男の笑い声が響き渡っていた……。


※ ※ ※


「遅いな。何を手こずっている」


「案外、手強かったりしてな」


「笑わせるな。たかだか子供が三人」


「アンタの後ろにもいるぜ!」


 カズマが淡々男の背中を突き飛ばす。


「今のが全力か?」


 淡々男が、カズマを蹴ると壁際に追い込む。


「子供は大人しくしてればいい」


 淡々男がナイフをカズマの首に当てる。


「指示に従わないのなら、その首を斬る」


「アンタ、ホントに淡々と恐ろしいことを言うよな……」


「お前も、よく喋る子供だな」


 カズマがしゃがみこむ。


「言った筈だ。指示に従わなければ首を斬る」


「ムロキーック!!」


「ぐっ!」


 淡々男が体勢を崩した。


「何故キサマが!?」


「てめえの相方に訊くんだな」


 カズマが淡々男からナイフを奪い、ムロが淡々男の靴紐で淡々男の腕を柵に縛り付けた。


「カズマ無事か!?」


「見てわからないか?」


「んだとー! せっかく助けてやったのに!」


「ああ、助かった」


「お、おう……」


 ムロはカズマが礼を言ったのに少し驚いた。


※ ※ ※


「やっ!」


 セリオが、ダイナマイト男の隙を点いて拳銃を奪った。


「ガキが使うもんじゃねえよ」


「今まで何人売ったんだい!」


「覚えてねえな?」


「幾らで売った!」


「最低でも一人辺り、五万ロロ……ってとこか」


「覚えている名前は!」


「覚えてねえ!」


 ダイナマイト男が、セリオから拳銃を奪い返した。


「しまった!?」


「持ち方がなっちゃいなかったな? 簡単に取り返せた」


 ダイナマイト男がミカノに銃口を向ける。


「さっさと動けよ、小娘……あと五~六年もしたら結構な美人になってるだろうから殺したくねえよ」


「売られる位なら死を選ぶわ!」


「ムロキーック!!」


 ムロの飛び蹴りが炸裂した。


「二人とも無事か!?」


 カズマが確認する。


「僕らも他の乗客も無事だよ」


「なんで赤毛が居やがる!?」


 ダイナマイト男は驚いている。


「てめえが放り投げた時、咄嗟に列車の突起に掴まったんだよ。風圧がキツかったけどな」


 長年の恨みがあるかのように、ムロはダイナマイト男を踏みつける。


「こいつも没収だ」


 カズマが、ダイナマイトを奪った。


「これもだね」


 セリオが、床に転がった拳銃を拾った。


「よくやった!」


「凄いわ!」


「済まねえな、何にも出来なくて」


 乗客からの割れんばかりの声と拍手が、列車内を響かせた。


※ ※ ※


「疲れた……」


 ムロの言葉で疲労度が伝わる。


「結構長かったね。事情聴取」


「名前言って平気だったかな?」


「家族に連絡するって時はヒヤヒヤしたぜ」


「こまめに連絡していて助かったな」


 淡々男とダイナマイト男は警察に引き渡され、同時に列車の乗客に聴取が実施された。

他の乗客の証言によって、ムロたちの事が警察に知られ、ようやく解放されたのだ。


「これからどうする」


「この辺りにホテルが有るみたいだから行きましょ。テレビやラジオもあるはずだし」


「腹ごしらえ!」


「一息浸けるや」


 ムロとセリオが賛同した。


 この出来事はのちに〝小さな四人の英雄の奇跡〟として語られる。

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