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ロードバスターズ  作者: 碧衣玄
捜査協力編
26/40

重ねた年月

「君、クライスさんだよね」


何方どなたで?」


「クライスさんとは隣のクラスのジローっていいます。話が有るんだけど時間いいか?」


「悪いけど先約があるのよ、ごめんなさいね?」


「……そうは、いかねえよ……?」


 ジローがクライスを壁に押し付ける。


「何するの!?」


「俺っちは、君に告るためにシミュレーションを重ねたんだ……だがよ、振られるパターンはシミュレーションしてねえんだよ」


「知らないわ、そんなこと!」


 ジローの右手がクライスの胸に触れる。


「柔けえな~、サイコーだぜ!」


「ふざけないで!」


 クライスが右足でジローの股関を蹴った。


「うっ! ……うっ……」


「意中の女子に股関を蹴られるのって、最高のご褒美なんじゃないの?」


「……だが……ゆるさねえ!」


 ジローがクライスを押し倒した。


「きゃっ!?」


「女は身ぐるみを剥いでからが本番だよな?」


「……止めなさいよ!?」


「……ここは体育館の裏だぜ。今は授業中で誰も通らない……止める理由がねえな?」


 ジローがクライスのリボンをほどく。


「このっ!?」


「女子が男子に力で勝てるわけねえだろ!」


 ジローが左手でクライスの口を塞ぐ。


「ん~んー!」


「苦しむ姿もそそられるぜ」


 ジローがクライスのシャツを脱がそうとするが。


「ムロキーック!!」


「ガハッ!?」


 ジローが転がってゆく。


「ムロ!」


「大丈夫か、ミカノ?」


「てめえ!? 何しやがる!」


「……お前こそ白昼堂々と何のつもりだ!」


「好きな女に告って振られたから襲ってやろうとしただけだろ……男なら解るだろ?」


「悪いけど、ミカノには先約が居るんだ。お前に渡すわけにはいかないな」


「気を付けてよ……あいつ、不気味よ」


「大体、授業を抜けてる時点で、てめえも底が知れてるぜ」


 ジローがナイフを取り出してムロに襲い掛かる。


「ナイフ……か。“こういうの”は四年振りかな」


 ジローがナイフで斬りかかるが、ムロが軽々と交わしていく。


「何でだよ!?」


「そうやって焦ると当たる物も当たらないぜ?」


「嘗めてると痛い目を見るぞ!」


 ジローがスタンガンを取り出した。


「くたばれがあー!!」


 ジローがスタンガンをムロに押し付けた。


「ハハハハハハハ」


「……気が済んだか?」


 ムロは顔色ひとつ変えない。


「こ……壊れてんだ……違いねえ!?」


「人騒がせだな」


 ムロが手刀でジローの手首を打ち、スタンガンとナイフを地面に落とす。


「痛!!」


「恐らく手首は暫くはあざができて痛いだろうが自業自得だ。痣で済むことに感謝するんだな」


「何者だ……てめえ!?」


 ジローが、痛む手首を庇いながら訊く。


「……ムロ……ムロ・クライム。もうすぐ十六歳の学生だ」


「冗談じゃねえ!? ……ムロ・クライムっていえば、警察と協力して幾つもの事件を解決している……ロードバスターズの隊長リーダーじゃねえかよ!!」


「……お前を警察に連れてくことも可能だが、今後一切この学校で問題事を起こさないと誓うなら、今回は見逃してやるよ」


 ムロが鋭い目付きをしている。


「……わ……わかった……なにもしねえよ……」


 ジローが走り去って行った。


「良かったの?」


「同じ学校の生徒だから、なるべくなら穏便に済ましたかったんだ」


「そうかあ」


「それに強姦されかけたって知られるのは抵抗あるだろう?」


「それなりにはね……アタシも女だもん」


 ミカノがシャツを整え、リボンを結び直した。


「しかし暑いな~。これがホントに残暑かよ!?」


「アスファルトの照り返しが堪えるわね」


 ムロとミカノが汗を拭う。


「電話だ」


 ムロは電話に出た。


「どうかしました?」


 ムロが相づちを打ちながら話す。


「……で、どうしろと? ……あーハイハイ、了解しました」


 ムロが電話を切った。


「所長から?」


「そう。今の“潜入捜査”を終了して、とある男の護衛をしてほしいってさ」


「ちょっと残念かな。この制服、可愛かったし」


「所長に言えば頼んでもらえるかもな」


「普段の街中じゃ着れないわよ」


「そうか? 学生にとっちゃ制服は普段着と変わらないんじゃないのかよ?」


「……アタシは今、学生やってないでしょ!?」


「言わなきゃ分かんないぜ?」


「そういう問題じゃないわよ!」


 ミカノがムロを軽く叩いた。


「悪かった。オレなりに誉めたつもりだったけど、気にさわったなら謝るよ」


「ムロのばか~!」


 ムロはミカノに追いかけられながらも、一緒にクラッティス警察統一所に向かった。


※ ※ ※


「護衛が僕たちで良かったですね」


「そうなのか?」


「ほかの人が護衛を務めたら多分、貴様は護られずに殺されているぞ」


「本来なら死刑になるべき男だ。殺されても文句は言えない」


「……所長命令だからな、貴様を無事に第二監獄場に移送するのが今回の俺たちのミッションだ」


「護りきるから。覚悟していなよ!」


「威勢の良い奴らだ……名前は?」


「四年前に貴様を捕まえるのに一役かった……カズマだ、覚えてないか?」


「同じく、セリオだよ!」


「……そうか……四年前のガキどもか」


 セリオとカズマも、ムロたちと合流するべく第一監獄場からクラッティス警察統一所に向かっていた。

 時間は午後二時、太陽の陽射しが暑さを増幅する。

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